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04 天空城を動かして、地上に降りてみました

「よし、『ジオグラフ』を取得したようじゃな。さっそく使ってみるとよい。使うためには地上に降りる必要があるから、天空城の高度をさげるんじゃ」


 オジサンの指示に従い、ボクは画面を操作する。


 ボクの腕の中にいるポポはじっと画面を見つめていたけど、動くのに我慢できなくなったのか、白い手を伸ばしてチョイチョイと画面を触りはじめた。

 でも、肉球には反応しないようだ。


 画面に並んだアイコンの中から、地図のアイコンをタッチすると……衛星写真みたいな見下ろしの画面が出てきた。

 この天空城を中心として、周囲の地図が確認できる。


 画面をドラッグするとカメラの角度が変わって、真横から見た図になった。

 これで画面上にある天空城を、地面のほうに向かってフリックすれば、高度が下げられるようだ。


 試しにやってみると、身体がぐんと沈みこむような感覚を受ける。

 ホコラの外に目をやると、空の景色がエレベーターみたいに上がっていくのが見えた。


 すごい……!

 ボクは思わず目を見開いていた。


 画面の中だけじゃなくて、本当にこの天空城が動いているんだ……!

 こんなに大きくて、空飛ぶものをボクが動かしているだなんて……夢みたいだ……!


「高度を下げたようじゃな。天空城を動かしたり、これから教える『奇跡』を使うと、『奇跡力』が減っていくんじゃ。簡単に言うとエネルギーみたいなもんじゃな。『奇跡力』がどれだけ残っているかは、ここで確認できるぞ」


 画面では赤い矢印がアニメーションしていて、下のほうにある『奇跡力』の数字を示していた。

 数値はさっきまで150あったけど、高度を下げるのに消費したのか今は149になっている。


「『奇跡力』は余裕を持っておくのがよいぞ。地上で『奇跡力』がなくなると、回復させるためにしばらく浮けなくなるから、地上にいるモンスターなどに襲われても逃げられなくなるんじゃ」


 メッセージを目で追っていたボクは、途中で「えっ」となった。

 モンスター!? モンスターってあのゲームとかに出てくるモンスター!? そんなのがこの世界にいるの!?


 だったら降りる前に、地上が安全か確認しなきゃ……!

 と思ってホコラを出ようとしたけど、


 ズズ……ン!


 地震のような揺れと音をもって、天空城は着地してしまった。


 ああ、もう降りちゃったか……なら、もう別にいっか……。


 画面に目を戻すと、


「無事降りれたようじゃな。さっそくこのホコラから外に出てみるんじゃ。これからソラが暮らすことになる世界じゃから、しばらく散歩でもしてくるがいい。満足したら、またここに戻ってくるんじゃぞ」


 とオジサンは手を振っていた。


 そう言われて、ボクは今更ながらに気づいた。

 そうか……ここが、ボクの新しい世界なんだ……!


 今までは四畳半ほどの病室が、ボクの全てだった。

 でも、今はそんなんじゃない……! 高いところから見下ろしてもぜんぜん果てが見えないほどのデッカイ大地が、ボクを待っているんだ……!


 ホコラに風が吹き込んでくる。

 ボクの頬をやさしく撫でたそれは、土と緑のニオイがした。


 そうだ……!

 写真でしか見たことのなかった土や草や木が、すぐそこにあるんだ……!


 そう思うといてもたってもいられなくなって、ボクはホコラから駆け出した。

 ボクの腕から飛び出していったポポが、空中で猫から犬に変身して、ひと足先に先導してくれる。


 天空城はちょうど森の中にある草原に着地していて、うまいこと木々に囲まれたログハウスのような佇まいになっていた。


 天空城といっても、小さな家の庭くらいの、こじんまりした広さしかない。

 猫の額みたいな芝生の土地が、不思議と周囲の草原にピッタリと合っていて……まるで昔からそこにあったように違和感がなかった。


 まわりは木が転々とある薄い森。

 陰に隠れるようにしてウサギや鹿がいて、遠巻きにボクを見ていた。


「あっ……ウサギだ! 鹿もいる! おーい!」


 友達になれるかと思って手を振りながら近づいてみたけど、まさく脱兎のように逃げられてしまった。

 いきなり降りてきたから、びっくりさせちゃったのかなぁ……。


 しょうがないので木の上にとまっている鳥を、刺激しないように観察してみる。

 すると、枝に赤い実がぶら下がっているのに気づいた。


「……あれ? もしかしてこれ、リンゴかな……?」


 食べたことはないんだけど、図鑑とかマンガとかで見たことがある。

 たしかワンパク坊主が主人公のマンガで、木をするすると登ってリンゴを取って、木の枝に腰掛けておいしそうに丸かじりしてたんだ。


 ボクも……丸かじりしてみたい……!


 ボクは木に手をかけて、生まれて初めての木登りに挑戦する。

 木のウロやコブを手がかりにすると、するするとはいかなかったけど、なんとか登れた。


 木のまわりを、ポポが心配そうにグルグル回りながら、キュンキュン鳴いている。


「ポポ、そんな顔しなくても大丈夫! よっ……と!」


 ボクは手を伸ばして、手近な枝に掴まる。

 そのまま鉄棒みたいにぶら下がったあと、伸び上がって枝に腰かけた。


 すぐ目の前に、提灯みたいにぶら下がっているリンゴに手を伸ばして、もぎ取ってみる。

 でも引っ張っても千切れなかったので、リンゴを両手で持って、グルグル回してねじ切った。


「リンゴだ……! 本物のリンゴだ……!」


 ボクの手の中には、真っ赤でツヤツヤのリンゴがある。

 みずみずしくて、いい香り……!


