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7、開店中〜女性会計〜

この小説はフィクションです。


「……………。」


あれから、どれくらいの時間が流れただろうか。


インスタント塩抹茶の空袋も、すでに二桁に突入している。まったくもう、いい加減にしてくれないと私が抹茶っ腹になっちゃうじゃないの。…まぁ、それはそれで妄想を掻き立てられるワードで、興味はあるんだけどさ。…って、そういう問題じゃなくて。




いつレジに来てくれるんだろ。




彼女はさっきの童話を片手に、店内をうろうろとしている。とはいえ、何かを探しているようには見えない。何て言うか、間を計っているというか、なんというか?


買うものはすでに決まっていて、あとはそれをレジに持っていけばいいだけなのに、あえて店内を余分に見て回る、この感じ。


…どうやら、見た目通りの小心者ちゃんと見た。物が1つだけでは申し訳なくてレジに持っていけない。そんなところではないだろうか。わかっていながら、絶対に詐欺を断りきれないタイプね。




…と、なると、妄想先は女騎士のラインが濃厚になってきたわね。妄想は、現実では叶えられない願望が、色濃く出るものだから。


んもぅ、この店では、そんな気遣い無用なのに。妄想に必要な品物は一品からでオッケー!。大事なのは、想いの濃密さ!妄想の深さとクオリティー!


さぁ!妄想世界への扉は、自分の選んだ一本の鍵さえあれば開くことが出来るの!さぁ、いらっしゃい!




………と、次のインスタント塩抹茶を作りながら、有名な舞台女優ばりに脳内で叫んでいると、




「………あ、あの…」




きたーーーーーーーーっっっっ!!!!


…いや、別にそこまで興奮しなくてもいいんだけどさ。なんか、気持ちが勝手に盛り上がっちゃったのよね。待ってたから。




「あ、決まった?」


ずっと見てたから知ってるけど、一応聞いてみる。


「………は、はい………」


おずおずと、彼女がレジカウンターに乗せたのは、さっきの童話。と、レモンライム味の飴が2つ。


出た。小心者ちゃんの気遣い。飴って、品数の上乗せにちょうどいいのよね。値段も安いし。私もよくやる。


「はいは〜い。飴が2つと、…あら、『白き姫様と騎士』?。いいものに目をつけたわね。」


若干白々しいかもしれないが言ってみる。こういう言葉が話を拡げるきっかけになったりするものだ。


「………は、はい……。」

「やっぱり女の子にとって、お姫様って永遠の憧れだものね〜。」

「え?………あ、………は、はい…。」

「あら。もしかして、ナイト様の方だったかしら?」

あえて、聞いてみる。


「……………。」


…ビンゴ。



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