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第38話 【クラウド電子カルテ】と【遠隔診療】。腐敗した神聖教会の没落

王立魔法学園の生徒たちを吸収し、【日本創紀学園】とスマートシティの人口はさらに爆発的な増加を見せていた。

市民たちがメタバースや最適な職場で生き生きと働く中、俺は理事長室で次なる社会インフラのアップデートに着手していた。

「レクト理事長。人口が増えたことで、都市の衛生管理と『医療格差』が懸念されます」

財務顧問のアカザワが、タブレットの人口動態データを見ながら報告する。

「これまでルーク院長たち治癒士が頑張ってくれていましたが、数万人の日々の健康状態を人力で把握するのは不可能です。特に、急な病気や怪我の際、治療院がパンクする恐れがあります」

「ああ、分かっている。だから今日から、都市の医療システムを【データ駆動型】へと移行する」

俺は空中にシステム画面を展開し、市民のタブレット端末と連動する新しいアプリケーションをリリースした。

「全市民の健康状態、過去の病歴、アレルギー情報などを一元管理する【クラウド電子カルテ(EHR)】の導入だ」

さらに俺は、市民全員に一枚のICカードを配布するよう手配した。

「そして、これが【スマート健康保険証】だ。これさえあれば、誰でも低額サブスクリプションで、最高水準の医療を平等に受けられる『クラウド型皆保険制度』が機能する」

「素晴らしい……! 富める者も貧しき者も、平等に命が守られる究極のセーフティネットですね!」

だが、俺たちのこの画期的な医療改革を、絶対に許さない者たちがいた。

【数日後・スマートシティの中央広場にて】

「愚かなる市民たちよ! 魔導具などという邪道な板に頼れば、神の怒りに触れるであろう!」

豪華な金糸のローブを纏い、高圧的な態度で演説を行っていたのは、大陸の宗教を牛耳る『神聖教会』の最高幹部、カルロス枢機卿だった。

この異世界において、「高度な治癒魔法」は教会の特権階級にのみ独占されていた。

彼らは「神の奇跡」と称して法外な寄付金(お布施)を要求し、金のない平民を見殺しにすることで、莫大な富と権力を築き上げてきたのだ。

「特に、あのレクトと名乗る異端者は許しがたい! ただちにあの薄気味悪いICカードを捨て、教会に金貨を納めなさい! さもなくば、今流行し始めている『瘴気インフルエンザ』に罹っても、我々は一切の奇跡(治癒魔法)を与えませんぞ!」

