たま争奪戦
ママ活を続けてさらに数日。
最近…インフレにインフレを重ねユウキのビジネスは今のところ成功しているかに見えた。
今日もユウキは化粧をし街へと繰り出す。
噴水の前で待っていると一人の女性が現れた。
その女性はとても優しく話す人で別段、普段の客と変わった様子は無かった。
しかしそれは、偽りだった。
夜…食事をして、飲み物を飲むとそれが起こった。
急に眠気がユウキを襲う。
「あれ…」
この感覚…どこかで……
それを見て女性は立ち上がりユウキの体を支える。
「大丈夫か? 家まで送っていくよ……」
声が遠くで聞こえる…いったいなにが…。
…
ガタガタと揺れている。
その揺れでユウキは意識を覚ました。
「ここは…」
「ようやく、起きたか…」
ユウキが起きて周りを見渡すと、そこは牢屋の様な場所だった。
ガタン
「うわぁ!」
「うるせーぞ!!静かにしてろ!」
床が振動し驚いてユウキが声を上げると罵声が外から浴びせられた。
「ここは…どこですか?」
ユウキはその部屋にいる男性の人達を見て聞いた。
全員に首輪がはめられ腕には手錠そして鎖がそれぞれの人達に繋がっている。
「さあな、だが少なくとも街を出てる」
ユウキは奴隷達を見てまさかと思い自分の首そして手を調べた。
思った通り首輪と手錠がはめられている。
嘘だろ…
ユウキは先輩の言葉をもっとしっかりと聞いて注意しとけば良かったと今更ながら後悔した。
この鎖はとても外せそうに無い。
皆ももう諦めているのか元気がなく全員下を向いてどんよりとしている。
「ところであんた、知ってるかい?
この後、私達が何されるのかを」
ユウキは知らないと首を振り隣の男性を見る。
すると男性は恐ろしい事を口にした。
「玉を取られるのさ。
子供が出来なくなるように…」
ひぃ!
ユウキは反射的に守った。
冗談かと思ったが男性は笑いもせず虚ろな目でそう告げた。
「そこでだ…、私達が取らなければならない事がある。
皆で協力して奴隷商人の女共を倒す」
それに対しては近くの小柄な男性が首を振って答えた。
「無理だよ…そんなの…。
だって、女性だよ?」
ユウキはそれに同意見だった。
ここの女性達とやり合うのは避けたい。
だが……この人数なら行けるかもしれない……それに玉が懸かっている。
ユウキはそう思い言った。
「俺はやるよ」
しかしその声に続くものはいない。
ユウキがだめかと顔を俯くとかすれた声が聞こえた。
「わ…私も…」
「私もやる…」
その声は呼び水となりかすかな声ながらも全員がそう答えた。
これなら行ける!!
ユウキはそう判断すると全員に繋がっている鎖を見た。
首輪についており全員が逃げ出さないように一人一人、順番に連結されている。
「まずは首輪を外す必要がある」
ユウキが周りを見渡すとそれは以外にも近くにあった。
頭上の格子からカチャカチャと音が聞こえる。
そこには鍵がぶら下がっていた。
どうやらそこは馬を操る乗り手が奴隷達を確認する為に開けられた場所らしい。
しかし、それは立ち上がっても届かない場所にある。
腕を伸ばすがあと少しで届かない。
ずいぶん高くに乗り手が座る様に設計された馬車だ。
それを見かねて周りの男性達がユウキの足を手錠をはめられた手で持ち上げる。
あと少しあと少しで…。
ガタン!!
馬車が揺れた瞬間体勢が崩れガシャンッと大きな音を立てて崩れた。
『キャー!!』
その騒ぎで数名の悲鳴がこだまする。
「うるせーぞ!! そんなに鞭で打たれたいか!?」
女性の怒号が聞こえる。
だが、ユウキは掴んでいた。
脱出する為の希望…鍵を。
…
「よし、これで準備オーケーだ。
後はいいね?
全員で扉が開いたら逃げるよ…。
誰が捕まっても振り返らず逃げる。
いいね」
作戦を確認しユウキ達は何も無いふりをして下を俯く。
「私が時間を少しくらいは稼いでやる。
奴らの魂を取るか、私らの玉を取られるか。
勝負だよ」
そして…馬車が停まった。
「みんな、いい子にしてたかい?」
気持ちの悪い声が聞こえ複数の地面を踏む足音が心臓を速くさせる。
唾を飲み込む音さえもが大きい。
カチカチ…ガチャリ。
「さあ…外にっ!!」
扉が開いた瞬間、外にいた女性を押しのけ、男性の波が外へと溢れ出た。
そこは街の中、奴隷商店の前。
街の外には森が見える。
「皆、急いで森へーーー!!」
「馬鹿なっ捕まえろーーー!!」
全員が慌ただしく動く。
女性達は近くにいた男性を捕まえたり鞭を振るう。
「男を舐めんなーーーー!!」
首謀者の男性が鞭の女性に体当たりし妨害する。
ユウキも早く森の中に逃げようとしたが、近くにいた捕まった人達を見捨てられなかった。
「やっ、放してっ」
鎖を再びはめようとする女性に向けて体当たりした。
「急いで逃げて!!」
再び立ち上がらない様に押さえつける…が…すぐさま逆に馬乗りにされた。
力が強すぎる。
勝てないっ…。
「馬鹿っ!逃げろって言っただろ!」
首謀者の男は奴隷商人の女性達に取り押さえられ首輪をはめられる所だった。
そしてユウキにも再び首輪と手錠がはめられた。
読んでいただきありがとうございました
m(_ _)m




