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『彼方と日常の境界、そのリアル』 ―ある日、大阪上空に未知の紋様が現れたら、現実社会はどう動く?―  作者: そらと ソラ
プロローグ 変わる日常

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第十三話 数字


2027年3月10日(水) 15:18


 大阪府庁 危機管理室。


 机の上には、プリントアウトされた紋様の画像が乱雑に広げられていた。


 全部で44枚。


 出現直後から現在までに記録された紋様の変化を、1枚ずつ印刷したものだった。


 職員たちは机を囲み、黙ったまま紙を見つめている。


「この部分、同じ形があります。」


「いや、こっちにもある。」


「違う……。その隣だけ変わっている。」


 似た形を探して紙を並べる者。


 同じように見える画像を重ねる者。


 何度並べ替えても、規則性は見えてこない。


 室内には、紙をめくる音だけが響いていた。


 その時、1人の職員が顔を上げた。


「……時系列です。」


 全員の視線が集まる。


「出現した順番に並べてみましょう。」


 知事はすぐにうなずいた。


「並び替えよう。」


 職員たちが一斉に動き出す。


 机いっぱいに広がっていた紙が、時系列順に並べ替えられていく。


 1枚。


 また1枚。


 誰一人、言葉を発しない。


 最後の1枚が置かれた。


 静まり返った危機管理室で、全員が並んだ画像を見つめる。


「……。」


「これ……。」


 誰かが息をのむ。


 1人の職員が、並べられた画像の同じ位置を順に指で追っていく。


「ここです。この部分だけ、1枚ごとに形が変わっている。」


 その指が、11枚目で止まった。


「……最初と同じ形に戻っている。」


 別の職員が、その画像を手元へ引き寄せる。


「10種類……。」


「こっちもだ。その次も、同じ順番で変わっている。」


 最初の職員は、今度はその左隣へ目を移した。


「右側が一巡した時だけ、隣が変わっている。」


 紙をめくる音が止まった。


「その次の一巡でも……また変わっている。」


 知事は、並んだ画像へゆっくりと目を走らせる。


 右端は、1枚ごとに変わる。


 10種類の形を経て最初へ戻ると、その左隣が1つだけ変わる。


 そして、同じ変化が繰り返されていた。


「桁だ……。」


 誰かがつぶやいた。


 知事が顔を上げる。


「何だ。」


「これは、桁です。右側が一巡するたびに、左側が1つ変わっている。」


 一瞬の沈黙が流れる。


「10進数……。」


 職員は、並んだ44枚の画像を見つめた。


「この紋様は、数字を表しています。」


 誰も否定しなかった。


 朝から空に浮かび続けていた巨大な紋様。


 その一部で、未知の数字が規則正しく動き続けている。


 知事が静かに問いかける。


「これは……何を数えている。」


 答える者はいなかった。

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