表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/52

08 欲張って、さらに強いゴーレムを作ってみました

 小人たちを鈴なりに身体にくっつけている、ストーンゴーレム。

 ハリガネみたいにスマートな身体で、かなりのノッポだ。


 頭はただの(マル)で、顔はないんだけど……なんだかボクをじーっと見つめているような、熱い視線を感じる。

 もしかして……ボクからの命令を待ってるのかな?


「ええっと……ゴーレム……じゃ何だから……そうだなぁ、キミの名前は……『ピエール』だ!」


 とっさに考えたストーンゴーレムの名前。

 たしかフランス語で『石』っていう意味だったはず。


 ボクが名前をつけてあげると、ピエールは返事をするように片手をあげた。

 動くたびに、石どうしが擦れあう音がする。


「よし、ピエール! えっと……左足をあげてみて!」


 続けての命令に、ピエールはゆっくりと左のふとももをあげる。


 すごいすごい、本当にボクの命令を何でも聞いてくれるんだ……!

 ボクは調子に乗って、さらに命令を出す。


「じゃあ次は、右足!」


 ピエールは左足をあげたまま右足もあげたので、バランスを崩して尻もちをついてしまった。


 ……ドッスン……!


 落石のような衝撃が、天空城を揺らす。

 ピエールに乗っていた小人たちは木の葉のように舞い上がったあと、元の位置に戻った。


 「わぁーびっくりしたー」と目を真ん丸にする小人たち。


「ああっ、ごめんごめん、みんな! びっくりさせちゃったね!」


 ボクはピエールに駆け寄って、立ち上がるのを助けてあげた。


 左足をあげてるときに右足をあげてと命令したら、左足を降ろしてから右足をあげるかと思ったんだけど……本当に言われたとおりにするんだ……。

 どうやら命令するときは、ちゃんと考えて出さなきゃいけないみたいだ。


 でも……それを差し引いても……頼もしい仲間が加わってくれた……!


 強そうだし、これならゴブリンたちとも戦えるかもしれない。

 でも、まだ一体だ。拾ってきた石はまだまだあるから……さらに仲間を増やしてみよう。


 ボクは、さらに大きなゴーレムを作るべく作業にとりかかる。

 今度はしっかりした身体にするため、寝かせた形ではなく積み上げる形で身体をつくる。


 まず石を広い範囲に並べて下地を作り、その上に石を積み重ねていく。

 賽の河原で、供養塔を作ったときの要領だ。


 高くなってくると手が届かなくなってきたので、ログハウスから椅子を持ってきて踏み台にしてさらに積んだ。

 かなり高くなったけど、まだまだ。ボクはピエールに高い高いしてもらって、さらにさらに積んだ。


 あたりが夕暮れになるまでかかっちゃったけど、ピエールよりも大きく、頑丈そうなストーンゴーレムができあがった。

 ログハウスの屋根でお昼寝している、猫のポポにも楽々と手が届きそうなほどの巨人っぷり……!


 ゴーレムに命を吹き込むには、ゴーレムの頭側にいなきゃいけないらしいので、ボクも屋根の上にあがってみる。

 ログハウスは木と違って手がかりが少なかったので、登るのに苦労するかなと思ったけどあっさり登れた。


 登るのが上手くなったのかなと思いつつ、高い屋根から見下ろすと……ちょうどゴーレムの頭があったので、手をかざす。


「……ゴーレム!」


 ボクの言葉を受け、震え出す新生ゴーレム。

 ピエールよりも使っている石が多いせいか、ゴゴゴゴゴって岩が転がってるみたいな音がする。


 やがて……ゴーレムは重々しい動きとともに、ガッツポーズするみたいに両腕を高く挙げた。

 丸太みたいに太い腕は迫力満点で、まるで石でできたキングコングみたいだ……!


「す……すごい……!」


 ボクは、怪物を生み出したフランケンシュタイン博士のような気分になっていた。

 なんだかとんでもないものを作り出してしまったんじゃないか、みたいなカンジ……!


「わーわー! ごーれむだ、おっきいごーれむだー!」


 しかし小人たちは大喜び。ピエールの上でぴょんぴょん跳ねている。

 と、思ったら……!


 ……ガラガラガラッ……!


 ピエールの身体が音をたてて、崩れ去ってしまった……!


 遅れてひらひらと舞い降りる小人たち。

 何が起こったのかわからない様子でキョトンとしている。


「ピ……ピエール!?」


 ボクはログハウスの屋根から、出来たてのゴーレムに飛び移り、ハシゴがわりにして地面に降りる。

 かつてピエールだった石の山に駆け寄ると、もうピクリとも動かなくなっていた。


「そ、そんな……ピエール! ピエール!?」


 ボクの知ってる空想上のゴーレムは、不死身の身体だった。

 攻撃されても痛みなんて感じなくて、身体をバラバラにされても死ぬことはないんだ。


 そのはずなのに、いくら呼びかけてもピエールは返事をしてくれなかった。


「ほ、ホントに、死んじゃったの……?」


 ボクは泣きそうになる。

 だって、友達になったばかりなのに……!


 こんな時だというのに、ボクの手の甲が光りだした。

 もしかしたら、オジサンに聞けばピエールを生き返らせる方法がわかるかも……!

