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第28話 見当違いですよ! システアさん!

いやー、新キャラシステアさんの話は長いですね。ずっと勇者が空気です。

システアから語られた魔人アルジールが過去に行使した雷神招来という魔法は以下のような魔法だった。


雷神招来とは本来、高威力の雷の柱を連続して落とす魔法。


過去に人間界を訪れた魔人アルジールが行使した雷神招来が覆った闇は人間界全土を覆いつくすほどのものだった事。


「恐らくじゃが、全盛期にアルジールが行使した雷神招来の十分の一程の効果じゃったのじゃろう」


システアは話をそう締めくくる。


「なぜシステアさんはその事を?」


「ん? あぁ、わしも当時見ておったからな。あれほどの魔法じゃ。人間界のどこにおっても気づく」


何百年前の事かは分からないが、アリアスの質問にシステアは何でもないようにそう答える。


「すっげぇロリバ……、いえ何でもないっス、すいません」


危うくというかほぼ禁句を放ってしまったガランをシステアが冷たい目で見ると、ガランはすぐさま謝罪する。


分かっていても勇者パーティーに所属する者ならば絶対に言ってはならない禁句なのである。


「つまりじゃ、魔人アルジールには雷神招来を本来の威力で撃つことができない状況にあったわけじゃ」


 「大怪我を負っていたとか?」


 「わしはそう見ておる。魔人同士による仲間割れ、もしくは……」


 「……もしくは?」


 「魔王ギラスマティアを討ったのが魔人アルジールであったかじゃ」


 魔人アルジールは魔王ギラスマティアに忠誠を誓っていたというのは高ランクの冒険者やユリウス教の高位神官の間では有名な話だが、魔界の状況が分からないので、可能性としてはなくはない。


 だが仮に魔王ギラスマティアを倒したのが魔人アルジールではなかった場合、魔人アルジールが他の四天王と対立関係に陥った原因についてシステアは1つの可能性を見出していた。


 「じゃがそうでなかった場合、魔人アルジールは人類の味方である可能性が高い」


 「何を馬鹿な!」


 ユリウス教の象徴でもある聖者ニアからすれば魔人が——しかも魔王亡き今、魔人達の頂点の1人であるはずの魔人アルジールが人類の味方をするなど考えられない。


 だがそれも今の魔王が人間界にどういうスタンスを取っていたか知らない者の発想と言えた。


「魔王ギラスマティアは人類を守っていたのじゃよ。理由は定かではないがの。そして魔人アルジールはそんな魔王ギラスマティアに忠誠を誓っておったのじゃ。人間界にすら話が伝わってくるほどにな」


 ニアはもちろんアリアスやガランも魔王が人間界を守っていたなど聞いたことがない。


 だが、同時に疑問に思っていた。


なぜ魔人達が人間界にいつまで経っても攻めてこないのかを。


アリアス以外の歴代の勇者達は全て魔王へと挑み、その全員が魔王に成す術がなく敗れてきた。

だというのに、歴代全て勇者が無事に人間界に戻ってくることができて、更にはこれまで魔人による侵攻は数える程度しか発生していなかった。


大規模な侵攻という点でいえば全くの皆無である。


誰かが魔人達の侵攻を妨害してきたとしか思えないくらいの話である。


神ユリウスが人知れず、人間界を守っていたといえばそれはそれで納得いかなくもないが、それならば今回だって神ユリウスが対処すればいい話で法王が言うには神ユリウスは今回の件に助言こそしたらしいが、対処はしないという。


「そんな話が……本当に?」


「そんな……でも法王様はそんなこと……」


知っていても言えるわけがない。


魔人から人間界を守っていたのが、魔人達の王である魔王であったなど。


システアの話を聞いていくうちにそれが真実でなければ辻褄が合わない事が多すぎる事にアリアス達は気づいていた。


「では今、魔人達から人間界を守っているのは……」


それこそ魔界の者達を除けば神のみぞ知る話だが、これまでの状況からシステアはかなりの自信を持って断言した。


「魔人アルジールじゃ」


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