39、開店中~イメージ~
この作品はフィクションです。
「あ、そういえば。」
ポン、と、一つ手を打って。私は切り出した。
「一つ方法は知ってるわ。本当にちゃんと痩せられるかどうかは知らないけどね。」
「…確実じゃないんですかぁ?」
「確実、という言葉が適応出来るのは、妄想の中だけよ。」
ちっちっち、と、指を振って、私は言葉を続ける。
「現実にそれを実現したいのなら、確率のリスクは受け入れないとね。でなければ、妄想の中で満足しておくこと。」
「はぁ。…で?」
一応、食いついてくれた、らしい。
「ずばり、イメージトレーニング、よ。」
ぴしり!と、人差し指を彼の鼻先に突きつける。
「私の言うイメージトレーニングは、まさにイメージするだけだから、あなたの言う、楽して痩せたい、に、ぴったりだと思うわよ。」
「………それって、頭で考えるだけ、ってことですか?」
「そうよ?」
「……………。」
明らかに納得いっていない表情の彼。ったく、人に無茶な意見求めといて、なんて表情してんだ。だったら自分で考えろよ!
…と、心の中で思ったことは、微塵も表情には出さずに、
「例えば。」
フィギュア棚から、美男子系フィギュアを持ってくる。
「このフィギュアみたいな体型になりたい!って、強烈にイメージするの。」
「はぁ。」
「中途半端じゃダメよ。強烈に鮮烈に、それ以外のことが何も頭に入らないくらいに。この体型になれなければ世界が破滅する、くらいの勢いでイメージしてみるの。」
「…はぁ。」
「そうすると、自然と痩せるための意識が身に付くから。」
「…そうでしょうか?」
「痩せなきゃ全てが破滅するんだから、痩せたいと思うしかないでしょ?」
「………。」
…うん。まぁ、我ながら強引すぎる理屈だとは思う。それで痩せられるなら、みんな実践してると思うし。
が、
我が儘なことを言う奴には、これくらい強引なことを言ってやった方がいいと思ったのだから仕方がない。
「まぁ、やるもやらないもあなたの自由よ。」
「……………。」
しばし沈黙。
「……………わかりました。」
「ん?」
を?やる気なのか?イメージトレーニング。
「とりあえず、今まで聞いてきた痩せる方法の中では、一番簡単そうなので、やってみようと思います。」
「簡単かどうかはわからないわよ?強烈なイメージを持続させられるかしら?」
「妄想は得意なので。」
さらりと言い放った。…正直、現実に囚われているようでは、妄想の同志とは認められない。このイメージトレーニングを、一つの試練として、彼に与えてみるのも悪くはないだろう。
お~。なんか、妄想世界の主っぽい。私ってば。




