贖罪
携帯の着信音が鳴っていた。腕時計の数字は今が三時六分であることを告げていた。安モーテルの部屋の中は真っ暗で、オリバーは夢のひとつも見ない深い眠りの中にいた。その着信音の鳴り方は、心なしか切迫しているように暗い部屋の中に響いた。
まず最初に頭に浮かんだのは、数時間前に別れたライアンの顔だった。その着信を無視して寝てしまうことも選択肢のひとつとしてはあった。オリバーはどちらかといえばそうしたかった。しかし着信音は想像できる全ての選択肢を叩きのめすかのように飽きることなくいつまでも鳴り止まなかった。
彼はベッドから起き上がると、ジャケットの中から携帯電話を取り出した。想像通りディスプレイにはライアンの名前が映し出されていた。
「……ライアン」
オリバーはうまく回らない頭と唇で言った。「おい、今何時だと思ってるんだ? 勘弁しろよ」
「オリバー」と電話の向こうでライアンが言った。その声はいくらか掠れていた。「寝ていましたか?」
「あたりまえだ。もう夜中の三時だぞ」
「すみません。大事な話なんです」
「なんだ?」とオリバーは言うと、携帯電話を耳に当てたまま冷蔵庫の扉を開け、中から冷えたビールを取り出した。
「ソフィアとハリーを探してください」
「ソフィアとハリー?」とオリバーはよくわからないまま反復した。
「やっぱり彼女は吸血鬼です。若い男女が川沿いの廃教会に捕まってます。もしくはこれから捕まります」
オリバーは窓際に行って少しだけカーテンを開くと、冷えたビールを喉の奥へと流し込んだ。
「また幻影でも見たのか?」
「いえ、幻影ではなく夢を見ました。でも前に見た続きです」
「ソフィアが血を吸うところを見たのか?」
「いいえ、そうではありません。彼女がどこかで捕らえてきた男女を吸血鬼たちに差し出しているところが見えました」
「そうか」とオリバーは言うと、ソファーにどっかりと腰を下ろした。
電話の向こうでライアンが少し間を置いた。
「それだけですか?」
「他になんて言えばいい? ソフィアならハリーを連れてとっくにどこか遠くへ行っているはずだ。おまけにあの女は魔術の心得もある。対策くらいしてるだろう。もはや俺には探しようもない」
「私がいれば悪魔や吸血鬼の居場所がある程度わかります」
オリバーが短いため息をついた。
「お前は何がしたいんだ?」
「私はただ地獄に堕ちると確定している魂を救いたいんです」
「お前がどうして人間になったのかは知らない。だが人間になったことが原因で他の天使に命を狙われているんだろう? いま一番守らなければならないのは自分自身だろうが。他人の心配なんてしている余裕があるのか?」
「それは……」
「もういいんだ」とオリバーは言った。「だいぶ減ったとはいえ吸血鬼なんて今でも世界中にいる。全員を退治するなんてできない。お前の見る幻影も毎回的中するとは限らない。ソフィアを見逃してしまった後悔や不安が夢という形になって現れたのかもしれない」
「それはありえません」
「本当にそう言い切れるのか?」
短い沈黙があった。
「オリバーはこれからどうするんですか?」
「俺は今まで通り一人で悪魔を追う。その途中で人間に危害を加える魔物に出くわしたら全力で潰すだけだ」
「あなたは誰かと一緒のほうがいいです。たとえそれが私じゃなくても。もう一度考え直してください。後戻りできなくなってしまいます」
オリバーはため息をついた。
「きちんと学校には行くんだぞ。元気でな」
「ちょっ、待って……」
受話の向こうでまだ何かを話しているライアンを無視して通話を切ると、オリバーはむしゃくしゃした気分で携帯電話をベッドの上に投げ出した。彼は薄暗い部屋の中で左手を宙にかざすと、指にはめてある奇妙な形の指輪をしばらく眺めていた。
翌日、オリバーは新聞記者になりすましてサリヴァン農場に出向いた。
サリヴァン農場のオーナー、ジョン・サリヴァンは小太りで赤ら顔の中年男だった。ジョンはいかにも面倒くさそうにオリバーの質問に答えていたが、案外性格は良さそうに見えた。
「ではこの近くで動物が血を抜かれて死んでいるのを何度か見かけたことがあるんですね?」とオリバーは再度確認した。
「まあな」
ジョンは大きなスポンジでsクラスのメルセデスを洗いながらのんびりとした口調で答えた。「それと……なんだっけ? 真っ黒で恐ろしくでかい犬? そんなの見たことも聞いたこともない。そりゃ都市伝説ってやつだろ。あんたそんな馬鹿げたこと記事にするつもりかい?」
「そういう少し変わった記事は評判がいいんです」
