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王子様との婚約って大変!  作者: 宿月ひいな
第二章 ブランドン伯爵令嬢 ステファニー
39/72

提案

「ステファニーの想像通り、犯人が誰にせよ、次も何か仕掛けてくる可能性が高い。今回は事件にならずに済んだけど、次はどうなるかわからない。だから、こっちが先に手を打とうと思う。」

フレデリック王子は、ここで改めてステファニーを見てニヤリと笑った。

「ステファニー、君には記憶喪失になってもらう。」


「きおくそうしつ。。。?」

「うん、君が一時的にでも王都を離れるのが、いいと思うんだ。ただ、この時期に突然領地に戻るのは、あまりにも不自然だ。それこそ、良からぬ噂の元になりかねない。だけど、なにかしらの不測の事態が起きて領地に静養に行くことになれば、不自然ではなくなるだろう?」


なるほど、なんとなくわかった。来週末には学園パーティーがあるのに、それを欠席してまで王都を離れるなんて、普通ではないものね。でも記憶喪失になってしまったら、勉強どころではないし、領地に戻るのも自然だわ。そうやって私がいない間に、誰が犯人か探せばいいってわけね。さすがフレデリック様だわ。

でも、こんなに早い時期から領地に戻るなんて、夢のようだわ! 去年は見られなかった流星群も、王都より領地の方がよく観察できるし、ワクワクしてきちゃうわね。


ステファニーがいろいろと考えを巡らせていたところ、フレデリック王子の声で現実に引き戻された。

「それで記憶喪失になる原因だけど、木から落ちたっていうのはどうだい? ステファニーらしいだろう?」

「いえ、それはダメです!全然私らしくありません!」

ステファニーが即座に否定したことに、フレデリック王子が驚いて目をみはる。


「木から落ちるなんて、ありえません。 どんな木だって、落ちずに登れます!」

ステファニーの力説にフレデリック王子が苦笑する。

「まあ、そこは大目に見てくれないか。」


自分が木から落ちるなんて不名誉だけど仕方がない、とステファニーはなんとか自分を納得させた。

「それで、領地に戻った後は、どうしたらいいのでしょうか?」

「いろいろと問題が解決した後に、記憶が戻ったことにして、学校に復帰したらいいよ。そのままずっと領地にいるって手もあるけど。」


ずっと領地にいる? それはずいぶんと魅力的ね。そうなれば、夏だけでなく秋も冬も春も、一年中、魔の森に行けるわ。真っ赤に染まる紅葉の木々も、氷が張った池も、全部見てみたいわ! あっ、でも、、、

「領地にいたら、お妃教育ができなくなりませんか?」

ステファニーがおずおずと尋ねた。

その様子を見て、フレデリック王子は珍しく優しい目つきをして言った。

「そうだな、、、婚約については、、、解消しようか?」


「殿下!」

今まで一言も話さなかったエドワードが、とがめるようにフレデリック王子の言葉を遮った。

しかし、王子はエドワードに顔を向け、静かに首を振った。





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