ALT杯予選 その2
さて、まずは状況の確認を……ん? なんかポケットに入ってる。
ポケットの中には一枚の紙切れが。
なんだろ……これ、地図?
赤い点が書いてあって、これが私の現在地かな?
試しに移動してみると、私と同じように赤い点が移動したからやっぱりこれが今の現在地っぽい。
……しかし紙の地図なのに赤い点が移動するって……いや、うん。気にするのはよそう。
「ふ~ん、ここ山っぽいね、弟子ちゃん」
「あ、うん……うん?」
なんでしらすがここに?
「むむ、なんでしらすがここに? とでも言いたそうな顔だね」
なにこの人、エスパーかなんかなの?
「そりゃあ当然いるよ、なんで弟子ちゃんのテイムモンスターだからね、私」
「あ、そっか」
なるほど納得。
「しかし山か~」
「なんかいい作戦思いついた?」
「う~ん……あ、思いついたかも」
「おぉ、さっすが弟子ちゃん、頭の回転が速い!」
ふっふっふ、褒めても何もでないわよ?
「早速準備に取り掛かろう!」
「おー!」
「よっし、準備完了!」
ついでに歩きながらしらすに作戦の内容を話しておいた。
「しっかし弟子ちゃん」
「ん?」
「何回でもいうけど、ホント弟子ちゃんってかわいい顔してえげつないことするよね」
「む」
なにその評価、心外なんだけど。
こんなこと誰でもす……る、よ……ね?
ヤバい、だんだん心配になってきた。
ま、気にしない気にしない、とりあえず準備段階スタート!
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ、バァァァァァン!! バァァァァァン! バァァァァァン!
空に綺麗な大輪の花火がいくつも咲き誇る。
さっすがゲーム世界、昼だっていうのにすっごい綺麗。
「た~まや~」
「ん? ねぇ弟子ちゃん、たまやってなに?」
「あぁそれはね……」
「ふ~ん、そんなのがあるんだ!」
とりあえずしらすにたまやのことを説明した。
まぁ簡単に言うと昔の花火屋さんのことだね。
「さてと、次の段階に進むからしっかり私に抱き着いといてね」
「もっちのろん!」
あぁ、魅惑のもふもふが私に抱き着いてる……! 癒される。
しかしこの至福の時間も長くは続けれない。
私たちは千変万化を使い山を一瞬で降りた。
最初の準備はこれの支度、他の人たちが状況を確認してる隙にステルスミッションで10mごとにある石を千変万化の転移を可能にする魔法陣をセットしてきたのだ。
さてと、他の人たちが私の予想通りに動いてくれたらいいんだけど……
俺の名はジェイク、サービス開始当初から初弾をプレイしてる。
俺の獲物はショットガン、近距離戦に持ち込みこいつで一気に仕留めるのが俺のプレイスタイルだ。
今回のALT杯、絶対に勝つ! そう心持ちを新たにしていた時……
バァァァァン!!
「な、なんだ!?」
俺にほど近い山で花火が上がった。
こんなことができるやつ、俺は一人しか知らない。
それは、罠師トーカ。
そいつはたった6人しかいなく、各種罠が基本バカ高いため一瞬でGが足りなくなる「罠師」を嬉々としてやり、レートがバカみたいに高い闇カジノでスロットを目押しという神業を使い「お金がない」という最大の問題を解決した後、一瞬でトッププレイヤーまで名を挙げたやつだ。
多分さっきのも馬鹿なやつが罠に嵌ったんだろう。
罠は時間がたてばたつほど密度を増して籠城戦に強くなるから今のうちに速攻で倒す!
後に知った話だが、この花火を見たプレイヤーほぼ全員が俺と同じ結論に至ったらしい。
「うんうん、見事にたくさんの人が山に集まってるね、さっすが弟子ちゃん」
私たちはさっきの山から3Km以上離れたところに潜伏し、ドローンを使って山の状況を確認している。
ちなみにこのゲームのドローンは1個1000万G近くする超高級品で、それにしらすと一緒に作った光学迷彩機能が備わったインクを塗りたくり、万が一にも発見されて壊されないようにしている。
「さ~てと、こんだけ集まれば十分かな?」
一応普通の罠も少ないがいくつか仕掛けてきたのでまだ山頂付近辺りに私がいると思ってるだろう。
「爆破するよしらす、衝撃に備えて」
「さーいえっさ~」
仕掛けたのは「破滅への導き」×3。
それを20分の1に分けた破壊の種ですら半径50mぐらいを更地にしたから単純計算で半径1㎞は更地になるほどだ。
3,2,1,GO!!!!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!
うるっさーーーーーーーーい!!!!!
ここまで爆風や煙が飛んできて、まわりが一切見えなくなる。
「しらす! 大丈夫!?」
「あ、うん、大丈夫だよ~。3㎞離れたここでこの被害って……」
「ん? なんかいった?」
「ん~ん、なーんもにゃい」
? 不思議なしらす。
ちなみにその煙は2,3分晴れなかった。
そしてその煙が晴れると…………
「うわぁ……………………」
先ほどまでそこに高くそびえたっていた雄大な山は、跡形もなく消滅していた。
「うん、自分で言うのもあれだけど、えげつない……」
遅れてごめんなさい!!!




