復讐心
ガルフと共に一つのテーブルに座り少し話しをしていた。
「本当に感謝します」
「いや、いいって。
そんな大した事をした訳じゃない」
頭を下げる彼女に俺は少し照れながらもそう返した。
それにしてもこの耳に尻尾…触ってみたい。
しかしこのガルフと言う女性は成人。
カルブと違って頭を撫でたりするのはやめた方が良さそう。
「そういえば、ユウキさんはなぜこの町にいるのですか?」
「それは…」
これは言ってもいいのだろうか?
「魔王軍の討伐…」
それを聞くやガルフは素早く動き俺の口を手で塞いだ。
「ここでその話はまずいですよ。
何処に耳があるか分かりませんから」
そうなのか…。
まあ確かに魔王軍の拠点が目の前にある街だ…そうかも、俺が迂闊だった。
しかし…それにしても髪が灰色、そして尖った耳、尻尾。
「やっぱりガルフって、名前といいカルブに似てるなー」
俺が思った事をそのまま、口にしてガルフに話すと驚くほどその話に食い付いてきた。
「い…今!!
なんと言いましたか!?
カルブと言いませんでしたか!?
それに私と似ていると」
ガルフは机をバンと叩き立ち上がるとその顔を俺の顔の近くまで持ってきて問い詰めてきた。
余程興奮しているらしく周りの目をお構いなしに早く話を聞かせてくれとこのままキスでもするのではないか?
という距離でせがんでくる。
「ちょ……ちょっと落ち着け!」
ふぅ…危なかった、あと少しで顔が熱くなる所だった。
自分は女性の方には免疫があまり無いのだ。
最近は彼ら…シーフのおかげ…いや、そのせいでかなり付いてきたが。
「ユウキ!
早くカルブについて聞かせてくれ!
生きてるのか? 元気なのか?
どこにいるんだ?
この懐かしい匂いはカルブのか?」
…
「あっすいませんこれ下さい」
カルブは道端にある店で買い物をしていた。
お金は自分の物がある。
買うものは薔薇のキラキラしたかわいいヘアアクセサリー。
ユウキさんにプレゼントするのだ。
それを買い、待ち合わせ場所のギルドへと向かう…。
その道中、カルブは怪しげな集団を見た。
全員が角を持つ獣人で構成されており、牛、ユニコーン、鹿の獣人達が歩いている。
それを見ていると息が荒くなって行くのを感じた。
奴らだ…母さんと父さんを殺した魔王軍。
集団が歩いてくると町の住人達は道の端に移動し頭を下げている。
自分もそれを真似てすれば目立たなかったのだろうが、それができなかった。
過去の記憶が走馬灯のように頭に映し出されてしまったからだ。
母が切り裂かれ倒れていくさま。
父が徐々に弱って行き命が消えていく様子。
それを何も出来ずただただ見つめる幼き頃の自分。
あの頃に戻りやり直したい。
頭を抱えそう言い続ける自分がいる。
取り返しのつかない現実。
もう戻ることの無い過去。
カルブは魔王軍の一番前で堂々と歩き向かってくる女を見て…やるせない思いと怒りがこみ上げて来るのを心と肌で感じた。
ヴェルデスタ、父を目の前で殺した女。
武器は巨大な両刃斧。
カルブは静かに足を動かし魔王軍の前へと向かっていく。
…
目の前に立つ小さな獣人。
どこかで見た、覚えのある顔だ。
その者から溢れ出すは復讐に駆られた哀れな殺意。
「どうした?
復讐者よ」
「お前に家族を殺された…」
カルブは剣を抜き構える。
「なるほど…、ではお前はあの時の子狼か。
人間共から税を徴収に来ただけであったが、予想外にも…少し楽しめそうか」
数人の部下に持たせていた斧を受け取り軽く振るう。
「熟した憎しみ、摘み取り。
新たな糧としよう」
カルブはいきなり全力で剣を振るった。
憎しみを込めた一撃、相手を殺さんと殺意に満ちて放つ。
「重いな…。
だが…貴様の刃では届かん」
カルブの全力の一撃を斧で受け止めその重さを確かめる。
怒りは強さだ。
人に殺意を覚えさせ罪悪感を捨てさせる。
そして、躊躇なく放たれる一撃を重くし。
殺気は相手に緊張を与える。
だが、それは思考を捨てるも同じ。
単調となりどこに攻撃が来るのかが手に取るように分かる。
そして何より、復讐心は私をより強くする糧だ。
とても美味な復讐劇、それを肌で感じると笑みがつい…こぼれてしまう。
相手、ヴェルデスタが笑う。
その表情は母を殺した時のそれだ。
憎しみが沸き起こり力が沸き起こるが何故か押しきれない。
いや…それどころか……力が入らなくなっていく。
ビュン!!
カルブは風を切る音と共に後方へと吹き飛ばされている事に気づいた。
次々と屋台を突き抜け無様に転がる。
「うう…」
グタリと倒れ、動けなくなった。
体が痛く力が抜ける。
コツ…コツ。
足音が近づいてくる。
「所詮はこの程度か。
暇つぶしにもならん」
斧が掲げられカルブの首めがけ振り下ろされた。
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