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くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

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989/989

965 クマさん、合流する

「これで、終わりかのう?」


 探知スキルで確認する。

 沼から魔石を抜き取ったからなのか、探知スキルの反応は消えている。


「たぶん、終わりみたいだよ」


 でも、この魔石を沼の中に戻したら、復活しそうだけど。

 もちろん、怖いので、そんな確かめるような実験はしない。


「それにしても、たくさんの魔石がくっついているのう」


 カガリさんはわたしが持っている集合体の魔石を見る。


「沼にある魔石、全部かな? でも、それにしては少ないよね」


 30個ぐらい?

 今までに沼に取り込んだ魔物数は、これだけではすまないはずだ。

 時間などを考えれば、十や百じゃない。千、万あってもおかしくはない。

 でも、ここにはそんな数の魔石はない。


「沼に吸収されたのじゃろう。あれだけの沼を動かすんじゃ。その程度の魔石じゃ無理じゃろう」


 自由に沼を動かし、大きな山のようなものを作ったり、竜やコカトリスのまがい物を作ったりした。

手元にある魔石の数程度の魔力では、そんなことできないと思う。


「それじゃ、竜の魔石ってないのかな」

「吸収されたかもしれないし、沼のどこかに残っている可能性もある」


 残念。


「お主、まさか探すつもりじゃったのか?」


 わたしの表情を見たカガリさんが呆れた表情をする。

 竜の魔石が落ちているかもと思ったら、欲しいと思うのが普通だと思うけど。

 これもゲーマー的な考えなのかな。


「もし、手に入ればと思っただけだよ。探すつもりはないよ」


 実際問題、この大きな沼の中から探すとなると、無理に近い。

 スキルで水の中に入れるけど、沼の中は汚い。遠くまで見通すことはできない。見つけ出すのに、どれほどの時間がかかるか分からない。

 それに、存在するか分からない物を探すのは苦行でしかない。

 作業と利益が割に合わないのが実際のところだ。


「ちなみに、カガリさんの魔石を見つける力って?」


 ダメ元で尋ねてみる。


「お主も分かっておるじゃろう。ある程度近寄らないと分からん」

「だよね」


 分かっていたけど、やっぱり、そうなんだね。

 この広い沼の中から探すのは無理そうだ。

 竜の魔石は諦めるしかない。

 わたしは凍った沼に目を向ける。


「この魔石を取ったけど、同じことがおきたりしないよね?」


 第二、第三の動く沼にならないか心配だ


「そんなこと、妾が分かるわけがなかろう。お主、妾に聞けば、なんでも答えてくれると思ってないか?」

「え、思っているけど」


 わたしの中では、分からないことがあったら、カガリさん、ムムルートさん、エレローラさんに聞けば、答えてくれると思っている。

 この世界の知恵袋だ。


「妾のことをなんじゃと思っているのじゃ」

「お婆ちゃんの知恵袋? 人生経験? 見識を持っている?」

「誰がババァじゃ」

「そんなこと言っていないよ。長く生きてるから、知識や経験で知っているかと思っただけだよ」

「どんなに長く生きていても、今回みたいな非常識なことまでは分からん」


 ごもっともな言葉だ。

 こんなことが、いろいろな場所で起きていたら困る。


「この魔石、このままアイテム袋にしまって大丈夫かな?」


 集合体の魔石を見ながら尋ねる。


「だから、そんなことは知らん。不安なら、壊せばいいじゃろう。じゃが、どこかの研究所に持っていけば、かなりの金額で引き取ってくれると思うぞ。研究対象として、欲しがる者は多いじゃろう」

