変り者の転校生
<ギャァアアアアー―――……>
黒い塊に向けて剣と化した光夜叉を突き立てれば、断末魔が辺りに響いた。
『蜘蛛』を対峙してから僕の視界に奇妙なモノを映るようになっていた。
目に視えるモノのほとんどが原形を留めておらず、影のようなもので注意してみないと気付かない。
けれど、中にはそうでもない奴がいて……。
相手が僕を認識すると襲ってくるようになった。
「急に襲ってくるようになったんだろ?」
――今まで君は守られていたんだよ。
気付かないように気付かれないように目隠しをされていた。
少なからず、自覚はあるのでは?
目隠しされていたと言われてもしっくりこず、どういうことだと考える。
襲ってくるようになったのは、確かに視えるようになってからだ。
だが、今まで視えなかったことで守られていたことになるのかが、結び付かない。
納得していない僕に光夜叉は特に触れず、続けて話す。
――みえるってそれだけで相手を存在させられる。特別なことなんだよ。
********************
「君、神代ってゆーの?」
休み時間、騒がしい教室内で声をかけられ、机に伏せていた顔を上げれば見知らぬ男子生徒が立っていた。
「寝てたところわりぃな。俺、お前としゃべってみたくってさ。つい、声をかけた」
暗めの茶髪と癖っ毛をした男子生徒は言った。
誰? と訝しげに目を細めた僕に男子生徒は慌てて自己紹介をする。
「昨日、転校してきた。…久瀬 昴っていうんや。よろしゅうな」
関西弁混じりの口調で久瀬 昴は愛嬌のある笑みをみせた。
昨日と聞いて、あぁ…と頷く。
右腕の抜糸のため病院に行き、昼過ぎから登校した日だ。
「よ、よろしく……」
よろしくされたが、自分とはあまり関り合いにならないだろうと思った。
印象として、明るくて周りから好かれるタイプだ。
積極的に僕に声を掛けられる行動からして自分と違う。
ところで、僕に話しかけたのは、なんでだ? その答えはすぐに分かった。
「なぁ、神代ってもしかして『みえる人』なん?」
言われた意味が分からなくて「どういう意味だ?」と聞き返す。
「みえるって何を?」
「ちょっと気になってな……あのな、俺、見てしもたの」
久瀬はしゃがみ、机に肘をつけた。
ないしょ話をするように顔を近付け、小声で続けた。
「君が、あやかしを退治しているところ」
驚き、久瀬と向き合えば視線が合った。
「だから、気になってんねん」と人懐こい笑顔で言うが、警戒心をますます深めるには充分だった。
いつの間に目撃されていたのなかギョッとし、黙っているとチャイムが鳴り、響いた。
「また、あとで」
久瀬は授業を受けるために自分の席に戻っていった。
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