第3話 出発、 そしてオーティスと出会う 10
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
食事がすむと、イヴとミルクはそれぞれ気ままに、
おだやかな夕べをすごしました。
イヴはぶらぶらと川辺を散歩し、
ミルクは例の木の側にこしを下ろして、
うつり行く夕ぐれの景色をノートにスケッチしました。
もう太陽はしずんでしまいましたが、
そのせいか、かえって空の色がよりふくざつで、
悲しみを深くしたようにミルクには思えました。
そしてかの女は、この空の色をえいえんにとどめておけないものかと
思いながら、色えんぴつを走らせました。
夕ぐれの美しい色がすっかり消えて
辺りがやみに満たされると、
つかれた二人はすぐに休むことにしました。
その日は月星のきれいなばんになりました。
そこで二人は、
さっそくピッピとチッチにすすめられたあみをハンモック代わりにして、
表でねむることに決めました。
長いあみはユニーク号の上部につるされて、
中ほどで二ヵ所にしばってあるので、
あみで三つのポケットができています。
ユニーク号の向かって前方にできたハンモックにイヴが、
後方にはミルクがそれぞれまくらとブランケットを持って入り、
真ん中のポケットには、
のどがかわいた時に飲めるようにすいとうと、
それからかいちゅう電灯を入れておきました。
ユニーク号の両はしにある大がさのライトは、
両方とも消してありました。
それまでのばんには点けておいたのですが、
その日二人は星の光をそこねたくなかったのです。
それに月がたいへん明るかったので、
ライトがなくても辺りがよく見わたせたのでした。
地面には、やわらかな心地のいい草花が生えていました。
目の前の大きな川は、
今では月の光を反しゃして、
きらきらとかがやいています。
時おりすずしい風がさっとふくと、
遠くから風にそよぐ麦のほの音が聞こえてきました。
そこら辺中草花や麦の、とてもいい香りがしていました。
(側でだれかが畑を作っているんだわ。小鬼達かしら)
ブランケットにくるまりながら、イヴはふとそう思いました。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年9月9日です。
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