「ふうん、地方紙ってのは呑気なもんだな」とジョンは少し呆れたように言った。「こんなのどこにでもいる変質者のいたずらか、あるいは悪魔を崇拝しているいかれた奴の犯行だよ」
「なぜそう思うんですか?」とオリバーは目を細めて尋ねた。
「悪魔を呼び出すには血が必要らしいからな。全く、いつの時代のどの場所にも頭のおかしな連中と無責任な人間ってのは一定数いるもんだ」
「その無責任というのは?」
「ああ、ここの管理を任せていた従業員が先日突然やめちまったんだ。おかげでこっちは大忙しだよ」
「その従業員というのはどんな人物だったんですか?」
「子連れの綺麗な女でな、最初女に牧場の仕事はきついからって断ったんだけど、何でもするから雇ってくれって涙ながらに頼まれてとりあえず雇ってみたんだよ。母親も息子も見た目より体力があって、まじめに仕事に取り組んでいたからすっかり信頼してたんだが、結局一年しか持たなかったな。何も盗まれてなかったのがせめてもの救いだよ」
「なるほど。その親子はいま何処に?」
「さあなあ、あれだけの美人で息子もまだ小さいからどこかで養ってくれる男を見つけたんだろうよ」とジョンは答えると、疑わしそうな目をしてオリバーを見あげた。「ところであんた、なんでそんなことを聞くんだ?」
「動物の不審死が多発する地域ではなぜか失踪事件が多いんです。その親子はもしや失踪したんじゃないかって思ったんで」
ジョンはため息まじりに首を振った。「書き置きがあったからそれはないな」
「大変なときにいろいろと伺ってすみませんでした。早く新しい働き手がくるといいですね」
ジョンはスポンジを持った手を止め、泡だらけになったベンツから顔をあげると、疲れたように微笑んだ。
「ところであんたは記者だから当然わかってると思うが、他人のことを簡単に信用しないことだ。特に何かを抱え込んでるような綺麗な女はな」
オリバーは礼を言って農場を後にした。
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細かい冬の雨が降り続いていた。冷たい雨は音もなくオリバーの髪や服を静かに濡らしていく。ときどき灰色の雲が割れると、月の輝く夜空が顔を覗かせた。
オリバーは何時間も運転して、今では閉鎖されたコロラド州にある教会を訪れていた。最初に訪れた川沿いの教会は、骨組みだけを僅かに残しただけの跡地だった。それからまた何時間も運転してやっとたどり着いた石造りの古い教会は、ほとんど廃墟と化していた。建物の前にはかろうじて斜めに立っている十字架が見分けられた。
オリバーは教会から少し離れた小高い場所にRAV4を停めると、木と草の陰に隠れながら双眼鏡を使い、淋しい場所にポツンと佇んでいる教会をしばらく観察した。近くからは川の流れる音が聞こえてくる。ライアンが見た幻影はこの場所で間違いないだろうとオリバーは思った。
しかしそどれだけ観察しても教会に出入りする人影はおろか、バイクやトラックの一台も見受けられなかった。
一時間ほどあとにオリバーは諦めて立ち上がると、高く繁った緑の草をかき分けながら崖を下りた。
オリバーは右手に銃を、左手にライトを構えると腕を交差させて夜の教会に足を踏み入れた。建物の中は荒れ果て、さまざまなガラクタがあちこちに捨てられていた。ずいぶん昔にホームレスが住んでいたらしく、ぼろぼろになった毛布や食器も捨てられている。驚いたことに使用済みのコンドームまでも捨てられていた。まさしく神をも恐れぬ行為だな、とオリバーは眉をひそめながら思った。しかしそんなこと気にする必要なんてないのかもしれない。とっくの昔に人は神に見捨てられているのだから。
広い聖堂には信徒席の影も形もなかった。崩れ落ちた天井のあいだから月明かりが差しこんでいる。どうやら雨は止んだようだった。
コンクリートの床はところどころ地面がむき出しになり、そこから何本かの雑草が生えている。かなり昔に誰かが住んでいたような痕跡はあったが、どれだけ探しまわっても吸血鬼のグループどころか、小さな巣を張っている蜘蛛一匹しかみつけられなかった。
ということは、まだソフィアは誰のことも拉致していないのだろうか? オリバーはライアンの見た夢が想像の生み出した産物であって欲しいと願うと同時に、ハリー少年の屈託のない笑顔を思い出して深くうなだれた。
なんの収穫も得られず、仕方なく今日は引き上げようとしたそのとき、全身の毛と血液が一瞬で逆上するような無音の衝撃を背中から感じた。
オリバーはすかさず振り返ると、銃とライトを構えて辺りを注意深く見まわした。しかしライトが照らす明かりの先にはやはり誰もいない。
オリバーは息を呑み、思わず顔をしかめた。
今の威圧感はなんだ?
