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王子様との婚約って大変!  作者: 宿月ひいな
第三章 アスター侯爵令嬢 キャサリン
53/72

ホールへの道順

フレデリック王子がキャサリンを迎えに控え室に迎えにくるはずが、まだ来ない。

時計を見ると5時20分を示していた。キャサリンは、何か違和感を感じた。


この部屋に通されてから、だいぶ時間が経っている気がするのに、まだそんな時間なの? なんか変。。。

キャサリンは部屋の中をぐるりと見回し、最後に窓の外を見た。そして違和感の正体に気づいた。

「ねえ、5時半って、まだ外が明るいわよね?」


「ええ、明るいと思いますが、今日はもう外はだいぶ暗いですね。」メアリはそう言って、懐中時計を取り出す。

時間を確認したメアリは、思わず叫んでしまった。

「大変です! もう5時45分です!」

舞踏会の始まりまであと15分だ。


「いくら何でも、この時間まで放ったらかしなのは、変よね?」

キャサリンが時計を見て、首をかしげた。

メアリから『この部屋からホールまで歩くと5分強かかる』と聞いた。どんなに遅くても10分前には出ないとまずい。王子の一時的なパートナーという自分の立場を考えたら、それでも遅刻だ。

「すぐにでも出ませんと。どうなさいますか?」侍女のメアリが聞いてきた。


フレデリック殿下が忘れているなんて事はないし。。。もし殿下が来られなくても、誰かに伝言を頼むはずよね。もしかして私がここに案内されたことが、殿下に伝わっていないのかしら。。。誰かの罠とか?

そうすると、ここで待っていても駄目ね。。。自分で会場へ向かったほうが良さそうね。


「殿下もお越しにならないし、伝言も届かない。きっとなにかのトラブルだと思うの。」

キャサリンの言葉にメアリがうなずく。

「ここにいても仕方がないし、私たちはホールへ向かいましょ。」

キャサリンは立ち上がると言った。「メアリ、道はわかる?」



キャサリンはメアリの後ろをついて廊下を歩く。廊下には人気が全くない。

2人の歩く速度も、焦る気持ちにあわせて速くなる。回廊へ出るドアの前まで来た。

メアリがドアを開けようとするが、開かない。

「キャサリン様! 鍵がかかっているようです。どうしましょう?」

キャサリンがドアを調べるが、これは蝶番(ちょうつがい)が簡単に外せないタイプだ。


「回廊を通る以外の道はないの?」キャサリンが冷静に尋ねる。

「ある事はありますが。。。1度、2階へ上がることになるので、10分以上はかかると思います。」メアリは不測の事態に、泣き出しそうになっている。


「まあ、それでは間に合わないわ。」

キャサリンは、そばの窓から外を覗き、見える景色を確認する。

「あの建物がホールかしら? この窓の外は中庭よね?」


メアリもキャサリンの隣から、外を見る。

「そうです、あれがホールです。ここからでは死角になりますが、あの大きな木の向こうに王族がたの入り口があります。」

「なら、中庭を通れば早いのでは?」

「確かにそうなのですが、今朝は明け方まで雨が降っていましたので、下がぬかるんでいます。ドレスも靴も、泥で汚れてしまいますよ。」


メアリの説明にキャサリンは、手を顎に当てて少し考える。

「でも、それしか間に合う方法がないでしょ? 行くしかないわね。」


「では、こちらです。」そう言ってメアリは、今来た廊下を戻ろうとする。

「どこへ行くの?」

「中庭に出るドアへは、少し戻りませんと。」

「まぁ、それじゃあ遠回りよ。ここから出るわ。」

そう言うと、キャサリンは窓を指さした。





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