 さっそくかじりつこうと大きな口を開けたところで、


「ワンッ!」


 と足元でポポが吠えた。


 お座りしたまま、ボクのほうをジーッと見上げていたので……もしかしたらリンゴが食べたいのかなと思い、オーバーオールのポケットのなかにリンゴをしまう。


 これはポポへのお土産にして、自分用のをもうひとつ取った。

 よし、今度こそ……! と大口をあけて、リンゴにかぶりつく。


 シャリッ……!


 気持ちのいい歯ごたえのあとに、蜜みたいな甘さと、ほんのりした酸っぱさと渋みが口いっぱいに広がる。


「お……おいしいーーーっ!!」


 ボクは自然と、心の底から湧き上がってきた気持ちを叫んでいた。


 ほっぺたが落ちるかと思って、とっさに手で押さえてしまうほどに、おいしかった……!

 この世に、こんなにおいしいものがあるだなんて……!!


 ボクは夢中になってリンゴにむしゃぶりつく。

 回しながらガシガシと噛みつき、欲張りなリスみたいに頬張った。


 いちどに、ゴックン……! と飲み込んだ瞬間。


「……んぐっ!? ぐふっ! げほっ! ごほっ! の、喉に……! わあっ!?」


 ボクは激しくむせるあまり、バランスを崩して木の枝から落ちてしまう。


「うわあああーーーーーーっ!?!?」


 こんな高いところから落ちたことがなかったので、ボクは情けない悲鳴をあげてしまった。

 おいしいリンゴを食べて天国にいたのに、急に地獄に落とされた気分……!!


 すると、また天国が戻ってきたような感覚が、ボクを包む。


 ぼすっ……!


 フッカフカの羽毛布団に飛び込んだような触り心地。

 木から落ちたショックでボクはまた死んでしまって、今度こそ天国に行ったんじゃないかと思った。


「ぽ……ポポ……!!」


 ボクの下では、ポポが仰向けになっていて……大きなお腹でボクを受け止めてくれたんだ。


「あ……ありがとう、ポポ!」


 ボクはポポを抱きしめる。

 ポポの顔に頬を寄せて気がついたんだけど……ポポはダラダラとヨダレを垂らしていた。


「……もしかして、お腹空いてるの?」


 尋ねると、ポポは「ウァン!」と鳴いた。

■■■奇跡ツリー■■■(現在の神様レベル:2)


 今回は割り振ったポイントはありません。

 括弧内の数値は、すでに割り振っているポイントです。


 ●神通の奇跡

  神の手

   (1) LV1 ジオグラフ … 大地を切り取る

   (0) LV2 ウェポン  … 武器を出す

   (0) LV3 ???   … ???

  神の叡智

   (0) LV1 現界の声  … この世界の声を聞く

   (0) LV2 異界の声  … 異界からの声を聞く

   (0) LV3 ???   … ???


 ●天空城の奇跡

  高度

   (0) LV1 高度アップ  … 天空城をさらに高く飛ばせる

   (0) LV2 天空界    … 「天空界」まで飛ばせるようになる

   (0) LV3 ???    … ???

  速度

   (0) LV1 速度アップ  … 天空城の移動速度があがる

   (0) LV2 高速移動   … 高速移動ができる

   (0) LV3 ???    … ???

  流脈

   (0) LV1 消費減少   … 奇跡力の消費を抑える

   (0) LV2 放出     … 天空城から物体を放出できる

   (0) LV3 ???    … ???

  障壁

   (0) LV1 防御障壁  … 天空城を守るバリアを張る

   (0) LV2 水中潜行  … 水中に潜れるようになる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●天候の奇跡

  雲

   (0) LV1 雲     … 家の煙突から雲を出せる

   (0) LV2 虹     … 虹を出せる

   (0) LV3 ???   … ???

  風

   (0) LV1 風     … 風を起こせる

   (0) LV2 竜巻    … 竜巻を起こせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雨

   (0) LV1 雨     … 雨を降らせる

   (0) LV2 洪水    … 洪水を起こす

   (0) LV3 ???   … ???

  雪

   (0) LV1 雪     … 雪を降らせる

   (0) LV2 大雹    … 大きな雹を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???

  雷

   (0) LV1 雷     … 雷を落とす

   (0) LV2 導雷    … 目標に誘導する雷を落とす

   (0) LV3 ???   … ???

  火

   (0) LV1 火の粉   … 火の粉を降らせる

   (0) LV2 火の玉   … 火の玉を降らせる

   (0) LV3 ???   … ???


 ●太陽の奇跡

  気温上昇

   (0) LV1 気温上昇  … 気温を上げる

   (0) LV2 猛暑    … 猛暑にする

   (0) LV3 ???   … ???

  気温下降

   (0) LV1 気温下降  … 気温を下げる

   (0) LV2 寒波    … 寒波を起こす

   (0) LV3 ???   … ???


 ●創造の奇跡

  魔法生物

   (0) LV1 ゴーレム  … ゴーレムを創る

   (0) LV2 小人成長  … 小人を人間にする

   (0) LV3 ???   … ???

  有機生物

   (0) LV1 絶滅    … 生命を絶滅させる

   (0) LV2 成長促進  … 生命の成長を早める

   (0) LV3 ???   … ???

  回復

   (0) LV1 治癒    … 病気や怪我を治す

   (0) LV2 死者蘇生  … 死んだものを蘇らせる

   (0) LV3 ???   … ???

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