金魚(海龍)
「それじゃあ次は~、生命創造!」
「おー!」
ついに禁術シリーズ入るか~。結構あっという間だったね。
「これは簡単な方法とめんど……難しい方法の2つがあるよ、どっちから聞きたい?」
今この人絶対面倒くさいって言おうとしたよね……大丈夫なの? 自称最高の錬金術師。
「じゃあ簡単な方からで」
「オッケー、これはホントに簡単で、魂魄摘出で取り出した魂を肉体に入れるだけ」
ほ~、たしかにそれは簡単だね。
「まぁ難点としては私達の時代でも持ってる人が10人ぐらいしかいなかった魔導錬金術が必要ってことかな~」
あのスキルそんなレアなやつだったんだ……流石はイベント1位報酬。
「この方法だとホムンクルスに簡単な命令とかはだせるけど複雑なことは出来ないのが難点だと思う」
「なるほど」
つまり簡単だけどそんなに強くないってことね。
「次は難しい方なんだけど……これも2つあって有名なのが体から造る方法」
体から造るか~、禁術って感じがしてワクワクするね!
「もう1つは肉体を持たない存在……まぁ疑似精霊かな? 簡単に言うと。それを創る方法」
「へ~、てかこのゲーム精霊いたんですね」
「ん? そりゃあいるよ。ま、滅多に人前に現れないけどね」
「それはどうして?」
「ん~、やっぱり嫌われたからかな~、錬金術が原因で」
まぁそりゃそうだよね、ここら辺の妖精ほぼ絶滅させたりもしたらしいし。
「さ、じゃあまず私がお手本を見せる……と言いたいところなんだけど難しい方は結構時間かかるんだよね、だから簡単なほうだけやるよ」
「はーい」
「え~とそれじゃ使う魂はっと……これにしよっと」
そういって取り出したのは深海のような色の宝石、これはなんの魂なんだろ。
「じゃじゃーん、こちら海龍の魂です!!」
「か、海龍!?」
龍、それはこの世界で最強の幻想型エネミー。
海龍自体は他の龍と比べて比較的弱い、といっても私ぐらいから見たらなにも変わらないぐらいだけどね。
まぁ海龍は弱いけどフィールドが海だから戦いにくさはトップレベルらしい。
「デージーさん、そんな強かったんですか?」
「ん? 違う違う。これはズルして勝ったみたいなもんだし」
「ズルとは?」
「まぁこいつ生きてるときは蛇みたいになが~い体だったんだけどさ」
「はい」
やっぱ本とかに書いてあるリヴァイアサンみたいだったのかな?
「ゆうて海にいるってことは魚じゃん?」
「はい」
仮にリヴァイアサンみたいな見た目だとしたらそれを「魚」と言えるデージーさんマジパネェっす。
「つまり海じゃなかったら生きられないわけよ」
「はい」
「だから海水を汚染して倒した」
「はい……はい?」
「まずバレないようにリヴァイアサンが住んでる海域を隔離して、その海域の海水を全部対象にして海水を下位変化しまくったの」
なんてことないかのように言ってるけどやってることハンパないからね?
1海域を全部対象にして変化させるとか……ぶっとんでんな~。
「そしたら海水が死の水っていう触れるだけでダメージ喰らうやつに変化してそれで倒した」
それ逆に進化してない?
「ちなみに何回下位変化したんですか?」
「う~ん、100回ぐらい? 後半は成功率下がって大変だったな~。あ、もちろん倒した後は元に戻したよ?」
えげつねぇ……。
「ま、そんなことはどうでもいいの。それじゃこれを、そうだにゃ~……金魚に入れよう!」
「うわぁ」
かわいそうな海龍さん……突然海が変質して死んだと思ったら金魚にされるなんて……。
しかもホムンクルスだから逆らえないし……。
「それじゃあ発動! 『生命創造』!」
その台詞とともにデージーさんが右の小指にはめてる指輪が光って海龍の魂と金魚を光の環で繋いだ!
光が収まると、さっきまで死んでた金魚が1舜痙攣したあと急に暴れだした。
……そりゃあ金魚になったらビックリするよね……。
「暴れない暴れない」
また指輪が光ったあと金魚が落ち着いた、あれが命令か~。
「ま、ざっとこんな感じ」
「なるほど……」
「難しい方は自分で試行錯誤して頑張ってね~」
「あ、はい」
ホント適当ねこの人……
それから1,2週間ほどデージーさんとの修業は続いた。
…………あれ? 難しい方もできたんじゃない? こんなに時間あったら。




