王子主催のお茶会
「ダイアナは、今月の王妃さまのお茶会には行かないのよね?」
ステファニーがダイアナに聞く。ここで言う「王妃さまのお茶会」とは、将来の王族の交流を深めるという目的で、第一王子妃、第二王子婚約者ダイアナ、第三王子婚約者キャサリンの3人が招待され、王妃の私室で開かれるお茶会のことだ。1、2ヶ月に1度の頻度で開かれている。
「それはそうよ。婚約者じゃなくなったもの。」
ダイアナは、当然でしょという顔をして答えた。ダイアナとギルバート王子との婚約は、2月の初めに解消されたのだ。
「私、1人じゃイヤだなあ。先月のお茶会はダイアナも出席したじゃない?今月も出ようよ。」
ステファニーはダイアナに縋りつくような様子で、ダイアナを誘う。
「出ようよって。。。先月は、婚約は解消されていたけど王妃さまからご招待されたし、最後の挨拶をしたいのもあったから出席したけど。今はもう部外者ですもの、出られないわよ。」
ダイアナは呆れた口調で言う。
「あ〜ぁ。王妃さまと王子妃さまと、私の3人! 気が重いわ。。。」
ステファニーの沈んだ声を、キャサリンの明るくのんびりした声が励まそうとする。
「ステフなら、大丈夫よ〜。フレデリック殿下の婚約者として、普段どおりしていたらいいのよ。」
「フレデリック殿下の婚約者ね。。。殿下が私を選んでくださったのではないし、自信がないわよ。」
そうなのだ。ダイアナはギルバート王子に望まれて婚約者になったのだが、ステファニーを婚約者に選んだのはフレデリック王子ではなかったのだ。
3年ほど前の夏、ギルバート王子主催の、貴族の令息令嬢が招待されるお茶会が開かれていた。
ギルバート王子は春に高等学校に入学した。高等学校に入学すると成人までの準備期間となる。そのため、王族に限らず、貴族の令息令嬢はお茶会を主催するなどして、貴族社会のアレコレを学ぶ場としている。
今回はギルバート王子主催であり、出席者が100人以上にもなった。立食パーティーの形式をとっているため、会場のあちこちで人の輪が作られている。王子との繋がりを持ちたいと考える者が多いのだろう、ギルバートを中心とした輪が1番大きい。
ギルバート王子の1歳下のフレデリック王子も出席していたが、ある意味、彼が1番の注目の的だった。
なぜならギルバート王子にはダイアナという婚約者がいたが、フレデリック王子には、まだ婚約者がいなかったからだ。
フレデリック王子は、この冬で14歳になる。上は18歳から下は9歳までの、自分こそが殿下の相手に相応しいと考える令嬢が、フレデリック王子を狙っていた。少しでも自分を殿下に深く印象づけたいと、あれやこれやの手を使う令嬢たち。
そんな中、ブランドン伯爵令嬢ステファニーと、アスター侯爵令嬢キャサリン、共に13歳は、殺気だった令嬢たちから離れて、テーブルに所狭しと並べてあるお菓子に、舌つづみを打っていた。




