40、開店中~二人目の男~
この作品はフィクションです。
結局、
彼はフィギュアを買うことなく店を出ていった。
まったく。目視できる媒体無しで大丈夫なのだろうか。妄想熱出して倒れなければいいのだが。
まぁ、あまり期待せずに待つとしよう。痩せた姿も見てみたい気もするし。
と、椅子に座り直したその時、
「…あら?」
再びの来店者。今日はなんだか慌ただしい日だ。
しかも来店してきたのは、
「こんにちは。」
「あ~、いらっしゃいませ~。」
出た!七光りセレブスーツ!
前回、何万円もする本格仕様の宝箱を買っていった、別荘でダイビング&バーベキューを楽しむのが趣味のセレブリーマン。…まぁ、全部私の妄想だけど。
今度はなんだろう?また宝箱だろうか。
「この間は、ありがとうございました~。」
「いえ、こちらこそ。大変満足のいく品物を、ありがとうございました。さすが本格的な仕様の一品。仲間内からも好評でした。」
「それはそれは~。」
…仲間内…。ダイビング仲間か?
あながち、私の妄想も間違っていなかったりするのかな…?
「それで、今日はどうしたんですか~?また何かお探しものですか?」
「えぇ。」
コクリと頷いて、
「海を感じる重りはありますか?」
そう言ってきた。
…重り…おもりか…
「う~ん。」
考える私。
海を感じる重り、と言えば、真っ先に浮かぶのは、錨。だが、あいにくと錨そのものは扱っていない。
ジオラマに使うような小さな錨ならあるけど、それでは重りにはならないだろうし。
…さて。
「ん~…、ちょっと探してきてみますね~。」
彼にそう告げて、私は倉庫へと入った。
店先に並べるには大きすぎるものだったり、重くて動かすのが面倒だったりするものを置いてあるこの倉庫。
海を感じる重り、ということは、別に、錨そのものでなくてもいいわけで。
その辺に置いてないかなぁ…。魚の形した鉄の塊とか。
…仕入れないか、そんなの。
「う~ん。」
倉庫を探し回ること数分。重りになりそうなくらい重そうなものはあったが、海を感じるようなものは見つからなかった。
…しっかし。なんかの呪文みたいな言葉が刻まれたでっかい石とか、天空を指差す男性のオブジェとか。あの時の私は、何故、これを仕入れようと思ったのだろう?妄想の助けにはなりそうだが、サイズも重量もオーバーだ。
まぁ、今の問題はそれではない。どこだ~。う~み~う~み~う~み~~~~~。




