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American Powerが全てを解決した〜神域 vs USA、まさかの結果〜

部室。

阿部亜里沙の狐化が★★★★☆に達していた。

耳のふわふわ度が最高水準に達していた。

尻尾の艶とボリュームが「もこ神」状態だった。

声が完全に雌狐化していた。

「……きゅ、きゅん……きゅるるぅ……」

「あぁぁ……可愛い……」と準。

「落ち着け変態」と奈々。

「落ち着いてる。感想を言っただけだ」

「感想を言うな」

「言いたくなった」

「言うな」

「言った」

「……」

狭霧が阿部を見た。

「……このままでは本当に妖となる。時間がない」

「反省させれば解けると言っていたが」と加賀。

「然り。だが本人に反省の気配がない」

「なんで反省できないんだ」と奈々(阿部に)。

「……きゅん……なにを……?」

「ポイ捨てだ」

「……きゅ……あれ……?きゅるるる……」

「反省の概念がないのか」

「ないんや……」と奈々(狭霧に)。「こいつ、反省って概念が根本的にないんや……」

「ではもう一つの方法を試す」と狭霧。

「もう一つの方法とは何だ」

「妖力に匹敵する異界の力で押しのける」

「その力を持つ者がここにいるということか」と準。

「呼んでみよ」

準がスマホを出した。

マイケルに電話した。

「マイケル、今どこだ」

「駐車場でBH5を磨いてたYO。呉さんから返ってきたばっかDesuYO」

「今すぐ来い。阿部さんが完全に妖になりかけている」

「了解YO!USA!」

「USA の意味がわからないが来い」

「行くYO!!」


廊下から足音がした。

ドアがバァンッと開いた。

「ヘーーーイ!みんな!!何か困ってるって聞いたYO!!」

「お前じゃないかと思ったYO」と加賀。

「加賀、"お前じゃないかと思った"はどういう意味DesuYO?」

「"異界より来たる力"を持つ存在として最有力候補がお前だということだ」

「なんでYO?」

「アメリカ出身だからだ」

「アメリカは異界DesuKa?」

「……日本からすれば、ある意味では」

「……まあ、いいDesuYO。何をすればいいYO?」

マイケルが阿部を見た。

「Oh……KAWAIIけど、Dangerだな」

「可愛いと言うな」とすかさず

「なぜDesuYO?」

「変態スイッチが入りそうになるから言うな」

「……お主」と狭霧(準に)。「自制心を持て」

「持ってます。入りそうになってる段階で止めています」

「入りそうになる前に止めよ」

「……善処します」

狭霧がマイケルを見た。

「……お主、身体に"違界の気"を宿しておるな」

「違界の気DesuKa?」

「異なる界から来た者の気だ。お主からはそれが感じられる」

「オレ、アメリカ西海岸出身DesuYO。太平洋渡ってきたDesuYO」

「それが"違界の気"だ」

マイケルがドヤ顔になった。

「Yes!アメリカンな魂、つまりPower of Freedom!どんな呪いも吹き飛ばす——USA MAGIC!!!!!!」

「言うほどかそれ……」と全員。

「言うほどDesuYO!!!!!!」

「具体的に何をするんだ」と加賀。

「見てなDesuYO!!!!!!」


マイケルがBH5のキーを天に掲げた。

「見よ!これが"American Power"だ!!!!!!」

「キーを持っただけだ」と加賀。

「でも何かが起きるDesuYO!!!!!!」

「起きない。キーを持っただけだ」

「起きるDesuYO!!!!!!」

窓の外を見た。

駐車場に止まっているBH5が。

エンジンがかかった。

「……え?」と全員。

ドゴォォォォォン。

EJ20ターボが目を覚ました。

ブーストが上がった。

「ブースト計が1.5kに達してるYO!!」とマイケル。

「誰も乗っていないのにブーストが上がっているのか」と加賀。

「上がってるYO!!!!!!」

「物理法則を捻じ曲げるな!!!!!!」と加賀(珍しく叫んだ)。

「American PowerはPhysicsを超えるDesuYO!!!!!!」

「超えない!!!」

「超えたDesuYO!!!!!!」

BH5の排気が窓から入ってきた。

白い霊気になっていた。

部室に流れ込んだ。

阿部の狐オーラと真っ向衝突した。

「……馬鹿な。妖力と拮抗しておるぞ……!?」と狭霧。

「拮抗してる!!!!!!」とマイケル(嬉しそうに)。

「拮抗しては困る!もっと押せ!」

「FREEDOOOOOM!!!!!!!!!」

EJ20ターボがさらに音を上げた。

狐オーラが揺らいだ。

「……きゅぅ……きゅる……き……」

「行けDesuYO BH5!!!!!!!!!」


ドオォォォン。

狐オーラが霧散した。

耳が消えた。

尻尾が消えた。

金色の瞳が元に戻った。

阿部がソファで目を覚ました。

