第47話 墓
あれから、ちょうど3年が経った。
私はジョーカーと名乗った女性の墓の前にいる。
お墓を掃除して、花を添え手を合わせる。
あれ以来ジョーカーの姿は見られていない、やはり転生はしなかったのだろう。
タキさんの師匠は1年毎くらいに帰ってきたけど、別な世界に行くことは出来ても、狙った世界の狙った場所に行くのは難しいそうだ。
代わりにこちらに召喚することは出来ると言われたが、そんな不便な事に巻き込まれるのは私達だけでいい。
先生は学校を始めた。
街の援助を取り付け、建物も正式に購入した。
街の子供たちに基礎教育を受けさせるのが目的の学校を運営している。
タキさんは時間があるときは、ここで教師をしている。
兄は学校住まいが出来なくなって、騎士団に入った。
騎士団なら宿舎があるので、少なくとも屋根がある部屋を与えてもらえるからだ。
最年少だけあって、こき使われているらしい。
アルベルトさんはジョーカーを討伐したことで、騎士団でまたキャリアを伸ばした。
そして騎士団長が変わったので、職場が随分と居心地が良くなったと言っていた。
歳の近い兄とよくつるんで繁華街で目撃されている。
ウィリアムくんとルルさんは相変わらずだ。
「あどけない姿も良かったが、今の凛々しい姿はもっと良い」
とは、ルルさんの言だ。
多分ルルさんは悪化したと言って良いかもしれない。
元ルルさんは騎士団員で、この国で最も強かったってのは言ったかな?
そんなルルさんを止められるのは、この国でたった一人ウィリアムくんだけなのだから、もはや最強はウィリアムくんと言っても過言はないかもしれない。
死んだ笹さんは、街の東にある城の共同墓地に埋葬された。
今思えば、彼の人生は短くて悲惨だった。
同情はする、でも許しがたい行為をしたのだから罰と言えなくもない。
今でも、そんな複雑な気持ちになる。
ジョーカーのお墓は一般の方々とは一緒に出来なかったので、離れた場所に立っている。
街からほんの少し離れた草原の丘。
強い風が吹き、ザァーザザァーと波の様な音をたて、波打つ広大な草原。
そこには、ひっそりとたたずむ様に建てられた墓石の前に立つ男女。
一人は私、もう一人は親愛なる人となったタキさん。
来月、私達は結婚する。
ジョーカーにはその報告と、この出会いをくれた事への感謝を…
「さぁ、そろそろ街に戻りますよ。コトネ」
「はい、あなた」
二人は丘を下り、街に向かって歩き出した。
おしまい