その威圧感は決して不穏な種類のものではなかった。しかし、そのとき彼が感じたのは紛れもなく本物の恐怖だった。
オリバーは十秒から二十秒の間、呆然とそこに立ち尽くしていた。
そのときオリバーはどこかから聞き覚えのない声を聞いた。
貴様はいったい何者だ? と誰かが言った。
オリバーには何かを感じる暇さえなかった。彼は弾かれるように身体を捻るとライトであたりを照らした。
答えろ そこで何をしている?
ライトの照らす明かりの先に、見たことのない黒人の男が立っていた。
その整った顔立ちをした褐色の肌の男は、クリーム色のスーツを着て少し離れた場所からじっとオリバーのことを見つめていた。黒人といっても肌の色は白に近いコーヒーブラウンで口元と顎に髭を生やしている。長い指にはオリバーと同じ奇妙なデザインの指輪がはめられている。
オリバーの身体は芯から冷たくなった。彼はごくりと唾を飲み込むと、霊的な感覚を研ぎ澄まして男を睨みつけた。やがて男の背中に一対の大きな翼が浮かんで見えた。もっともその翼は普通の人間は目にすることができない。
男は翼を広げたまま腕を組むと、テレパシーを使ってオリバーの頭に直接話しかけた。
貴様のようなチンピラ風情が何故その指輪をつけているんだ?
オリバーは最大限に無理をして作り笑いを浮かべた。この男は今まで俺が相手にしてきたどの魔物たちとも根本から違う、とオリバーは思った。あのとき病院で会った悪魔と引けを取らない強大な力だ。間違いない。こいつは正真正銘の天使だ。
「別にいいだろう」とオリバーは平常心を装って言った。しかしその震えている声はまるで自分の声に聞こえなかった。「あんたこそこんな辺鄙な場所で何をしている?」
どうやってこの場を逃げ切る? オリバーがほんの一瞬だけ目を伏せた瞬間、褐色の肌の男は彼のすぐ真後ろへと移動していた。男は背後からオリバーの両腕を掴んで左腕を捻りあげると、節くれだった指と指の間で鈍く光っている指輪を眺めた。拳銃とライトが派手な音を立てて床の上に落ちると、男は革靴の先で軽く銃を蹴った。
「これはあの堕天使のものだな」と男は声に出して言った。それからオリバーの目を真横から覗き込んだ。その黒い瞳はぞっとするほど冷ややかだった。オリバーは自分という存在の全てが僅か一秒のあいだに見透かされてしまったような気がしてぶるりと身震いした。
「そうか、貴様があの裏切り者の天使を隠したんだな。いったいどんなまじないを使った?」
オリバーは少しの時間、唇を噛んでいた。
「あんたさっきから何を言ってるんだ? 俺はここにお宝が眠っているらしいって噂を聞いて探しに来ただけだぞ」
「なるほど」と男は静かな声で言った。それから左右に広げられた翼をゆっくりと畳んだ。バサバサという乾燥した音がした。
「私は宇宙の果てまで飛ばされ、やっとの思いで地球に戻ってきた。そして堕ちた天使の行方を探しながら、このあたり一帯で起きている超常現象を調査しているうちにここへ辿り着いた。すると愚かにも我々と同じ武器を持った言葉を話す白い猿が都合よく目の前に現れた」
男はひとつ呼吸をすると、オリバーの目を横から見つめながら続けた。
「つまりこの邂逅には大きな意味がある。おそらく罪深き堕天使は汚れた人間の手に囚われ、そこで初めて己の犯した大罪を認めると贖罪を望み、その指輪を通じて私をここへ呼び寄せたのだろう。貴様は古いまじないで堕天使をどこかに監禁すると指輪を奪い、この先自分だけが生き残る方法を必死で探し求めていたのだろうな。しかし不浄なゴーストを背負い取るに足らないほどの霊的能力しか持たない貴様にその指輪は扱えない。ほんの少し使い方を間違えれば、たちまち不安定な次元の裂け目に足元をすくわれ命を落とすことになる。黙って指輪をこちらに渡し、堕ちた天使の居場所を教えた方が身の為だ。私は自分の中に微かに残っていた好意からそう提案している」
オリバーは男の目を見つめながら言った。「だから俺は何も知らないってさっきから言ってんだろうが」
男は両腕に込めた力をさらに強めた。
「なんだと? もう一度言ってみろ」
「さっさとどっかに飛び去りやがれ、この鳥野郎」
薄暗く静まり返った空間でオリバーの声は必要以上に大きく響いた。「あんたさっきから偉そうにベラベラと喋っているが所詮は神の犬だろう。いや、ニワトリか」
男は何も言わずに目を細め、オリバーの横顔をまっすぐに見つめている。
「その身体は人間の借り物だろう? あんたが心底見下している猿の容れ物に入っている気分はどんな感じなんだ?」
