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光夜叉  作者: ソラネ
第二章
33/128

補食対象

投稿が遅くなってすみませんっ。

今回、ちょっぴりBL表現があります。ご注意ください。



 夕暮れ。赤い空の時は、気を付けた方がいい。迷い込んでしまうから。

だから、大切な人が迷わないように手を繋いで歩きましょう。


お母さんが幼かった僕に言っていた言葉だ。


気を付けていた。気を付けていたんだ。

でも、学校帰りのいつもの曲がり角の先には、見覚えのない場所に繋がっていて、あの依頼者の妹と出会ってしまった。


「あ、あなたは…確か……」


 相手も僕と出会い、驚いた表情を向けていた。僕は軽く頭を下げる。

依頼者がいるということは、ここは彼女が住んでいる地区なのかもしれない。

制服を着ていることから学校の帰りなのだろう。


「ねぇ」


 依頼者の妹は、キッとキツく切羽詰まった顔で彼女は僕に迫ってきた。


「ねぇ、はやく助けてよ!」

「落ち着いて」

「いつまで待たされればいいの。耐えられない」

「いっ……」


 身を引こうとする僕の腕を力強く掴んできた。


「今、友人が対処をしようと動いてます。手を離してください」


 痛みを訴えると依頼者の妹は、ハッとした顔をし、僕の腕から手を離した。

赤く細い指のあとがくっきりと付いた手首を擦る。


「すみません…」と顔を地面に向ける依頼者に僕は思わず何があったのかと声をかけていた。


「あの日、肝試しにいった人逹と連絡できないんです。あれから更新もないし、きっと……みんな、あの動画のせいで…………」


 死んでしまったんだ、と。

呪われてしまったんだ、と。


「私もそうなるんだ。いやだいやだいやだ……」

「何か理由が……忙しくて返事ができないだけかもしれないし、そんなに思い詰めないで」

「他人事だからそんなこと言えるんですよ。お兄ちゃんも、皆もそうよ……」


 依頼者の背後からぶわっと黒い靄が吹き出した。

それを見た時、背筋がぞっと冷たくなり、腕に鳥肌が立つ感覚が一瞬で伝ってきた。


「誰も信じてくれない」


――ヒカルッ!


 黒い靄の塊が一気に迫った瞬間、光夜叉に突き飛ばされていた。

地面に尻餅を付いた僕の目の前で黒い霧に光夜叉は覆われてしまった。


苦しそうに顔を歪めながら、黒い霧を払い退けた光夜叉の左頬が微かに煤で汚れている。


――逃げるよう、ヒカル。


「でも……」


――アレは、依頼者を襲わないから。

さぁ、はやく!


 光夜叉に急かされ、その場に依頼者を残したままあの黒い霧から僕たちは離れた。



「光夜叉…それ……」


――あっ…穢れをおとせば大丈夫だよ。


 サッと袖で左頬を隠した。


――それより、捕まれた腕は大丈夫。痛くない? 穢れをもらってない?


「平気、なんともない」


 捕まれた腕を眺め、何もなっていないことを確認する。


――よかったぁ。君がアレに触れてなくて本当によかった……。


「コウ…!」 


 僕に倒れていき、光夜叉を受けとめた。


――ごめんね。最近『チカラ』をもらってなかったから、ちょっと疲れちゃったみたい………。


 えへへ、と笑う光夜叉は、瞼を開けているのが辛そうに目を細め、頭を下げてウトウトしている。


「『チカラ』ってどうやって君に渡すことができ……」


 グイっと頭を押さえつけられ、不意討ちを食らう。

重ねた唇からひどく身に宿る熱が奪われる感覚にクラクラとさせた。


「やめ……!」


 思わず突き飛ばし、地面に尻餅を付いたまま唇を袖で拭った。


――ご、ごめんっ、ヒカル。意識が朦朧としてて……。


 慌てて弁解する光夜叉の言動は今までと変わらずに見えた。


でも、唇を拭っている間に目にした光夜叉の表情は、頬をほんのりと朱に染め、自分のことを捕食する対象として見つめていた。


いつの間にか3月中旬になっていました(汗)

投稿が遅くなり、すみません。

また、ここまで読んでいただいている方、本当にありがとうございます!

多少、脱線するかもしれませんが頑張ってお話を書きますので、よろしくお願いいたします。

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