カルロス枢機卿の言葉に、広場に集まった市民の一部が不安そうにざわめく。

実際、この数日、都市の周辺では感染力の強い未知の熱病が発生し始めていたのだ。

そこへ、俺とアカザワ、そして真紅のコートを纏った【REDANGEL】のメンバーたちが到着した。

「神聖教会のカルロス枢機卿ですね。不安を煽って高額な商品を売りつけるのは、悪質な霊感商法スパムですよ」

「レクト理事長! 貴様、神聖なる治癒魔法の価値を暴落させる気か! これ以上の医療行為の無料化は、我々教会の利益に対する重大な侵害だ!」

「利益、ねえ」

俺は冷たく笑い、タブレットを操作した。

「俺たちが提供しているのは、奇跡という名の『ガチャ』じゃない。データに基づいた確実な【予防医療】と【遠隔診療】だ」

俺がシステムを起動した瞬間、広場にある巨大モニターに、都市全域の「感染症マップ」がヒートマップとしてリアルタイム表示された。

「な、なんだあの地図は!?」

「市民の端末から送られてくる体温や心拍数のデータをAIが解析し、瘴気インフルエンザの感染源と拡大ルートを完全に特定している」

「ば、馬鹿な! 診察もせずに病人の居場所がわかるはずがない!」

驚愕するカルロスを無視し、俺はREDANGELのリーダー、コイケに指示を出した。

「コイケ。感染が疑われる対象者の自宅へ急行し、【訪問看護】のオペレーションを開始しろ」

「ハッ! 【REDANGEL・訪問看護ステーション】、直ちに出撃します!」

コイケたちは空飛ぶ移動支援車両に乗り込み、AIが特定した患者の自宅へとピンポイントで飛んでいく。

現場に到着したコイケたちは、苦しむ患者のベッドサイドに寄り添い、最新のタブレット端末をかざした。

『AI画像診断……完了。症状に適合する最適な特効薬(コンパイル済)を処方します』

コイケが端末のボタンを押すと、空間から即座に生成された専用のポーションが出現する。

それを飲んだ患者は、みるみるうちに熱が下がり、笑顔を取り戻していった。

「対象者の心に寄り添い、自宅での安心した療養を支える……これぞ、我々REDの【伴走型・訪問看護】です!」

この様子は、すべて広場の巨大モニターに中継されていた。

高額な寄付金も、教会に出向く必要もなく、自宅にいるだけで天使(REDANGEL)たちが無償で特効薬を届けてくれる。

市民たちは、教会の嘘を完全に理解した。

「なんだ、教会の奇跡なんてなくても、レクト様のシステムがあれば一瞬で治るじゃないか!」

「今までむしり取られたお布施を返せ!」

市民たちの怒りの矛先が、カルロス枢機卿へと向いた。

「ひぃぃっ!? ち、違う! これは悪魔の術だ! 異端審問官よ、こいつらを捕縛しろ!」

カルロスが叫ぶと、武装した教会の私兵たちが襲いかかってきたが。

「対象者の健康を脅かす悪性のウイルスは、我々が【隔離アイソレーション】する!」

駆けつけた新人のレオンティーナが、大剣の腹で私兵たちを峰打ちにし、タダとアンドウが【行動制限アプリ】で一瞬にして全員を床に拘束した。

「あ、あわわわっ……!」

腰を抜かすカルロス枢機卿の前に、俺とアカザワが歩み寄る。

「カルロス枢機卿。あなたの教会の裏帳簿(ブロックチェーンの追跡データ)も、すでに解析済みです。集めたお布施をギャンブルに使い込んでいたようですね」

アカザワが冷酷な笑顔で、証拠のデータを空中に投影する。

「お、おわりだ……。教会の権威が……」

カルロスは白目を剥いて気絶し、衛兵たちによって連行されていった。

「よし。これで医療分野における特権階級の独占も破壊できたな」

俺は、健康を取り戻して歓喜に沸く市民たちを見渡しながら、満足げにコーヒーを飲んだ。

「レクト理事長。これでもう、この都市で病気に怯える者は誰もいなくなりましたね」

「ああ。誰もが平等に医療を受けられ、安心して老後を迎えられる。これこそが、真の福祉国家の完成形だ」

クラウド電子カルテと訪問看護の連携。

日本創紀学園がもたらす革新は、人々の命そのものを守る、優しくも絶対的なシステムとして大陸全土に定着していくのだった。

キャラクター・プロフィール

レクト

役割:主人公(日本創紀学園・理事長)

状況:【クラウド電子カルテ】と【スマート健康保険証】を導入し、都市にクラウド型国民皆保険制度を構築。AIによる感染ルートの特定と遠隔診療で、神聖教会の既得権益を完全に破壊した。

カルロス枢機卿(New)

役割:神聖教会幹部(ざまぁ完了)

状況:治癒魔法を独占し、高額な寄付金で私腹を肥やしていた悪徳聖職者。レクトの無料の訪問看護システムに客を奪われ、裏帳簿を暴かれて衛兵に連行された。

コイケ(REDANGEL)

役割:特務支援チーム・リーダー

状況:今回は戦闘要員ではなく「訪問看護師」として現場へ急行。患者の自宅で直接メンタルケアとAI処方を行い、対象者が安心できる伴走型支援を完璧にこなした。

レオンティーナ

役割:特務チーム研修生

状況:教会の私兵を瞬殺し、都市の平和(と自分の推し活の環境)を守り抜いた。最近は看護の勉強も始めている。

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