作戦会議
この日の放課後、キャサリンはエドワードにサロンに呼び出された。
先週に図書館で閉じ込められた件の報告と今後についてを、フレデリック殿下も交えて3人で相談することになっていた。
「さっそくだけど、図書館の件は、誰が犯人か不明のままだ。」
フレデリック王子が調査結果を読み上げる。
「キャサリンに危害を加えそうな者は、誰もあの時に図書館で目撃されていない。西出入り口を使えば誰にも見られずに3階まで行けるから、そこを使ったのだろうな。」
「出入りはともかく、鍵はどうしたのかな? 普通の生徒は持っていないはず。」
エドワードが首をひねる。
「司書のカウンターには鍵が保管してあるけど、紛失はしていないそうだ。どこかで合鍵を手に入れたのだろうか?」
フレデリック王子も、同じように首をひねる。
「どうにかして鍵を手に入れたとして、犯人は鍵をいつも持ち歩いていたのかなあ? キャシーが図書館にいつ行くかなんて、誰もわからないよね?」
エドワードはさらに首をひねる。
「疑問点だらけだな。」フレデリック王子はため息を一つついた。
「次に、エミリー嬢の兄についてだが、近衛騎士として王城に勤めている。私とキャサリンがお茶を飲んでいたのを見られていても、不思議ではない。」
フレデリック王子が、再び報告書を読む。
「私がドレスを仕立てているとか、キャサリンが王城に来たとかという情報も簡単に入手できるだろうな。」
フレデリック王子の言葉に、エドワードとキャサリンの2人もうなずく。
「そういえば、キャシーは、エミリー嬢以外からも何か言われているんだって?」
エドワードがキャサリンに聞いてきた。
「何か言われるっていうほどの事ではありませんね。婚約したのか?と確認されるくらいかな。ちょっとした嫌味も言われるけど、貴族なんてそんなものだし。。。エミリー様からはたまに言われますけど、ステフの時ほど激しくないですよ。」
「それならいいけど、何かあったら絶対に教えてね。」
エドワードがキャサリンに念を押した。
「それにしても、まさかキャサリンがドアを内側から開けられるとは、思いもしなかったな。」
フレデリック王子がキャサリンに、ニヤニヤと笑いかける。
「僕も、キャサリンとステフがいつも一緒にいたって事を、すっかり忘れていたよ。」
エドワードは苦笑いだ。
「普段のキャサリンは慎重派に見えるから、まさか棚をよじ登るなんてなあ。。。私も見たかったよ。」
フレデリック王子のニヤニヤ顔に、キャサリンは頬を膨らませて不満な気持ちを表した。




