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第29話 勇者達の決断

投稿遅くなってすいません。次回からはまた連続で投稿していこうと思います。


あ、ちなみに魔女システアさんの長話はこれでとりあえず終了です。


面白かったら評価ブクマ感想などなどお願いします!

魔人アルジール。


魔界のみならず人間界にもその名を轟かす大魔神にして魔王軍四天王筆頭。


魔王が現れてからは魔王への忠義厚い魔人として知られていたが、それ以前は暴虐の限りを尽くす魔界の東の覇者として君臨し、人間のみならず同族であるはずの魔人にとってすら猛威を奮っていた苛烈な魔人。


それがシステアの知る魔人アルジールであった。


そんな男が魔王亡き今、人間界侵攻を目論むわけでもなく、反対に魔王の意思を継ぎ、人間界を魔人達から守ろうとしている。


あの魔人が東の覇者として君臨していた時代を知るものであればにわかに信じがたい話ではあるが、ここ数百年での魔王ギラスマティアに対する忠義は本物だったようだ。



「僕たちはどうすればいいんですか?」



アリアスはシステアに問うが、アリアスの中では半分答えが出ている。


だがアリアスはそれでもシステアに確認を取りたかった。


自分の判断が間違っていないか? 人間界にとってそれは正解なのか? 


この決断は後の人間界の存続にすら関わる重大事項だったからだ。



「魔人アルジールを援護し、旧魔王の意思を継ぐ魔人達と協力体制を取り付ける!」



システアの判断もアリアスの考えと全く同じものだった。


これで迷いなくアリアスは戦えるだろう。



「ちょっと待ってください! 魔人と共闘なんて!」



だが、アリアスとシステアの決定にニアが異議を唱える。


聖女にしてユリウス教を代表するニアからすれば魔人との共闘にはかなりの抵抗がある。


もちろん冒険者協会所属のアリアス達も抵抗がないと言えばウソになるが、魔人に対する忌避感はユリウス教の聖女であるニアはそれ以上に強い。



「ニア、言いたいことは分かるが、この機を逃せば人間界は滅ぶぞ。神は絶対ではない。現に人間が魔人達に蹂躙されていた時代は確かにあったが、その時でも神は人間に何もしてはこなかった。神に頼っていてもこれからも今までのような平和が続くとは限らないのじゃ」



システアの神に対する物言いは余りにも不遜である。


だが、不遜ではあるが紛れもない事実だった。


法王は神から教えられていた人間の歴史について唯一歴代の聖女にだけは話していた。


もしかしたら法王も神ユリウスに対する不信感が少しあるのかもしれない。


法王としてはあるまじき考えだが、システア程露骨にではなく、少し考えてみればそんな気がする程度のものだ。



 「ですが……」



 頭では理解できていても納得できない事もある。


 ニアにとってそれほどまでに神シリウスの存在は大きい。



「ニア様、お気持ちは分かりますが、今はシステアさんの言う通りにしましょう」



 ニアが納得できなくてもパーティーとしては同じ方向に向かなくてはならない。


 その時になって意見が割れて互いが別々の行動を取れば、うまくいくものもうまくいかなくなってしまう。



 「分かりました。アリアス様」



 アリアスに諭されニアもしぶしぶ了承する。


 現段階では異論を唱えているのは4人の中ではニアだけだ。


折れるとしたらニア自身であることは本人も分かっている。


後でユリウス教内で問題になれば、その時に説明してユリウス教の神官達にも納得してもらうしかない。


思えば、神ユリウスに覗かれているどうこう以前に、大神殿でシステアがこの事を神官達に話していれば大論争となりアリアス達の出発はかなり遅れていたはずだ。


システアが大聖堂でこの事を話さなかったのはこういう理由もあっただろう。



「さて、話は決まったの。ではそろそろシラルークに向かうとするかの」



システアの休憩がてらにアリアス達の意見も決まった。


システアが転送門の魔法を発動させると、アリアス達は次々と転送門の中に入って行くのだった。


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