第3話 出発、 そしてオーティスと出会う 5
犬の女の子、イヴとミルクが にじのかけらをさがして だいぼうけんに!
対象:小学校三年生位~
読み聞かせやいやされたい人にもおすすめ☆
「……と、言ったわけなのです。
ぼくの発明がこうして世に出るのは、
自分の子を送りだすような気持ちです」
ケンは、乗り物の説明が終わると、
イヴとミルクの方を見ました。
「イヴ、ミルク。
旅でユニーク号のすばらしさを、
世界中の動物に知らせてください。
気をつけて。そしてよい旅を」
ケンはこうして言葉を結びました。
みんながまたはくしゅをし、
ビスケットを食べていたピッピとチッチひきいる鳥達は、
口笛をふき鳴らしました。
それが終わるとまた、
イヴとミルクがユニーク号の真ん前に出て来ました。
いよいよ、二人が出発のあいさつをする番です。
ポチが二人の側に来ました。
そして朝一番につんだレンゲと、
シロツメ草で作ったかんむりを、
うやうやしくイヴとミルクの頭に乗せてくれました。
そのあいじょうがつまったかんむりは、
喜びでかがやいている二人のかわいらしい顔を、
さらに明るくいろどりました。
「まあ、どうしてだろう!
あんなかんむり、いくらもしないし、
すぐにしおれてしまうのにさ。
どうしてみんなは、ここへきて
二人を美しいなんてほめているんだろう。
せんれんされたおしゃれをしているのはわたしなのに。
かんぺきなキャット・ウォークができるのも、
二人ではなくこのわたしなのにさ」
シャロルは、もうくやしくてしかたありません。
そんな中、イヴが話し始めました。
ミルクはその少し後ろに立っています。
「親切な森のみなさんのおかげで、
ミルクとわたしは、こうして旅に出ることができます。
わたし達は必ずにじしょくにんを見つけ出し、
にじのかけらを持って帰って来ます。
それまで、みなさんもどうか、お元気で」
イヴのスピーチのとちゅうで、
もうがまんできなくなったシャロルが、
ふいに二人に後ろから近づいて行きました。
そして新しいペンキでぬられた、
きらきらと光るユニーク号を、
シャッとつめでひっかきました。
すぐに気がついたミルクにぎろりとにらまれましたが、
シャロルはまったく平気です。
今度は、長いつめで自転車のタイヤを
パンクさせてやろうとした、その時です。
大きな声で
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の掲載は2024年8月22日です。
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注意:この作品は 『小説家になろう』、『カクヨム』、『Novel days』に、同時掲載しております。