「和の国でも?」

「一応、研究するところはあるが、今は大蛇に関することがメインじゃ。引き取ってくれても、保管されるだけで、研究は後回しになるじゃろうな」

「大蛇の研究なんてしているんだ」

「第二の大蛇が現れるかも知れぬからな。対策の研究じゃとスオウは言っていた」

「また、大蛇が現れるの?」

「可能性の一つじゃよ。数百年後に現れるかも知れぬ。それが和の国かも知れないし、他の国かも知れぬ。大蛇のことが分かれば、お主や妾がいなくても倒せるかも知れぬ」


 やらずに後悔よりも、やって後悔だね。

 それに数百年後なんて、カガリさんはともかく、わたしは生きていない。


 わたしは集合体の魔石を壊すのもあれなので、クマボックスにしまう。

 クマボックスなら生きているものは入らない。

 魔石の集合体は、わたしの不安をよそに何事もなく入った。


「それじゃ、これで終わりってことでいいんだよね」

「終わりじゃろう。今後、第二、第三、沼が魔物化したとしても、対処するのは妾達の役目ではない。この国の仕事じゃ」

「そうだよね」


 魔物が現れるたびに、わたしが出向くことはできない。したくないのが本音だ。

 わたしは自分中心に世界が動いている。

 だから、自分の周りの人さえ、幸せなら十分と思っている。わたしは英雄でも勇者でもない。ただのクマだ。

 わたしの幸せのためにも、この国の冒険者、騎士、魔法使いに頑張ってもらおう。

 とりあえず、未来のことは未来の人に任せる。


「それじゃ、ゴジールさんのところに戻ろうか。カガリさん、動けそう?」

「そろそろ限界じゃのう。お主こそ、大丈夫なのか?」


 白クマで魔力が回復しているとはいえ、流石に疲れた。


「わたしも疲れたし、くまゆるを呼ぶよ」


 わたしは心の中で「くまゆる、疲れたから迎えに来て」とくまゆるに伝える。

 このスキルの念話だけど、くまゆるに伝わっているかどうか分からないのが難点だ。「くぅ~ん」とか返事があればいいんだけど、それもない。

 とりあえず、わたしは凍った沼の上を歩き、カガリさんはふらふらと浮かびながら岸に向かう。


「ユナ、すまないが着替えたいから、小屋を作ってくれぬか?」


 カガリさんは大人から子供に戻ってしまったので、ぶかぶかの服を着ている。

 わたしは岸に到着するとクマハウスを出す。

 一から小屋を作るより、クマハウスを出したほうが楽だ。

 カガリさんはクマハウスの中に入り、着替えてくる。

 カガリさんが着替えてクマハウスから出ると、ちょうどくまゆるがやってきた。


「くぅ~ん」


 ちゃんと伝わったみたいで、よかった。

 くまゆるはわたしを見つけると駆け寄ってくる。


「くまゆる、来てくれてありがとうね」


 くまゆるの頭を撫でる。

 わたしはクマハウスを仕舞うと、わたしとカガリさんはくまゆるに乗り、ゴジールさんのところへ向かう。

 やっぱり、移動はくまゆるとくまきゅうに乗るに限る。

 くまゆるは真っすぐにゴジールさんとくまきゅうがいるところに向かってくれる。

 それにしても疲れた。

 帰って寝たい。

 あとはお酒の材料を手に入れて帰るだけだ。

 もう少しの辛抱だ。


 徐々にわたしが作ったT字の柱が近づいてくる。

 そのT字の上にはくまきゅうとゴジールさんの姿が見える。

 無事みたいでよかった。


「カガリさん、毒は大丈夫だよね」

「ああ、問題はない」


 カガリさんはゴジールさんの魔石を見ながら答える。

 わたしはT字の柱の下までやってくると、上に向かって声をかける。


「柱を縮めるから、真ん中にいて!」


 柱の上から落ちたら困るので、注意をしておく。

 わたしはT字の柱をゆっくりと縮ませる。

 柱が短くなると、くまきゅうとゴジールさんが地面に降り立つ。

 うん?


「くまきゅう、どうしたの?」


 くまきゅうがいじけている。

 どうして?

 わたし、なにもしてないよ。


「ゴジールさん、どうして、くまきゅうはいじけているの?」

「俺もよくは分からないが、黒いクマが柱から飛び出して、嬢ちゃんたちがいる方へ走り出して行った。そうしたら、白いクマがこんな状態になった」


 よく分からない。


「なるほどな」


 カガリさんは分かったように頷く。


「カガリさん、理由が分かるの?」

「お主、いつも言っておるじゃろう。片方を構うと、片方がいじけると、それで、交互に乗っておると」

「そうだけど」

「それで、今回、お主は、くまゆるだけを呼んだ」


 カガリさんが言いたいことが分かってきた。


「つまり、くまきゅうを残し、くまゆるを選んだからってこと?」

「そうじゃろう。お主のクマはお主のことが好きじゃ。お主が危険なときも飛び出そうとしていた。でも、妾が止め、妾がお主のことを助けに行った。お主のところに行きたかったのを我慢していた。でも、呼ばれたのはくまゆるじゃった。だから、くまきゅうの方はいじけておるのじゃろう」


 そんなつもりはなかった。無意識だ。

 いつも名前を呼ぶ時はくまゆるの名前が先だ。だから、今回も無意識にくまゆるを呼んでしまった。


「くまきゅう、ごめんね。そんなつもりはなかったんだよ。わたしを心配してくれたんだよね。ありがとう」

「くぅ~ん」


 くまきゅうが振り向く。

 わたしはゆっくりとくまきゅうに近寄ると撫でる。


「ゴジールさんを守ってくれて、ありがとうね」


 慰めると嬉しそうにしてくれる。

 それを見たくまゆるまでが近寄ってくる。わたしはくまゆるとくまきゅうに囲まれる。


「クマだらけじゃのう。そうじゃ、これを返す。助かった」


 カガリさんは持っていた魔石をゴジールさんに渡す。


「役に立ったならよかった」


 ゴジールさんは魔石を受け取る。


「それじゃ、酒の材料を取りに行くとしようかのう」

「その前に、どうして、嬢ちゃんは白クマの格好をしているんだ?」

「…………」


 わたしは簡単に魔力を回復してくれることを説明した。

 それを聞いたゴジールさんは、「ほう、そんな服があるのか。どんな職人が作ったんだ?」と聞いてきたが、秘密と答えた。

 やっぱり、職人として気になるのかな?



沼討伐、謎の魔石ゲット。

あとはお酒の材料を取りにいくだけですね。


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― 新着の感想 ―
スキルで水の中に入れるけど、沼の中は汚い。遠くまで見通すことはできない。     ↑ 全部凍らせて熊パンチや熊キックで割っていけば良いだけ! デッカイかき氷が出来たりして?www
>「それじゃ、竜の魔石ってないのかな」 >「吸収されたかもしれないし、沼のどこかに残っている可能性もある」 魔石の集合体の中に地竜の魔石はないのでしょうか?(汗。 可能性はあると思うので、矢張りマー…
ユナはお着換えしなかったのですね。 黒クマに着替え直せばゴジールに突っ込まれなかったのに、魔力回復を優先したのだろうか? ※着替え忘れただけ? 今回、カガリがユナに自分をどう思っているか確認していま…
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