「……あれ……私……なんでソファで寝てるの?」

「お前昨日まで"きゅんきゅん狐"だったぞ」と奈々。

「は?」

「狐耳が生えて、尻尾が出て、きゅるるる言ってた」

「は????」

「本当だ」

「は????????」

「本当だ」

「……覚えてない」

「覚えていないのか」

「全然覚えてない。最後の記憶は神社でペットボトルを——」

阿部が止まった。

「……あ」

「あ、じゃないぞ」と奈々。

「……ポイ捨てした」

「した」

「……それが原因か」

「そうだ」

阿部が少し間を置いた。

「……ごめん。ポイ捨てした」

「狭霧さんに言え」

阿部が狭霧を見た。

「……ごめんなさい。ポイ捨てしました。二度としません」

「今回は反省したか」と狭霧。

「……した。自分で言うのも何ですけど、本当に反省しました」

「何故」

「……覚えてないけど、なんか恥ずかしいことしてたらしいので」

「恥ずかしかったのか」

「……みんなの顔を見ると、なんかすごいことになってたんだろうなって」

狭霧が少し間を置いた。

「……まあ、反省があれば十分だ」

「ありがとうございます」

「ゴミは必ず持ち帰れ」

「持ち帰ります」

「本当にするか」

「します」

「……するといい」


加賀がマイケルを見た。

「マイケル……お前……」

「オレ、何もしてないDesuYO。キーを持っただけDesuYO」

「キーを持っただけでBH5が自動起動して物理法則を超えたブーストが上がったのか」

「……よくわからないDesuYO」

「よくわからないのか」

「わからないDesuYO。でも——BH5が頑張ってくれたDesuYO」

「BH5が頑張ったのか」

「先週、中華アンチラグで傷めたのを呉さんに直してもらったばかりDesuYO。だから——恩返ししてくれたんじゃないかDesuYO」

加賀が少し間を置いた。

「……走り屋的に言うと、それは正しい解釈だな」

「そうDesuYO?」

「車は乗り手のために動く。乗り手が困っているとき、車は応える。俺もセリカにそういう経験がある」

「加賀もDesuYO?」

「ある。峠で本当に困ったとき、セリカがいつもより応えた気がした。気のせいかもしれないが——そういうことがある」

「走り屋とJDMの絆DesuYO」

「絆、と呼んでいいかはわからない。でも——まあ、否定しない」

「ありがとうDesuYO、加賀」

「礼は要らない。BH5に言え」

「BH5、ありがとうDesuYO」とマイケル(駐車場に向かって)。

BH5は静かに止まっていた。

エンジンはもう切れていた。


後日談。

狭霧が言った。

「……しかし、あの力は一体何だったのだ」

「にゃ。多分"馬鹿の力"にゃ」と朔夜。

「それだ」と準。

「100それだ」と加賀。

「異議なし」と奈々。

「HEY!聞こえてるYO!!」とマイケル。

「聞こえているのを承知で言った」と加賀。

「ひどいDesuYO!!」

「ひどくない。事実だ」

「事実でも——」

「馬鹿の力、という表現は否定的ではない」

「否定的じゃないDesuKa?」

「馬鹿の力は時として正しい力になる。今回がそれだ」

「……ありがとうDesuYO、加賀」

「礼は要らない。でも——」

「でも?」

「物理法則は捻じ曲げるな。次は曲げるな」

「次も曲がるかもしれないDesuYO」

「曲げるな」

「でも——」

「曲げるな」

「……わかったDesuYO」

「本当にわかったか」

「……わかったDesuYO」

「……まあ、わかったならいい」

瑞羽が窓から覗いた。

「のう、今のが"異界の力"とやらじゃの」

「来るな」と狭霧。

「来ておるぞ。して——アメリカという異界の力が妖力と拮抗したのう」

「そうだ」

「……面白い国じゃのう、アメリカというのは」

「面白い国DesuYO」とマイケル。

「のう、そなたの力——もう少し詳しく聞かせてくれぬか」

「いつでもDesuYO!アメリカの話、し放題DesuYO!」

「面白そうじゃのう」

「来るな」と狭霧(瑞羽に)。

「来ておるぞ」

「帰れ」

「帰らんぞ」

「帰れ」

「帰らんぞ」


朱音がメモ帳に書いた。

「American Power事件:マイケルがBH5のキーを天に掲げた→BH5が自動起動→ブースト1.5k自己上昇→排気が霊気になって狐オーラを霧散→阿部の狐化が解除された。加賀:"馬鹿の力は時として正しい力になる"と言った——走り屋の哲学として記録しておく。阿部:自発的に反省した——"恥ずかしいことをしてたんだろうと思って"という理由——これも記録しておく」

「BH5:乗り手のために動いた——加賀がセリカとの経験と照らし合わせて"車は乗り手のために応える"と言った——走り屋とJDMの絆として記録しておく」

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