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60/66

60、現実3~気付いて…る?~

この作品はフィクションです。


「あの…」

「何?」


キャリアーへと腰を下ろした彼女から、再びの問い掛け。


「えと………、お姉さんは、このあたりの人…、では、ないんですか?」

「うん、そうよ。」

「…じゃあ、なんで、こんな場所に、来たんですか?ここって…、多分、ですけど、地下室、ですよね?しかも、あちこちボロボロだし…」


………。


心臓が一瞬、どくん、とした。


「う~ん…」


考える。理由を。不自然でなく、この間すらも利用できる、そんな、私がここにいる理由を。


「…まぁ、あまり詳しいことは言えないんだけどね。逃げてるのよ、私。」

「え…?」


半分本当の事を言ってみた。


「あぁ、別に犯罪者とかじゃないから、安心して。…って言っても、安心出来ないかもしれないけど。」

「い、いえ………、」


明らかに動揺した様子の彼女。


「ちょっと、訳ありでね。ここなら見つからないだろう、って思ってここに逃げ込んできたら、あなたがいた、ってわけ。」


嘘だ。半分。


「そう、なんですか…」


少し沈黙。そして、


「私はてっきり、お姉さんが私を背負って、ここに連れてきてくれたんじゃないかなぁ、って…」


!!


「あはは、それはそれでなかなかドラマチックな感じね。残念ながら違うけど。」


内心心臓をバクバク言わせながら、笑顔で取り繕う。


…偶然、よね。まさか、事実に気付いてる、なんてことは、ない、わよね…?。


「でも、なんでそう思ったの?」

「う~ん…。…なんとなく。」

「なんとなく?」

「はい。」

「そう…。そっか。」


…とりあえず、大丈夫みたいだ。


「まぁ、あれね。逃げてる身の私としては、しばらくここに身を隠そうと思ってるんだけど、…いい?」

「あ、はい。別にここが私の居場所だというわけではありませんし、それに、どこかに行こうにも、記憶がぐちゃぐちゃで、どこに行けばいいのかわかりませんし…」

「そっか…。じゃあ、しばらくの間、よろしくね。」


本当は、こんなこと言える立場じゃないんだけどね…。





次回に続く。


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