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光夜叉  作者: ソラネ
第四章
98/128

彼女だけがみつかった


 姫川はみつかった。


そう連絡がきて、翌日。

放課後、僕は学校でスバルと会った。


「よっ」と空き教室に入った僕を見てスバルは片手をあげた。


「ありゃ、 東條先輩は一緒じゃねぇの?」

「うん、あとで来るって。ところで姫川さんがみつかって本当?」


 姫川がいなくなったと判明してから三日後。

スバルが雨の中、呆然と立つ姫川をみつけたのだ。


「おう。実家からこっちに戻る途中、濡れ鼠になっとるアイツがおってな。びっくりしたわ~」

「ケガはなかった?」

「ケガはなかったで。保護してオレんちにおるよ」


 スバルから詳細を聞いている途中でガラガラと扉が開く音がし、シン兄ちゃんが室内に入ってきた。


「シン兄ちゃん! 姫川さんがみつかったって」

「そうか。よかったな」

「………」


 僕たちのやりとりをスバルはじっと変な顔で見てきたので「なに?」と聞いた。


「センパイは、アレやけど。お前ってそんな表情(かお)も出すようになったんやなぁ。いいことだ」


 そんな表情(かお)ってどんな?


時々、スバルは分からないことを言う。首を傾げてると。


「……ごめん!」


 突然、謝られた。


「今まで悪かった」とスバルに頭を下げられた。


「へ?」

「何も分かってないから説明して」


 キョトンとなっている僕にシン兄ちゃんが促した。


「オレ、あからさまに避けてたじゃん」


(あー、そのこと……)


 人から避けられるのは普通だったし、姫川さんのことで頭がいっぱいだったから抜けていた。

今、こうしてくれるってことは何かを伝える決心がついたのだろう。


僕は静かにスバルの話を聞いた。


「それだけではなく、バイトというか依頼でヒカルに最低なことをしてた。いや、今もしている」


 (僕に最低なこと?)


「お前のことを『本家』に報告してた」

「本家? スバルの? どうして」

「『土門(ツチカド)』……知ってるよな」


 スバルの言葉にこっくりと頷く。

『土門』は父方の姓だ。父方の本家の苗字だ。


久瀬(クゼ)は、代々本家に仕えてきた分家なんや。

んで、本家の命令でお前の近況を報告していた」


 本家の命令でスバルは、僕の監視をするためにこの町に引っ越してきたってこと?

わざわざ高校を転校させてまで。


父との関係よりも僕と本家の繋がりの方は薄い。

子供の時……母がいなくなった時に一回だけ本家を訪れただけ。

ただ、嫌な眼で僕を見下ろしていたことぐらいしか記憶にないのだ。


「本家がどうして僕を?」

「それは」

「この町が『特別』だからだよ」


 シン兄ちゃんが口を開く。


「この土地は土門が管理する一族だ。

常闇から生まれる住人を町の外へ溢れさせないように。常闇の王を起こさないために」

「常闇の王?」

「常闇の住人を統べる(おさ)だ。この土地にはってある結界により、封印されている」

「ま、古~い結界のせいでちょいちょい漏れ出てるけどな」


 「だから、下っ端な俺みたいなのがこの町に駆り出された」とスバルが言った。


「結界がなくなればどうなる?」

「封印が解かれれば世界は闇に呑まれる」

「あやかしだらけになるちゅーことやな」

「それで僕と何か関係しているの?」

「ヒカルの中には、封じられている『鬼』がいることは知ってるよね」


 僕は頷く。


カイコの樹で再会した母から自分の中には『鬼』がいると。

光夜叉(コウヤシャ)』を受け継いでいると聞いている。


「アイツは……結界を壊そうとしている」


 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。


拙作なため、お見苦しいところがあったり、矛盾点があったりと至らない点が多々あると思います。

それでも、『投稿を行う』という勇気と練習もかねて私のわがままにお付き合いいただければ幸いです。


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