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京夜日記  作者: 京夜
23/23

第十九話 「逃げること」

 今まで散々、向かうこと、乗り越えることを書いてきたので、「逃げること」の大切さも書いておきたいと思います。

 正直、自分自身はどちらかと言えば「逃げるのが下手」で、「簡単な道と苦しい道があるときは苦しい道を選ぶ」ことをしがちな人生でした。

 幸い何とかなってきたから良いものの、あまりお勧めできない生き方と、私も思います。


 診療をしていて、腹痛、頭痛、不眠、食欲低下、微熱など訴えてくる方の多くが、何らかのストレスを抱えています。

 身体が長い時間の緊張状態にさらされ、不調を訴え始めているのに、頭がそれを認識していないのです。


「検査では異常を認めませんでした。お話を聞くとストレスが原因の可能性が高いです」


 と説明し、そのうえで、


「とはいえ、『そのストレスを減らしてください』という訳にはいかないですよね……」


 と話すと、皆さん苦笑いされます。


 多くの場合は、仕事であったり家庭であったり、減らすことのできないストレスばかりです。

 それでもあえて言いたいのです。


「逃げることも大切」


 と。


 死を考えたり、家から出られなくなったり、食事が取れなくなるのは、あきらかに逃げた方が良いサインですが、その前段階、こうした体の不調が出た時点で、まずはその心の負担を「認識してあげる」という作業が必要だと思います。


「無理をしていたんだ」

「頑張りすぎか」


 とまずは受け入れてあげてください。


 そのうえで、どう逃げるか。


 逃げる話かどう変わりませんが、3つの話が思い浮かびました。


 羽海野チカさんの「三月のライオン」。

 将棋を題材にした漫画ですが、すごく有名ですよね。

 その中でいじめられた女の子が、学校を辞めて遠くの場所に行き、大変な思いをして少しずつ回復する話があります。

 心が苦しくなるような、壮絶なエピソードです。

 いじめについて、正面から向かい合う話で、この本は全話を通じて何度も読み返したくなるエピソードに溢れています。

 読んでいない方には、ぜひおお勧めします。


 次が、吉田秋生さんの「海街diary」。

 これも映画化された有名な話ですが、日々の「あきれるほどよくある」辛い出来事を、ひとつひとつ大事に生きていく人生模様を描いています。

 次の作品である「詩歌川百景」もそうですが、本人としては「善意の行動」が、相手には「悪意の行動」となる。人の弱さ、そこに対応する難しさが描かれています。

 逃げるエピソードよりも立ち向かう話が多いですが、これもたくさんの人に読んで欲しい作品です。


 そして、古い本になりますが、加藤諦三さんの「アメリカインディアンの教え」。

 心理学のユングを研究され、沢山の書物を出された方です。

 学生の時にこの本をボロボロになるまで読み返し、何度も助けられました。

 本の中に書かれている11の表題を書いておきます。


1、批判ばかり受けて育った子は非難ばかりします

2、敵意にみちた中で育った子はだれとでも戦います

3、ひやかしを受けて育った子ははにかみ屋になります

4、ねたみを受けて育った子はいつも悪いことをしているような気持ちになります

5、心が寛大な人の中で育った子はがまん強くなります

6、はげましを受けて育った子は自信を持ちます

7、ほめられる中で育った子はいつも感謝することを知ります

8、公明正大な中で育った子は正義心を持ちます

9、思いやりのある中で育った子は信仰心を持ちます

10、人に認めてもらえる中で育った子は自分を大事にします

11、仲間の愛の中で育った子は世界に愛をみつけます


 逃げる話ではない部分もありますが、心救われる話がちりばめられている名著なので、もっと沢山の人にも読んで欲しい本です。


 私は今でも「本当に疲れた」と感じたときは、誰もいない、何もできない場所で、ただひたすらぽーっとします。

 自分の中から生きる力が湧いてくるまで、ぼーっとするのが嫌になるまで、じっとしています。


 全てを失っても、良いじゃないか。

 そうなってもまだ、生きていけるし、楽しいことはあるし、いつかは全てを無くして死ぬのだから。

 と開き直ります。


 美味しものを食べるのも、

 仲の良い友人と話をするのも、

 何も考えずに身体を鍛えるのも、

 陽を浴びて外を散歩するのも、

 ひたすら眠るのも、

 大事な人と触れあうのも。


 心を救う、大事な方法かなと思います。


 ちゃんと逃げる話になったどうか解りませんが、

 逃げることも大切だよ、と伝えることができれば、と思います。





 ネタがつきましたので、この話でいったん完結としたいと思います。

 またネタが思いついたら不定期に追加するかもしれません。

 それと、これらのネタをもとに、また小説を書けたらいいな、とも思います。

 指摘されて思い出しましたが、もう40年も書き続けているのですから、きっと死ぬまで書き続けるのだと思います。

 日常が忙しいので、不定期ですが。


 こんな題材も書いて欲しい、という内容がありましたら、出来る限り答えたいと思いますので、感想で言っていただけるとありがたいです。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


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