とある街にて
ユウキ率いる一行は今現在、魔王軍がいると噂される場所より一つ手前の街に来ていた。
そこは、商業が盛んな場所らしく、様々な品物が揃っている。
「先輩、先輩、見てくださいっす。
そこで売ってたんすよ、これ。
幸運の壺っす」
「よし、回れ右して返してこい」
「嫌っす、これで私は幸運になるんすよ。
ほら、先輩の分も買う予定っすから」
「…いるか!!」
ギャーギャーと騒ぐ二人を見てアンジュは笑う。
「全く、馬鹿な人間だな」
その腕には怪しげな金ピカのブレスレットが嵌められていた。
「おい、お前のそれはなんだ?」
「ん?ああ、気づいたか。
これはパワーストーンと言って…」
「お前もじゃねぇか!
戻してこい」
二人はかなり抵抗したが持っていた壺とブレスレットを取り上げ返品しに行く。
今のこのパーティーは財政難の状況。
こんな物を買っている程余裕は無い。
「返せーー!
それで宝石くじを当てて金貨のお風呂に入るんだーー!!」
「ひどいっす、先輩」
全く…。
パーティーのお金を管理している身にもなって欲しいものだ…。
まあ、やる事が無かった為、自分で言い出した事なのだが。
…
街に入り少し行くとヘレナが話しかけてくる。
「ユウキ様、私達3人は宿を取って参りますので、どうぞこの街の観光をお楽しみ下さい」
そう告げ離れていく…と言うのも後ろに立っているコトミが街を見たいと騒いだ為だ。
護衛としてカルブもいる。
アンジュはゲームの為忙しいと言いヘレナとシーフと共に宿へと向かった。
しかし…この街は少し不自然な様にも見える。
話によればここは魔王軍の幹部が居座る都市の手前。
もっと閑散としていてもおかしくないはずなのだ。
それに…獣人をよく見かける。
それも冒険者なのか武器を持った人達。
「先輩! 早くお小遣い下さいっす」
そんな事を考えているとコトミが手を差し出しお金を要求してきた。
これはヘレナが預けてくれたお金、この街に入る前に本人が使っていいと言っていたが…。
「先輩!早く早く」
結局、俺は渋々ながらも銀貨、数枚差し出す事にする。
本当は使わない方がいいのだろうけど…。
「ありがとっす先輩!
じゃあ、お昼にギルドで!!」
「あっこら待て!」
コトミはそれを手の平に受け取ると颯爽と走り街の中に消えた。
野郎、なんの為に3人行動してると思ってんだ。
「はぁ」
ため息をつきカルブを見た。
カルブはなんだか何時もとは違い緊張しているのだろうか。
少し息が荒く周りをキョロキョロと見渡している。
「カルブどうした?
熱でもあるのか…」
「ふわっ! ユウキさん!」
おでことおでこを当て熱を計った。
大丈夫そう。
いや…少し熱い…。
なんか、とっても熱い。
「カルブ、おでこが熱いぞ。
やっぱり熱でもあるんじゃ…」
それとも子供の体温は高めな為そのせいだろうか…。
この医療施設などが整っていない異世界での病気は命に関わる…と思う。
「取り敢えず、長旅の後だしギルドで休もう」
…
ギルドでは変わらず男性のウエイトレスがミニスカートを履き仕事をしている。
「ご注文は決まりましたか?」
今、カルブはいないギルドに入る前に買い物にでかけてしまった。
何でもここに来る途中で欲しい物を見つけたらしい。
暇なのでギルド内を見渡しているとカルブの様な毛並みの女性獣人を見つけた。
カルブとは違い立派な大人の背丈だ。
彼女はどこか尖っており、周りを睨みつけている様にも見える。
観察していると彼女はなにかに気づいた様で迷いなく俺を見た。
そしてそのまま観続けている。
視線が痛い。
だんだんと近づいてくる。
見すぎたか…。
そう思い観念し彼女を見ると受付の男性から悲鳴が上がった。
「この獣人の女性!
今、私のお尻を触りました!!」
「なっ! 馬鹿な!
私がそんな事をする筈が…」
ない。
そう言おうとしたが、周りの目や小声を見て聞き下を向いた。
実際やってはいない。
だが、それが問題ではないのだ。
自分が獣人である事、そして女性と男性と言う力の強き者と弱き者、と言う構図が出来上がってしまっている。
やっていない事の証明をどうすればよいのか、例えそれがあったとしてこの場の空気はそれを許す事はないだろう。
だが、一人…人間である、それも男性がその空気を断ち切った。
「いや、今見てたけど触って無かったよ。
俺が証人になってもいい」
なんだこの、おかしな構図は…。
地球でたまに見かける光景だが、こっちの世界でもこんな事になるとは。
てか、お尻を触られた時、こうすれば良かったのか…。
また一つこの世界にて学んだ。
「確かに、この獣人が!!」
「はいはい、俺見てたから。
おおかた、お金目当てでしょ?
そんな事で、人に迷惑かけるなよ」
「むぐ…」
これは本心であった。
痴漢が良いとは確実に言わんが…実際この世界でやられたし…。
だが、それを利用し何もやって無い人を痴漢の犯人に仕立て上げるのは地球での経験上、腹が立つ。
「あ…ありがとう。
懐かしい匂いがする方」
「そう言えば名前は?
俺はユウキ」
「私はガルフと言う者です」
読んでいただきありがとうございます m(_ _)m
【ブックマーク】や【評価】をしていただけると幸いです。
少しでも面白い、続きが見たい!と思ってくださいましたら。
広告の下 ↓に星をつける評価があります
☆☆☆☆☆を★★★★★
ブックマークと評価は作者の励みになります!
是非お願いします
↓↓↓




