48、現実~結末~
この作品はフィクションです。
現実を、思い出した。
自分が死んだ、という、現実。
私は、平和な町の雑貨店の店長でも何でもない。危険と隣り合わせの生き方をし、そして命を落とした、馬鹿な冒険者だったのだ。
……………滑稽だ。
結局私は、ずっと逃げ続けていただけだったのだ。親からも、周囲からも、死、からも。
思い返してみれば、キーワードはたくさんあったのだ。客としてやってきた、彼らの中に。
自分の弱さから逃げ続ける少女。彼女が妄想していた強い女性は、皮肉にも、私だった。
肥満の男性は、楽をして望みを成したい、という内容のことを言っていた。結局それも、嫌いな環境から逃げ出した、私自身の願望だったのだろう。
そして、金持ちの男性の、海と重り。そのままだ。海に沈む、という事実を、そのまま表していたのだ。
後輩くん、と呼んでいた彼。彼は、ひたすら、私に現実を説いていた。
彼は、誰だったのだろう。私を現実に引き戻そうとする私だったのだろうか。それとも、天使や死神の類か?
まぁ…、今となっては、誰でもいいのだが…。
自分の体は、すでに見えない。今頃、海の底へと沈んでいるところだろう。
そして私の意識も、
少しずつ、地上から離れていっている。
なるほど。
天に昇る、とは、よく言ったものだ。
本当に、こんな風に昇って行くとは思わなかった。
……………。
次に、生まれ変われるとしたなら、
平和な町で、
気ままに雑貨屋など、営んでみたいものだ…。
「ノミクジラはサイズ不明」終わり。
「はいOK!」




