俺氏異世界へとばされる。
金があればなんだってできる。
出来ないことは何もない。
世の中金がすべてだ。
俺、富樫勇太は今までそう思ってたし、これからもこの考えは変わらないと思う。
もし、金があったらあの時だって…
「ふぅー」
大学から家についてバックパックをおいた俺は真っ先に冷蔵庫をあける。
中にあった麦茶をコップにコポコポとそそいでそのままイッキ飲み。
「ぷはぁー、やっぱ夏は麦茶一択だな!」
季節は7月下旬の夏真っ盛り。
大学の期末試験、レポートも今日で終わり、これから夏休みの俺は大いに麦茶の冷たさの余韻に浸っていた。
「勇太くん…」
ん?何か今、誰かに名前を呼ばれた?
「勇太くん! 勇太くん!」
空耳じゃない!
でも、あたりを見回しても家には俺一人だけ。。。
「勇太くん!ここだよ!君のバック!」
言われた通りみてみるとバックパックがひとりでにもぞもぞ動いてる。
驚いた俺は「ひいぅ!」と情けない声をあげながら一歩後ずさる。
「怖がらないで!」真矢○きの「あきらめないで!」みたいな言い方でバックは相変わらずもぞもぞ動きながらしゃべってる。。。。
ためしに頬をつねってみたが現状は変わらない。
夢じゃない。
「バックがしゃべった!」
「バックじゃないよ!バックの中!あけて!わたしをだして!」
なおも、もぞもぞ動き続けるバッグパックに近づき、恐る恐る手をかける。
ゆっくりとチャックをあけ、途中まで開けたと思ったら一気にチャックが開き中から何か飛びだしてきた。
飛び出してきたものは俺にあたり俺はしりもちをつき
「い…いてぇ…」
何が飛び出してきたのか確かめるようと視線をあげると…
目の前にはなんと妖精がいた。。。
そう、妖精。
おとぎ話やマンガ出てて来るような体長20センチくらいの羽のはえた妖精。
服は黄色のワンピースを着ていて、羽は左右二対の計四枚。色はコバルトブルーだ。
顔はめちゃくちゃかわいい。
すっと高い鼻に目はくりくりとした碧眼、髪の毛はライトグリーン。
美人を絵にかいたような顔で、人間大の大きさだったら確実に惚れてただろう。
いきなりの妖精の登場に訳がわからず( ; ゜Д゜)としてる俺に
「富樫勇太くん!あなたは幸運にもお金の神様であるわたしに選ばれました!選ばれた君をお金が全ての異世界へ飛ばしたいと思います!」
ビシッ!と効果音が挿入されそうな勢いでその妖精は俺に人差し指を向けそう宣言した。
「は…はぁ…?」
状況がいまだに理解できてない俺を置き去りにそいつは今後の予定だとかぶつぶつ独り言を言ってる。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。お前がお金の神様だってことは百歩譲って認めるとしても、なんで俺がそのお金の神様とやらにいきなり異世界へとばれなきゃいけないんだよ?」
そう聞いた俺に
「だって、君は世の中お金が全てだって思ってるでしょ?」と…
過去の記憶を必死に押し込み
「世の中お金が全てだ。」
俺はきっぱり言い切った。
「金があればなんだってできる。出来ないことは何もない。それは絶対に変わらない。」
そう言い切った俺を見つめるお金の神様は一瞬悲しげに見えた。
しかし、神様は微笑み
「さぁ、どうなんだろうね。」と曖昧な返事を返す。
「お金より大事なものなんて、そんなものはない!金がすべてだ!」
声を荒らげる俺に神様は変わらず微笑みかける。
「まぁ、そんな君のためにわざわざわたしがきてお金が全ての世界に飛ばしてあげるって言ってるんだし!さぁ!じゃあ、今から君を異世界にとばすよ!」
「俺に拒否権は?」
「ないね。」
神様即答。
「断固拒否!」
俺も即答。
「えーだって、君はお金が世の中の全てだと思ってるんでしょー?じゃあ、こんなお金が全てじゃない日本にいるよりかそっちにいった方が絶対幸せになれるよー」
可愛い妖精のくせに鼻をほじりながら、ジと目でみてきやがる。
うぜぇ。。。。
「確かに俺は金が世の中の全てだとはおもってるけど別にお金が全ての世界にいきたいわけじゃねーし。」
それに、今さら金が全ての世界にいってもおせーよ。と心の中で付け加え,なげやりに返事をする俺
「まぁ、どーでもいいや!とりあえずさっきも言ったけど君に拒否権はないから」
と、神様はどや顔
一発ぶん殴ってやろーか?と思うがいここでキレたら相手の思うつぼ
「はいはいーテキトーにどこにでもとばしてくださいー」
俺はどうでもいいように答える。
「まぁ、ささいなことはおいといて君を異世界へ飛ばすよ。」
「え?今かよ!お、おい、ちょっと!…ちょっとまてよ!」
制止を無視して神様はなにやら詠唱をはじめ、そして…
気がついたら俺は見知らぬ草原に立ち尽くしていた。




