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王城にて

翌朝、準備を整えて、お父様と共に王城へ向かった。その間、馬車でこんな話をしていた。「お父様と私を一緒に呼んだということは、国王陛下は婚約破棄について、何も知らなかったのでしょうか?」私がこう思ったのは、婚約破棄の話をしていた時、国王陛下がその場にいらっしゃらなかったからだ。しばらく考える素振そぶりをしてから、お父様が答えた。「その可能性もあるが、私としては、他の可能性もあると考えている。」他の可能性...私は思いつかない。聞いてみようかな?「具体的に、どのような事ですか?」今度は、すぐに返答した。「わかりやすく言うと、国王陛下が婚約破棄の件を知っていて、黙認していたという事だ。まぁ、これは仮定に過ぎないが。」その可能性を私は見落としていた。もし、後者だった場合、お父様にも被害が及ぶかも知れない。そうなったら、とても申し訳ない。不安げな様子でお父様を見たら「国王陛下がどのようなお考えなのかは、私にも分からない。だから、オリビアが気負う必要は無い。」と優しく声をかけてくれた。お父様の言葉を聞いて、一安心したところで、ようやく王城に到着した。従者に案内された先は、玉座だった。到着すると国王陛下が「朝早くにすまんな。早速本題に入るが、この前の任命式で、王太子がベイリー公爵令嬢と婚約破棄すると言っただろう。あの件に関して、我は知らされていなかった。しかし、夢で二人が言い合いをしている場面を見たので、王太子に忠告はしたのだが...。王太子が自ら皆の前で婚約破棄すると宣言した以上、取り消すことが出来ないのだ。」国王陛下の言う『夢』とは、『希少体質』の中の一つ、『予知夢』の事。具体的には、夢で見た事がほぼ全て現実になるらしい。でも、朝起きたら、ほとんど夢の内容を忘れているそうなので、断片的な事しかわからないのが欠点だ。「しかし、我としてはこれからもベイリー公爵家とは良好な関係を築いていきたいと考えている。そこで、第二王子との婚約の話を前向きに検討して欲しいのだ。」国王陛下の話がひと段したところでお父様が発言した。「もちろん私もそう考えていますが、まだ二人は知り合ったばかり。それに実際に交流を深めないと判断しづらいと思います。なので、双方が納得した後で、婚約するかどうかを決めた方が良いと思います。」お父様は、遠回しに私の意志を尊重して欲しいと国王陛下に伝えたのだ。でも、一歩間違えば、陛下が不満に思うこともあり得るような意見だ。果たして、陛下はどう返答するのかな?「確かにノア・ベイリー公爵の言う事も一理あるな。それなら、これから第二王子を呼んできて、二人で王城を散歩しながら話をするのはどうだろう?今の時期は、庭園の花がきれいなんだ。」えっと、もしかして今からギャレット殿下に会う流れ?一昨日、馬車で話したときの印象が強いから、まだ二人きりでは会いたくないかも。「交流を深めるという意味では、良いかもしれませんね。しかし、二人きりにするのが、少々不安ではありますが。」とお父様が反論してくれたが、「それなら、従者を同行させよう。必要ないと思ったら、一声掛ければ下がるので邪魔にはならないだろう。」「従者がいるのなら、安心ですね。」と顔を引きつらせながらお父様は言った。しかし、小声で「何かあったら、すぐに逃げて助けを呼ぶんだぞ。」と私に伝えた。昨日の執務室での話で、ギャレット殿下の事を警戒しているようだった。「多分、大丈夫です。ギャレット殿下が、直接的な行動に出る事はないでしょう。」同じく小声で返答したが、まだお父様は不安げな顔をしていた。数分後、玉座の前にギャレット殿下がやってきた。「国王陛下の命により、参上しました。確か要件は、オリビア嬢と交流を深める事ですよね。」「そうだ。なので、今からベイリー公爵令嬢を庭園まで案内して、そこで話をするといい。」「分かりました。では、オリビア嬢、行きましょうか。」国王陛下とギャレット殿下の話が終わり、私は庭園に案内されていた。庭園に着いた後、従者に一旦席を外してもらい、殿下と本音で話合うことにした。「婚約の件、まだ私は決めかねています。昨日、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されたばかりですし、何よりあなたのことをよく知らない。言い換えると、あなたの本性や目的を知ってからじゃないと判断出来ないという事です。」ちなみに、昨日の馬車の時の態度が本性だったら、絶対婚約したく無い。多分、他にも目的があるはずだから、それを引き出したい。「本性ですか...。昨日、貴女あなたと話した時の僕も素の自分でしたよ。そして、目的はただ一つです。貴女のことが好きだから、結婚して側にいて欲しいのです。」すごい直球な返答が来て、思わず驚いた。本当に他の目的は無いの?私のことが好きなんて急に言われても...「そんな事を言われても嬉しくありません。というより、私の質問をはぐらかすために適当な事を言っているのではないですか?」また、キツい言い方をしてしまった。もし、正直に答えてくれていたなら申し訳ないかも。「はぐらかしてませんよ。僕の本心です。でも、貴女には信じてもらえないようなので、もっと具体的な事を言います。貴女を好きな理由は、一途で、好きな人のために尽くす所。努力家だけど、それを鼻にかけない所。他には...」「ちょっと待って下さい。そんなに褒められると恥ずかしいです。」さっきから好きと連呼してくるから、恥ずかしくて、話を遮ってしまった。でも、私の好きな部分をスラスラ言えるってことは、私のことを理解してくれてるんだ。それは少し嬉しいかも。「というかなんで急に好きな理由とか語り出しているんですか!」「そのツッコミいいですね。もっと僕に対してキツい言葉を言ってもいいんですよ。」「だからなんでそういう風に捉えるんですか!別に殿下を喜ばせるために言ってませんよ。」「分かっているよ。でも、貴女と話せる事、一緒に居れること全てが僕にとってご褒美なんだ。」「だから、なんでそうなるの〜」


しばらく投稿出来ません。かなり間が開きますが

ご了承ください。

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