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光夜叉  作者: ソラネ
第二章
23/128

変り者の転校生


<ギャァアアアアー―――……>


 黒い塊に向けて剣と化した光夜叉を突き立てれば、断末魔が辺りに響いた。


『蜘蛛』を対峙してから僕の視界に奇妙なモノを映るようになっていた。

目に視えるモノのほとんどが原形を留めておらず、影のようなもので注意してみないと気付かない。


けれど、中にはそうでもない奴がいて……。

相手が僕を認識すると襲ってくるようになった。


「急に襲ってくるようになったんだろ?」


――今まで君は守られていたんだよ。

気付かないように気付かれないように目隠しをされていた。

少なからず、自覚はあるのでは?


 目隠しされていたと言われてもしっくりこず、どういうことだと考える。


襲ってくるようになったのは、確かに視えるようになってからだ。

だが、今まで視えなかったことで守られていたことになるのかが、結び付かない。


納得していない僕に光夜叉は特に触れず、続けて話す。


――みえるってそれだけで相手を存在させられる。特別なことなんだよ。




********************




「君、神代ってゆーの?」


 休み時間、騒がしい教室内で声をかけられ、机に伏せていた顔を上げれば見知らぬ男子生徒が立っていた。


「寝てたところわりぃな。俺、お前としゃべってみたくってさ。つい、声をかけた」


 暗めの茶髪と癖っ毛をした男子生徒は言った。

誰? と訝しげに目を細めた僕に男子生徒は慌てて自己紹介をする。


「昨日、転校してきた。…久瀬(クゼ) (スバル)っていうんや。よろしゅうな」


 関西弁混じりの口調で久瀬 昴は愛嬌のある笑みをみせた。


昨日と聞いて、あぁ…と頷く。

右腕の抜糸のため病院に行き、昼過ぎから登校した日だ。


「よ、よろしく……」


 よろしくされたが、自分とはあまり関り合いにならないだろうと思った。

印象として、明るくて周りから好かれるタイプだ。

積極的に僕に声を掛けられる行動からして自分と違う。


ところで、僕に話しかけたのは、なんでだ? その答えはすぐに分かった。



「なぁ、神代ってもしかして『みえる人』なん?」


 言われた意味が分からなくて「どういう意味だ?」と聞き返す。


「みえるって何を?」

「ちょっと気になってな……あのな、俺、見てしもたの」


 久瀬はしゃがみ、机に肘をつけた。

ないしょ話をするように顔を近付け、小声で続けた。


「君が、あやかしを退治しているところ」


 驚き、久瀬と向き合えば視線が合った。

「だから、気になってんねん」と人懐こい笑顔で言うが、警戒心をますます深めるには充分だった。


いつの間に目撃されていたのなかギョッとし、黙っているとチャイムが鳴り、響いた。


「また、あとで」


 久瀬は授業を受けるために自分の席に戻っていった。


いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。

更新について、月に1回の時もありますので、あらかじめご了承くださいませ。

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