「我々がとることのできる形の数は二千年前と比べ非常に少なくなり、その数も限られている。この人間はようやく見つけた貴重な器だ。今のところ手放すつもりはない」
「あんたに身体を乗っ取られているその男に家族や友人はいるのか? あんたらは結局のところ悪魔や魔物どもとなんら変わりやしない。その身体を今すぐ解放して俺の前に堂々と姿を見せろ」
「私の姿は貴様程度の霊的能力者では目にすることはおろか声を聞くことすら叶わない。それにこの身体の持ち主は自ら望んで私を招き入れたのだ。我々は招かれない限り人間の身体に踏み入れないようにできている。心の弱りきった人間や強い憎悪と怨恨に満ちた人間に断りもなく憑依し、死への憧れや悪意を増幅させる虫けらどもとはわけが違う」
「だがあんたらは俺があれほど熱心に祈ったのに一度も願いを聞き入れてくれなかったじゃないか」
「貴様ら愚かな人間は自分たちの置かれている状況をまるで理解していない」と男はオリバーの耳元で囁くように言った。月明かりの下で黒い瞳が深く鋭く光った。「ベツレヘムの星が守った人間共は今や悪魔と寸分変わらぬほど堕落している。何をしても虚しくて現実から目をそらし、興味のあることといえば自分より弱い他者を集団で攻撃して憂さ晴らしすることと己の醜さを偽り着飾ることに愛のないセックス。酒にドラッグ。森林を際限なく破壊し、ダイエットに励みブランド品を漁る一方で壁一枚隔てた国境の向こうではゴミの山を漁り飢えと病に死んでいく子供たち。内乱と戦争は後をたたない。もはや貴様ら人類の罪は止まらない。加速する。救済する価値など砂粒ほども残っていないらしい」
「あんたは何もわかっちゃいない。見ず知らずの相手に見返りを求めず富や食料を分け与える善意の心を持った人間だって大勢いる。いや、大半はそうだと俺は信じてる」とオリバーは言った。オリバーの脳裏にリチャードのとぼけた笑顔が浮かんだ。「どうしてあんたらはそう人間の悪いところばかりに焦点を当てるんだ?」
男は少しだけ口元を緩めた。
「どうしてか? この無限に広がる宇宙のどこを探しても、これほど恵まれている種など存在しないからだ。しかし貴様らはその恩恵に甘え目先の欲望を優先し、ほんの少し悪魔のしもべにそそのかされればいとも容易く貴重な魂を汚す。いいか、悪魔はもともと天使だった。しかし今地獄にいる悪魔の半分はかつて人間だった者たちだ。貴様らが魔物と呼んでいるのは強欲な人間が行った魔術の失敗が生み出したものだ。そして父は失望し我々の元から去っていった。貴様らが守っている結界もそう長くは持たない。この惑星を狙っている存在はすぐにでもやってくる」
「だからこそあんたらは絶望するんじゃなく、人類に光を見せつけるべきだろうが」
「我々は指示のない限り人間に関わるのを禁じられている。しかしそういうご立派な正義の味方を気取っている貴様はなぜ呪われている? 貴様もやはり悪魔に取引を持ちかけたのだろう?」
オリバーは短く唸ると、男の横顔めがけて自分の頭を思い切り打ちつけた。ガツンという音がした。その拍子で男が後方によろめき、腕を離した隙に、オリバーは離れた場所に落ちている拳銃に向かって飛びかかった。彼は銃を手にするとさっと身を翻し、男の頭に狙いをつけて立て続けに引き金を引いた。低い銃撃音が廃墟に轟いた。
弾丸は男の頭や心臓に何発も命中した。しかし予想どおり銃による攻撃はほとんどなんの意味も持たなかった。男はその場で二、三歩よろめくと、どことなく不思議そうな表情を浮かべ、ところどころ破けてしまったクリーム色のスーツに軽く手をやった。
オリバーは急いで立ち上がると、男に背中を向け扉に向かって一目散に走り出した。
なんとか教会から脱出すると、オリバーは何も考えず、ただ月明かりだけを頼りに夢中で崖に向かって走り続けた。不思議なことに、男が追ってくる気配はしなかった。
「オリバー」と男の声が頭の中に響いた。オリバーの心臓は今にも破裂するかのように激しく跳ねた。
「オリバー・ヒドルストン」とその声は繰り返した。落ち着いた低い声だった。「私の名はペネム。すでに呪われている貴様にチャンスを与える。人間はこれまで多くの殺し合いを繰り返してきたし、これから先より多くの人間が殺しあうだろう。しかし我々は救済の手を差し伸べもしなければ断罪もしない。運命にあらがってみろ。できるものならな」
「ちくしょう」
オリバーは背の高い草をかき分け、急な崖を駆け上がりながら小さな声で言った。「てめえらの助けなんかいらねえよ」