melt to me
「そういえばデージーさん」
「ん? なんだい弟子ちゃん」
修業が始まってから2週間、気になってたことを聞いてみることにした。
「なんか『?????』ってなってるやつと精神転換ってやんないんですか?」
「あぁ……あれね」
? なんか言いにくいことでもあるのかな?
「よし! そりゃじゃあ教えてしんぜよう! 禁忌といわれる錬金術、その中で最も忌み嫌われる行為を!!」
「お、おう?」
なんか変なテンションね、デージーさん。
「と、その前に……それらを教えたらこの修業はおしまいよ。覚悟はいい?」
なんだかんだで2,3週間続いた修業、ついに終わりか~。
よし、気合入れていこう!
「はい!!」
「ふっふっふ、いい返事だね、それじゃあまず精神転換からやっていこうか」
デージーさんにしてもっとも忌み嫌われるとまで言わしめる禁術、どんなやつなんだろう。
「これは文字通り人格? 精神? を対象と入れ替えるやつ。じゃあ実際にやってみるんだけど……ちょっと拘束手伝ってくれない?」
「え? あ、はい」
なんかデージーさんが自分を鎖でがんじがらめにして一切身動きをとれないようにし始めたんだけど……。
まさかデージーさん、そっちの趣味が……! てそんなわけないか。
「それじゃあの金魚に使うからね」
といって手首のスナップだけで海龍が中に入った金魚に針を投げて刺した。おみごと!
「これは抵抗不能だからもし錬金術師と相対することがあったらこれには絶対当たらないようにね」
「了解です」
「それじゃあ使うね『精神転換』」
デージーさんの体が一瞬痙攣した後うーとかあーとか言いながら激しく暴れだした。
「うん、成功だね」
「え? どこ?」
「ここだよ、こ~こ」
声のするほうを向くと……金魚!? 金魚から声が出てた。
「金魚って声帯なくないですか!?」
「ふふん、すごいでしょ? 変換を使ってのどに声帯を造ったの」
「いや造ったのって……てか指輪とかなくないですか?」
「甘いね弟子ちゃん、私レベルとなるとそんなのなくても使えるのよ! ま、金魚に声帯なんてつくったらあと数分で死ぬけどね~」
そう言ってにゃっはっはと笑う金魚デージーさん。
……死ぬけどねなんて笑いながら言うデージーさんは、やはりどこかずれているなと思った。
「うっわ~暴れてるな~私、海龍気性荒いからね~」
もうすっごい暴れてるデージーさん(海龍)。ビッタンビッタン荒ぶっててまさに陸に上がった魚って感じ。
「よっと、うん、やっぱりこっちの体のほうが落ち着くな~」
あ、デージーさん帰ってきた。
そのあと先ほどの発言通り金魚は息絶えた。
「はいこれ、『転換の針』」
「ありがとうございます」
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「転換の針(概念)」
伝説の錬金術師デージーが作った最高傑作。
この針に実体はなく、使用者のイメージに沿った形に投影される。
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ま、またとんでもない物をもらってしまった……。
「さぁ、次はついに最後なんだけど……先に私についてもうちょっと詳しく話そうか」
「は、はい」
いつになく真剣そうに、椅子に座ったデージーさんがいった。
長話になりそうだから座ろうかと思ったけど手ごろな椅子がないから立って聞こっと。
「昔々、錬金術でたいそう栄えた国がありました。その国は、錬金術によって暮らしがとても便利になり、どんどん発展していきました。しかし、この国は禁忌とされる錬金術を嬉々として行うため他の国からはこう呼ばれていました。『狂気の国』と」
なにせこの世界はファンタジー世界。きっと皆神様を信じていたのだろう。
だから物質を根本から作り替える錬金術は、忌み嫌われていたらしい。なにせそれはまさに神の所業だ。
