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第18話 ナイチンゲールを追って

「それでは実際に今日の実験体を呼んでみましょう。ゆ」

 

 ここで映像が少し乱れて音が飛んでしまう。そして砂嵐の後に現れたのはいま隣にいるゆかりの姿だった。ライブじゃない。

 

「こんにちは。ゆ  です。ここはこれから高  をた  くし  まっ 人が来る場所です」

 

 途切れ途切れであまり聞き取れない。もしさっきの退学の宣言がそのまま通ってしまったらまずいな。ここは涼しいのに額が焦っている。

 

「この実験には条件があります。ひとつは伝えることができますがもうひとつはトップシークレットです」

 

 条件が存在するとして、この実験は多分高校生にむけたもの。高校生以上であるのは確かな気がする。


 だが、上限を求めることははっきり言ってできない。親をもらう制度があるのだから40代が実験に使われた可能性は極めて高い。

 

「どちらかの条件が達成できていたら実験が可能です。そして、1つの条件は18歳以上であることです」

 

 僕たちはまだ15歳。つまり3年に上がったタイミングでモルモットーになっちゃうーってことー。


 もしゆかりがこの条件を満たしていなかったとしたらもう1つに当てはまることになる。似た条件を出すなら、

 ・生物学的年齢が一定に達する

 ・親を失う?

 

どちらかの条件があえばと言っている時点で前者の可能性が非常に高くなっている。そんなの測り方もしらないけどさ。

 

「たったいま僕は君たちに恐怖というものを与えた。ここからさらに恐怖を与えてしまうんじゃないかな」

 

 この番組は実験に踏み込む気だ。隣にいるゆかりは目を瞑っていて映像を見ていない。なんなら耳さえも塞いでいる。

 

「……」

 

彼女が何かを呟いたが映像の声と被り聞こえなかった。

 

場面が変わり治療室で実験するところまで飛ばされる。僕は何が起きたか全くわからなかった。

 

気づいた時にはゆかりが運転手と同じ生物に成り下がっているのが伝わってくる。前から、隣から。これは生物的に進化したのか退化したのかはわからない。

 

ただいまは彼女たちを下に見ることにしよう。でも僕ってもしかしたら、ほんとうは同じ存在なのかもしれない。


「これが核というものです。ビー玉のようですが、実物を見たら違いがわかります。私たちの実験の成果はここに顕著に現れています」


こんなものみたことがない。自分で感じることもできず、ほんとうに身体の中に存在するか怪しく思えてくる。少なくとも君の身体にはもう……。

 

核を失った人間はどうなってしまうのだろう。目に色がない。そして感情を全くと言っていいほど読み取ることができない。

 

中川も……そうだ。

 

核を取り除く方法を知りたい。もし願いが叶ったら僕は権力に溺れ、壊れてしまうだろう。それでも僕は知りたい。だって人間は好奇心に勝つことなんてできないのだから。

 

「これ以上の情報はいまは出すことができない。詳細が気になってもあまり追及するな。人間として生きていけなくなってしまうから」


彼の表情はどこか寂しく見えた。目はまっすぐで僕らのことをしっかりと見つめている。覚悟が決まっている。


ナ:「これで今月のナイチンゲールを追っては終了とさせていただきます。それではまた来月」


映像が切れるのと同時に僕は宣言する。

読んでいただきありがとうございます!

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