 と思ってボクはホコラに走る。


「おおソラ、ゴーレムを作ったようじゃな。2体目は立派じゃったから、一気にレベルアップしたぞ。ちなみに『ゴーレム』にかけてあるポイントのぶんだけ、ゴーレムを作ることができるんじゃ。1ポイントなら1体、2ポイントなら2体という具合じゃな」


 迎えてくれたオジサンの説明で、ボクはすぐに理解した。

 ボクが2体目のゴーレムに命を吹き込んじゃったから、1体目のピエールが死んじゃったんだ……!


 ボクは後悔のあまり、ヒザを付きそうになっていたけど、


「余談かもしれんが……作れる数以上のゴーレムを作ると、古いゴーレムのほうから崩れ去っていくんじゃ。じゃが古いゴーレムにあった魂は、新しいゴーレムのほうに行くから、それまでに教えたことはちゃんと引き継がれるぞい。新しい身体に魂を移し変えることができる……ゴーレムが不死身といわれるゆえんじゃな」


 オジサンからの補足説明で、ボクの身体はシャキッとなった。


 振り返って新しいゴーレムのほうを見ると、小人たちとたわむれている。

 まるで、かつてのボクの友達みたいに……!


「ぴ……ピエール?」


 名前を呼ぶと、ひとまわり以上大きくなった身体を動かし、両手をあげてくれた。


「よかった……! ピエール! ピエール……!」


 ボクはホコラを飛び出し、たくましくなったピエールに抱きつこうとしたら、


「きゃーっ!」


 小人たちが悲鳴とともにピエールから飛び降り、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 てっきりボクが、びっくりさせちゃったんだ……と思ったけど、どうやら違うようだ。


「フーッ!!」


 ログハウスの屋根にいる猫のポポが、遠くを見て毛を逆立てていたんだ。


「……ギャーッ……!」


 背後から響いた嫌なダミ声が、ボクの耳にかじりついてくる。

 なんだかデジャヴのような感覚に、声のしたほうを見ると……。


「ギャッ、ギャッ! ギャアアアーッ!!」


 夕日を背にしながら、河原の向こうから迫ってくるゴブリン軍団の姿……!

 血が流れているみたいな、赤く染まった川を駆け散らすその様は……地獄から這い出てきた餓鬼のようだ……!


 ボクは反射的に、ホコラに舞い戻っていた。

 奇襲を受けるのも二度目だから、慌てない……!


 手際よく地図を開き、天空城を飛ばそうとしたんだけど、


「ああ、『奇跡力』が尽きておるから、今は天空城を動かすことはできんぞ。ゴーレムで使いすぎたんじゃな……しばらく待って、回復させることじゃ」


 オジサンのノンキな一言が表示されて、ボクの目の前は真っ暗になった。

■■■奇跡ツリー■■■(現在の神様レベル:6)


 今回は割り振ったポイントはありません。未使用ポイントが1あります。

 括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


 ●創造の奇跡

  魔法生物

   (1) LV1 ゴーレム  … ゴーレムを創る

   (0) LV2 小人成長  … 小人を人間にする

   (0) LV3 ???   … ???

  有機生物

   (0) LV1 絶滅    … 生命を絶滅させる

   (0) LV2 成長促進  … 生命の成長を早める

   (0) LV3 ???   … ???

  回復

   (0) LV1 治癒    … 病気や怪我を治す

   (0) LV2 死者蘇生  … 死んだものを蘇らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●天候の奇跡

  雲

   (0) LV1 雲     … 家の煙突から雲を出せる

   (0) LV2 虹     … 虹を出せる

   (0) LV3 ???   … ???

  風

   (0) LV1 風     … 風を起こせる

   (0) LV2 竜巻    … 竜巻を起こせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雨

   (1) LV1 雨     … 雨を降らせる

   (0) LV2 洪水    … 洪水を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

  雪

   (0) LV1 雪     … 雪を降らせる

   (0) LV2 大雹    … 大きな雹を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雷

   (1) LV1 雷     … 雷を落とす

   (0) LV2 導雷    … 目標に誘導する雷を落とす

   (0) LV3 ???   … ???

  火

   (0) LV1 火の粉   … 火の粉を降らせる

   (0) LV2 火の玉   … 火の玉を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●神通の奇跡

  神の手

   (1) LV1 ジオグラフ … 大地を切り取る

   (0) LV2 ウェポン  … 武器を出す

   (0) LV3 ???   … ???

  神の叡智

   (0) LV1 現界の声  … この世界の声を聞く

   (0) LV2 異界の声  … 異界からの声を聞く

   (0) LV3 ???   … ???


 ●天空城の奇跡

  高度

   (0) LV1 高度アップ  … 天空城をさらに高く飛ばせる

   (0) LV2 天空界    … 「天空界」まで飛ばせるようになる

   (0) LV3 ???    … ???

  速度

   (0) LV1 速度アップ  … 天空城の移動速度があがる

   (0) LV2 高速移動   … 高速移動ができる

   (0) LV3 ???    … ???

  流脈

   (0) LV1 消費減少   … 奇跡力の消費を抑える

   (0) LV2 放出     … 天空城から物体を放出できる

   (0) LV3 ???    … ???

  障壁

   (0) LV1 防御障壁  … 天空城を守るバリアを張る

   (0) LV2 水中潜行  … 水中に潜れるようになる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●太陽の奇跡

  気温上昇

   (0) LV1 気温上昇  … 気温を上げる

   (0) LV2 猛暑    … 猛暑にする

   (0) LV3 ???   … ???

  気温下降

   (0) LV1 気温下降  … 気温を下げる

   (0) LV2 寒波    … 寒波を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