☆クレア
前回登校日 2015/3/22
前回のお話 新商品として燻製を作ることにした。
私は木工職人になるために町に出てきました。
特に伝などありませんでしたが、何方かに師事できればと考えていたのです。
ですがそれが甘い考えだという事でした。
私が生まれた村のように住人が少ないなら男女訳隔てなく扱ってもらえたのですが、町では女性の弟子は取ってもらえません。
もちろん裁縫など女性向きの職人であれば問題ないのでしょうが、私がなりたいのは木工職人です。
あちこちの工房に頭を下げお願いをしましたがどこも受け入れてくれませんでした。
そうしてるうちに資金も尽き宿に泊まるどころか食事も取れなくなってしまったのです。
もっと早いうちに諦めてれば村に戻ることも出来たのでしょうが、私が町で修行をする為に決して裕福ではない生活の中から資金を捻出してくれた両親のためにも諦めるわけには行きませんでした。
でも、どうしようもなくなりました。
生きていても仕方ないと思うと共に、死にたくないという気持ちもあり私は保護を求めて教会に行きました。
木工職人となることは諦めるしかないですが、良い主に引き取られることになれば村の両親を心配させないで済むかも知れません。
両親に手紙を出すことを許してくれる主に引き取られることを希望に毎日を過ごしていました。
そんな時大量の奴隷を求める方が来られたとサーシャ様からお聞きしました。
相手の方の条件に私も当てはまるということで面談に向かいました。
いくら待遇の良い保護奴隷とは言え、性奴隷として扱われないとは限らなかったのですが大人数ということで性奴隷として扱われることは無いだろうという思いと共に、そんな大人数で何をさせられるんだろうという不安もありました。
主となられる方からのお話では、奴隷の技能については特に何も求めておられないようなことを言われてました。
その言葉により一層の不安が高まってきました。
私は今回のお話をお断りしようと心に決めましたが、個別の質問に対しては答えない訳にはいかず皆と同じように質問に答えていきました。
私が木工職人を目指してたという説明をしたときに主となられる方は、丁度良いというようなことを言われました。
そして特殊な弓を作ってもらうことを考えてるが出来そうかと尋ねられました。
私は作ってるのを見たことがあるだけだと答えたのですが、その方はそれでも言い自力で練習し技術を身に付ける気があるなら是非きて欲しいと言われました。
混乱したままの私でしたがサーシャ様にお尋ねしたところ、あの方のところへ言った人たちは皆幸せに暮らしてるということをお聞きしてお世話になることを決めました。
その方が私のご主人様となったのです。
そうして家に着いた翌日から私はクロスボウと言われる弓を作る作業につきました。
ご主人様は図面を描き、構造を説明してくださいました。
それは力や技術の無いものでもある程度の精度で撃てる画期的な弓でした。
構造もまずは単純なもので作るようにと言われましたが、私にとってはそれでも繊細な加工を必要としました。
ご主人様は木工は遊び程度でしかやってないと言われてましたが、それでも高い技術力と高い知識をお持ちでした。
もしかすると知識に関しては町の親方達より高いかもしれません。
町で弟子入りするよりも遥かによかった気がします。
こうしてご主人様に教わりながら最初のクロスボウが完成しました。
自分で試し撃ちしたところおおよそ狙ったところに飛びました。
ご主人様にも見てもらうと、まずますの評価を頂きこれと同じものを後幾つか作るように言われました。
その後はより遠くまで飛び正確に狙えるものを開発していくつもりなので私にも構造の研究をするようにと言われました。
クロスボウの研究をしながらも、家や店の内装を行ったり家具や道具を作ったりと毎日楽しく生活しています。
そして両親にも手紙を送りました。
保護奴隷として引き取られたことを正直に書き、解放していただけるという申し出を断って奴隷のままで修行をしているという事も書きました。
あと、何時かは私を村に連れて行ってくれると言ってくれたことも書きました。
そんな両親からも返事が届きました。
両親は私が選んだことだから頑張れと書いてくれてました。ただ奴隷の身だと孫が見れないのが寂しいので可能なら解放してもらってご主人様との孫を連れて帰って来いと書いてました。
今の私はまだまだ駆け出し職人です。
お願いすれば解放はしてもらえると思います。
でも、ご主人様との子供が欲しいなんて今の私には恐れ多くて口には出せません。
いつか誰もが認める技術を身に付けたときにはお願いしてみようと思います。
好意的なコメントをいただけました。その為安易なテンプレルートに走らず今後の展開を考え直したいと思います。終点の無い話ですので投稿間隔も大きくなり興味を持っていただいてる方にはご迷惑をおかけするかと思いますが宜しくお願いします。