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王子様との婚約って大変!  作者: 宿月ひいな
第三章 アスター侯爵令嬢 キャサリン
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図書館

キャサリンとスーザンが図書館の玄関に着いたとき、誰かが建物の中から出てくる気配がした。2人が端によけると、出てきたのはエドワードだった。


「あれ? キャサリンじゃないか。大きな荷物を持って、返却かい?」

「ええ。薬草学で使った図鑑と標本です。先生に頼まれちゃって。」

キャサリンは自分の図鑑と、スーザンが持つ標本を目で示す。


「図鑑はカウンターに渡せばいいけど、標本は屋根裏部屋の棚だね。」

エドワードの説明に、スーザンの顔が引きつる。

「屋根裏部屋じゃ時間がかかりそうね。今日の買い物は諦めるわ。」


「スーザンは先に帰っていいわよ。エミリー様に会わなければ、もう返し終わっていたはず。遅くなったのは、私の()()でもあるもの。」

キャサリンがニコリと微笑み、スーザンの標本に手を伸ばす。

「でも、、、」と言い淀むスーザンの手から、エドワードが標本を取り上げた。

「僕が君の代わりをするよ。」



図鑑を図書カウンターの係に渡し、キャサリンとエドワードは2人で階段を上る。

2階までは通常の本が並び、それなりに人も多い。3階は専門書や持ち出し禁止の古い本が置かれ、ほとんど人がいない。標本は3階の奥の小部屋、通称、屋根裏部屋に返却だ。


屋根裏部屋に入り、標本を棚に戻す。あまり使われないのだろう、埃がうっすらと積もっていた。

戻し終わると、エドワードは小声でキャサリン話しかけた。

「エミリー嬢となにかあったの?」

キャサリンも声をひそめて返す。

「廊下で話しかけられました。殿下と婚約したのかって。」

キャサリンから話を聞いたエドワードは眉をひそめたが、「その程度なら問題ないかな」と1人でうなずいた。


そして、いくつか確認をした後、2人が部屋を出ようとしたが、扉は全く動かない。2人は顔を見合わせた。

「もしかして、閉じ込められました?」

「そうだね、たぶん外から鍵をかけられたね。」

「図書館で閉じ込められるなんて、ちょうど一年前を思い出しますね。」

「あれは地下だったけどね。」


「誰かが、意図的に、私たちを閉じ込めたのでしょうか?」

「『私たちを』か『キャサリンを』かは、わからないなあ。」

エドワードは、キャサリンの質問に首を傾げた。

「なんにしても、まずいことになったなあ。。。」

エドワードはドアを叩きながら呟いた。






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