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☆魔法

前回投稿 2015/3/12

前回のお話 高級志向の店と庶民的な店をオープンした。

こちらの世界に来てから何をやっても成功している。

障害が殆どなにも無い状況だ。

それだけに今手詰まりな感じがしている。

町に店を出す前にも考えていたことだが自分の生活のために何かをする必要が無くなり退屈しているのだ。

小市民な俺は生活できるだけの収入があればよく必要以上の金をため込む必要を感じない。

塩や干物の製法など外部に漏らしたくないのは生活費を稼ぐ手段が無くなることが怖かったからだ。

その手段が偶々大金を産み現在の状況になっていると言うわけだ。

そして社会貢献も兼ねた赤字覚悟の出店もすぐに軌道に乗りやることが無くなったと言う状況だ。


そこで、以前から気になってた魔法について調べてみようと思った。

良くある異世界物のように戦闘を行う必要の無い俺は今までに魔法を見たことが無い。

ただ、魔法もしくは魔力が存在する世界であるのは間違いないのだ。

一番身近なものとしてはギルド証がそうだろう。

一枚の金属の板なのに、クレジットカードのような機能があるのだが驚くことにギルド証どうしで金銭の受け渡しができるのだ。

携帯の赤外線通信のようなものだ。

それも携帯のように何かを入力する必要もなく頭に思い浮かべるだけで指定した金額が転送される。

双方が同じ額を思い浮かべないと転送されないというセキュリティ付きなのだ。


その他には嘘発見器のような水晶が存在する。

町の入り口やギルドのカウンター等に置かれており、水晶に手を置き質問に対しての回答を頭の中で許可することにより記憶からの情報を水晶に表示するというものらしい。

たとえば貴方の昨日の夕飯を教えてもらっていいですか。という質問にたいして許可を出すと何を食べたかを考えることもなく表示されるという優れものだ。

これは俺が忘れてしまってるものまでわかる。許可を出すだけでいいのだ。


あとは一般家庭にある身近なものとしては、分解の瓶というものがある。これはトイレやゴミ箱に使われるものだ。

これに入れたものは分解され無害な砂のような物質になる。

日本で一時期はやった生ごみ処理機のようなイメージだが、一瞬で分解され消臭もされるという優れものだ。

このおかげでこの国のトイレは非常に清潔である。

ちなみに俺の拠点では川から引いてきた水を水路を使い海まで流しているのだが、その上に小さな小屋をいくつも建てて水洗トイレとしている。


上記のような一般に出回ってる道具の動作の仕組みはわかっていないらしい。

では誰が作ったのかという事になるのだが、量産は可能だということだ。

これだと頭が混乱してしまうのだが、簡単にいうと仕組みはわかってないが説明書どおりに組み立てると正常に動作するという感じだろう。

こられは大昔の人が作り製法や製造のための道具を残していたということだ。

製法や製造のための道具があれば仕組みがわからずとも量産が可能のため何時しか仕組みを理解する人が居なくなったのだろうといわれている。

そしてこのような有益な道具の製法や製造のための道具は国で管理され、必要とする人が手に入れれる範囲の価格で販売してるとのことだった。

ただし原価以下には出来ないので、それでも比較的高いものらしいが日本でも出始めのウォシュレット等は一般市民には全く手が届かなかったものなのでそういうレベルのものなんだろうと思う。


このような事情のため俺が期待してた氷を作る道具や冷蔵庫のようなものは一般的には出回ってないとのことだ。

もし一般的に出回ってたら海産物ももっと流通してただろうし、そうなると俺の商売も成り立ってなかったので俺にとっては都合の良い技術レベルだとは言える。

今流通してる知られた魔法の道具について聞くことによって、昔の技術のコピーを行ってるだけかと思い諦めていたのだが、水を出したり火を点けたりという日本人にとっての一般的な魔法も存在するということが聞けた。

ただ、魔法を使うには物事の仕組みを理解し、発言させる現象に至る手順を鮮明に思い浮かべる必要があるとのことで、かなり難しく使える人が殆ど居ないとのことだった。

魔法の道具は現象を発生させる仕組みや手順を魔力を元の道具に焼き付けることによって作られるということだ。

情報を読取るのに水晶を使うのは内部に文字や映像を思い浮かべやすいからだし、トイレに使う瓶も形がそのままなので焼き付けやすいということだ。


この話しを聞いたとき魔法の道具を作るにはコンピュータのプログラミングのようなことをするのかと頭に浮かんできた。

それと同時に魔法として現象を発現させるための原因と結果や過程等を理解してないといけないのではないかと思った。

ただ考えるだけで何かしらの現象が起こってしまうならかなり危険なので、おそらく良くある異世界物のように魔力やら生命力やらの何かしらのエネルギーを使うことになるだろうと思うが、それさえ解れば俺には魔法を使えるのではいかと思い始めていた。

そう思う理由は、昔の人が作ったという道具を今の人が新たに作れないということが一番の理由だ。

俺は魔法の道具は現象を発現させるための手順をプログラミングしていると想像している。

今の人が使えないのは現象の発現がどのように行われているかを知らないためではないかと考えたのだ。

たとえば火をつけるということに関しても、この世界では火打石のようなものを使っている。

殆どの人が火を発生させるということに関して、火打ち石を使うというような手順を思い浮かべてるのではないかと考えたのだ。

俺は火が発生する条件を理解している。

ごくごく一般的なサラリーマンであった俺には化学の知識も小学生レベルではあるが、それでもこの世界の人よりは高い知識があり魔法として発現させることが可能ではないかと思っているのだ。

俺の想像通りであれば氷を作ることも可能になり魚の輸送に大きく役立つだろうと考えた。


こうしてある程度の予測を立てた俺は困ったときのサーシャさん頼りということで町に向かったのだった。


結論からいうと俺には魔法が使えた。

といってもまだまだ水の温度を下げる程度しかできなかったが、水が冷たくなるだけでも色々を助かる。

そして、魔法を使うエネルギーだが、これは空気中にも存在し息をすることで体内に取り入れられてるとのことだった。

それを一箇所に集めてそのエネルギーを使って現象を発生させるのが魔法だといわれた。

エネルギー自体は良くわからないが、肺から血液を通して体中をめぐってるはずの何かを手に集めて、某アニメのように放出するイメージを持つことで現象を発生させることができたのだ。

ただ俺が思っていたことと違っていたこともある。

俺は元々現象を起こすには、原子や分子というものの結合や運動を何かしらのエネルギーを使って制御するものだと思っていたのだが、どうやらもっと適当な想像力で問題なかったようだ。

適当でよいなら化学式を知らないことでも発現させれるので俺にとっては都合が良いので深く考えるのは辞めた。

ただ、良く知られるファイヤーボールなどは今のところ実現できそうな気がしない。

火の玉だけなら作れそうだが、それを目的に向かって飛ばすというのが思いつかないのだ。


こうして俺は純水を発生させることと、水溶液の温度を変化させることができるようになったのだ。

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