錬金術を進めると神罰が落ちるといわれていて、それを知りながら錬金術をする。つまり神罰を受けようとしているこの国は、他の国からしたらまさに『狂気』だったのだろう。
「そんな狂気の国、アルカミスタに1人の少女が生まれました。彼女はこの国の筆頭錬金術師から生まれた子供で、小さい時から錬金術に明け暮れる毎日を送っていましたし、彼女自身錬金術が大好きでした。そんな彼女はわずか10歳で親を抜き、この国の筆頭錬金術師になりました。筆頭錬金術師になると、『実験のため』と言えば大抵のものがそろうようになったのです。そうするとなおさら彼女は錬金術に没頭していきました。そんな彼女は当時アルカミスタでも禁止されていた『精神転換』、そしていまだに開放している者がいない『?????』に興味を持ちました。しかし、禁止されているのですから当然必要な道具は買えません。なので彼女はその道具をゼロから造ることにしました。そしてついに、彼女が15歳になった時、完成したのです。彼女は早速実験を開始しました。まずは獣。これは成功しましたが、当然その程度では満足しません。彼女はもっと高度な知的生命体にも使えるのかを試しました。アルカミスタの住人たちを使って……」
それじゃあもしかして……
「結果は大成功でした。転換の針を刺した相手と入れ替わることができたのです。そう、こんな風にね♪」
「え?」
突然視界が真っ暗になり、次の瞬間には元通り。
び、びっくりした~。
一瞬立ち上がろうとしたけど改めて椅子に座り直し……え? 立ち上がろうと?
なにかがおかしい、そう思って改めて周りを見渡すと、私の姿が見えた。
「あ~あ、だから言ったじゃん。もし錬金術師と相対することがあったらこれには絶対当たらないようにねって」
ガシャンと手元から音が鳴り、何事かと思って見てみると腕が椅子に拘束されていた。
「さ、さっきの話の続きを話すね」
「ちょ、ちょっと」
「そして彼女は、『?????』の正体も突き止めました。その正体は『melt to me』。その効果は『相手を自分にし、それを取り込む』というものです。しかし、これは相手に抵抗されると成功しません。しかし彼女はそれを使い、次々と町の人たちを取り込んでいきます。方法は簡単、まずは精神転換を使って自意識を奪い、そのあとmelt to meを使うのです。当然自分に使うのですから抵抗はありません。こうして、アルカミスタに住んでいた人達は、みな彼女、デージー・グレープに文字通りその身を捧げました」
グレープ、花言葉は好意や信頼、思いやり、慈善、人間愛とプラスな花言葉が多いけど、たしかもう1つ花言葉があって、それは……
「こうして住人1000人以上の寿命と経験値を手に入れた彼女は自分の工房にこもり、錬金術の研究を続けました。そして毎日待ち続けているのです。新鮮な人間がやってくるのを……」
……狂気。デイジーの「無邪気」とブドウの「狂気」。この人の両親は、きっとプラスな方の花言葉のようになってほしいと思って名付けたんだろうけど、なんともまぁ今のこの人にピッタリな名前になったねえ。
それじゃあやっぱり最初に見たあれらは偽物じゃなく本物、か……。
ま、こちらとしても研究材料にされるわけにはいかない。精一杯抵抗しますか!!
まずは塵化を使って邪魔な拘束椅子を灰にすると同時に無音榴弾と神罰之爆撃を組み合わせて作った完全隠密型発射砲を使って転換の針をデージーさんに打ち込み自分の体を取り戻す。
「お? にゃっはっは、流石は弟子ちゃん」
「いくよデージーさん! そう簡単には研究されてやんないんだから!!」
「いいねいいね、そうこなくっちゃ!」
<シークレットボス「狂気と栄光の錬金術師デージー」との戦闘を開始します>
こうして、私とデージーさん、最後の修業が始まった。
「melt to me」はFate/EXTRA-CCCのメルトリリスが使うメルトウイルスみたいな感じです。




