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第二章 4 説教、反省、決意

 「いや~、朝は焦った~」

 

 放課後。

 境山中学校にある例の倉庫の中、そこにあるテーブルに突っ伏している茶々の上でティアーネが小言を述べ始めた。


 「焦ったのはこっちじゃ。とっくに学校に行ったとおもっとったのに寝とるんじゃからな」


 そもそも茶々が朝7時におきられたのはティアーネが起こしてくれたからに他ならない。

 茶々を起こした後にティアーネは本部に戻ったのだが妙な胸騒ぎを憶えて家に戻ったらソファーで爆睡している茶々を発見し叩き起こしたのだ。

 夜の見回りの際学校のことを考えてティアーネは午前2時頃に切り上げることを提案したにも関わらず

「大丈夫、大丈夫。まだいけるって」と押し切っておいてのこの体たらくである。


 「遅刻はぎりぎりしなかったけど先生に怒られちゃった。最近たるんでるんじゃないかって」

 「だから無理はいかんといったのに。あまり生活態度が悪いと受験に良くないのではないか?」

 「うっ、そりゃそうだけど~」

 「勇者ギルドは国営の組織ではないのじゃ。戦いに時間を削っても誰も補償はしてくれん。それは分かっておるじゃろう?」

 「分かってるよ~。……でも、茶々も師匠やみんなの役に立ちたいだよ!」


 今から一月ほど前友達と遊んだあとの帰り道茶々は黒い怪物に襲われた。

 そして訳も分からず、逃げ回っていた茶々を救い出したのはリョウとティアーネだった。

 その後、怪物の名が喰らうモノ、ティアーネが住んでいる世界エデンが滅亡寸前であること、そして今度は地球が狙われていることを知った茶々は自分も戦う事を選んだのだ。

 リョウという存在は茶々にとって師であり、そして恩人、そしてヒーローに憧れていた茶々にとって憧れなのである。

 

 「その気持ちは分かるつもりじゃ。我も父や兄たちの役に立ちたいから地球に来たのじゃからな。だからこそ焦って欲しくはないのじゃ。大丈夫、お主はよい勇者となる。それは我が保証してやる」

 「……まだ『使徒』として新米のティアに言われてもなぁ~」

 「なんじゃと~!」


 使徒というのは簡単に言えば勇者のサポート役を行う者たちを指す肩書である。

 ティアーネが使徒になったのは茶々が勇者となるきっかけになる事件の少し前のことで、ある意味二人は新米同士の同期といってもいい。

 もっとも、ティアーネの方はあくまで先輩という立ち位置に拘っている部分があるが、実際の仕事ぶりも茶々とは役割が違うが、至って優秀であり茶々の当てこすりに怒るのも無理はない。


 「うそ、うそだって!……ありがとう、ティア。テストもいまいちだったから、ちょっと焦ってた。そうだね、ちゃんと学校のこともやらないとね。そうじゃなきゃティアとの約束は守れないし!」

 「そうじゃな、我の故郷を取り戻すという約束を忘れてもらっては困る」

 「といっても、今回は置いてきぼりだけどね」

 「それは仕方あるまい。我が故郷『エデン』にいる喰らうモノは地球種とは比べ物にならないほど強大じゃ。じゃが経験を積んでいけばいずれお主にも声がかかろう」

 「でもさ~、Cランクになれてたらワンチャンあったかもしれないじゃん」

 「いや、エデンでの作戦を受けられるのはB以上じゃぞ?」

 「でも、前に大きな作戦があったときは新入りでもエデンに行ったって……」

 「それは、まだ勇者の数が少なかった時の話じゃ!いや、今も決して多い訳でないが状況が違いすぎるから参考にならん」

 「むぅ……」

 「むしろ、その時は地球に残った勇者の数が少なく大変だったそうじゃ。エデンに行けんからと拗ねておる暇はないぞ。それに今はお主の故郷を魔の手から守ることが重要じゃろう?」

 「うん、お父さんもお母さんも奈々も友達も茶々が守らないと!師匠はまだ戻らないの?」

 「う~む、それがエデンと連絡がつかんみたいでな。また次元ゲートが不調なのかもしれん」

 「前も一か月くらい繋がらなくなっちゃったんだよね」

 「以前よりは安定性を増したと言っておったのじゃがなぁ。まぁ、リョウなら大丈夫じゃろ」

 「そうだね、師匠だもんね。よっし、茶々もがんばるぞー!……で、今日はどうしようか?」

 「お主は本当に無計画じゃな」


 ティアーネの言葉に反論できず茶々は笑って誤魔化すしかなかった。

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