↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くまクマ熊ベアー  作者: くまなの
クマさん、新しい依頼を受ける

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1004/1004

980 クマさん、大会の話を聞く

「あとレースについて確認だけど、予選ってどうやるの? 予選って、何回走れるの? 1回だけなの?」

「予選は決められた順番どおりに走り、走れる回数は2回ですね」

「2回……」


 1回は失敗できるってことだ。


「緊張などで1回失敗することは、誰にでもあることです。2回連続で実力が発揮できないのは練習不足であり、実力不足です」


 無限に走れば、その1回ぐらいは、最高タイムが出ることもある。それは実力ではなく、運ってことだ。


「剣術の試合は1回でも負ければ終わりですから、1回でもいいかと思うのですが、お父様が実力がある者が予選突破できないのは困ると言って」

「それは、剣術の負けは死であり、2回目の戦いはありえないからでしょう。遊びのボートと一緒にしちゃダメよ」


 マーネさんが剣術とボートの違いを指摘する。

 つまり、剣術は死と隣り合わせだ。魔物と戦うと考えれば、逃げ出すことができず、誰かが助けてくれないかぎり、魔物に負ければ死に繋がる。

 二度目はない。

 そんな考えがあるから、剣術の大会では一回でも負けたら、終わりなんだと思う。

 たまに一回戦で優勝候補同士が戦うと、負けたほうが可哀想と思うけど。ゲームのイベント大会では実力者同士が一回戦で潰し合うのは喜んだものだ。

 性格が悪い? 上位の賞品を手に入れるためにはライバルが減ってくれたほうがよかったんだよ。


「それで、予選のタイムが良かった30名が本戦に出られます」


 参加人数は分からないけど、30名って多いのかな。


「その本戦のレースってどうやるの? 1対1の勝ち抜き戦? それとも複数でレースをするの?」

「10名が一緒に走ります。そして、一位が10ポイント、2位に9ポイント、10位には1ポイントと順位によってポイントが与えられます」


 ほう、なるほど。

 セレイユの説明だと。

 くじ引きなどで、A、B、Cと三つに振り分けられると言う。

 それぞれ3試合おこなわれ、各ポイントが上位3名、計9名が決勝に行けると言う。

 そして、決勝は1回しか行われず、剣術と同じように一発勝負らしい。


 つまり、予選で2回、本戦で3回、決勝で1回。


「つまり、勝ち続けたら6回レースをするってことだね」

「予選で負けたら2回だけですが」


 初心者のわたしとセレイユが予選を勝ち抜けるか問題が一番大きいかも。


「ユナ、アイデアは以上ですか? 今年できるかどうかは分かりませんが、来年以降にできる案もあれば参考にしたいのですが」

「そうね。いきなり言われても困るし、案があるなら、言いなさい」


 セレイユとマーネさんに問い詰められる。


「えっと……」


 わたしはゲームと漫画、現実で行われているレースを参考にして、答えた。


「相手に攻撃は危険ね。でも、トラップは面白いわね。湖の中に魔石とプロペラを設置して、渦巻きが作れるわ」


 プロペラがあるの? と思ったりしたけど、調理場で換気扇があったことを思い出す。


「それなら、今からでも設置はできそうね」

「ショートカットは危険ね。今から作るのも大変だし」


 ゲームでもコースのショートカットはテクニックがいる。

 簡単だったら、全員がショートカットに行ってしまうので、ショートカットの意味がなくなってしまう。

 ゲームなら、ちょっとしたタイムロスで済むけど、現実はミスではすまない。

 ちょっとしたミスにするコース作りは簡単に作れそうもない。


「それと競技を増やす案はいいですね。特にボートの旗取り」


 初心者用と通常のボートに付いている旗を見て思いついた。


「交流会で旗取りをしたでしょう。それと同じ感じだね」


 マーネさんは交流会のことは初めて知るようで、セレイユが説明する。


「なるほど、それは面白いわね」

「問題があるとしたら、動くボートの旗に命中できるか問題があるけど」


 交流会のときは旗は動かない。でも、ボートは動く。


「確かにそうですね。それじゃ、交流会のときのように陣地を作って、自分の陣地の旗を守るほうがいいでしょうか」

「守る方法も考えないといけないわね」

「それに誰でも参加はできませんね」

「それじゃ、参加者は学生だけにしたら? 見ているだけでも楽しいと思うし」


 一種のスポーツ観戦だ。


「それじゃ、冒険者同士も楽しそうですね」


 冒険者同士の試合となると、プロ観戦って気分になりそうだ。


「今年は無理そうですが、来年にはやってみたいですね」


 話も終わり、マーネさんが立ち上がる。


「それじゃ、時間もないことだし、あなたの父親に相談しましょう」


 いろいろな話をしていたら時間がかなり過ぎてしまった。

 わたしも久しぶりにゲームの話が出来て、楽しかった。


「案内します。ユナはどうしますか?」

「そっちは任せるよ。もし、わたしが手伝えることがあったら、言ってね」


 出来ること出来ないことの判断はセレイユの父親、このイベントに関わる人たちが決めることだ。

 わたしが口を出せるのは、意見とアイデアまでだ。

 セレイユとマーネさんに任せると、フィナたちが寝ている部屋に向かう。

 部屋にはフィナたちがくまゆるとくまきゅうを抱いて、寝ている姿があった。

 思っていたよりも疲れていたのかもしれない。

 わたしも、自分に回復魔法をかけていなかったら、筋肉痛と疲労で寝ていたかもしれない。

 それにしても、リアルでボートレースをするとは思わなかった。


 ノアたちが起きたのは昼過ぎだった。

 遅めの昼食を食べ、セレイユから話を聞くと、加速の案と湖に渦巻きを作る案は即採用となったのこと。


「ボートの加速に、湖にトラップですか? 面白そうです」

「でも、これ以上速くなるんですか? 怖くないですか?」


 ノアは嬉しそうにして、ミサは不安そうにする。


「フィナはどう思いますか?」

「えっと、怖いと思いますが、楽しそうです」


 フィナはジェットコースターが好きなタイプだね。

 そんな話を聞いてシュリは羨ましそうにしている。

 大会には参加はできないけど、大会が終わったら、一緒に乗ってあげよう。


「ただ、問題は魔石の確保ができるかどうかって言っていました。全てのボートに取り付け、レースが終わったあと、すぐにレースが始められるように交換用の魔石も用意をしないといけません」


 レースが終われば、10台のボートの魔石の交換が必要になる。

 加速の回数によっては、魔石の交換の数は2倍、3倍となる。


「それなら、これを使って」


 わたしはウルフの魔石を取り出す。

 今までにフィナがウルフを解体し、取り出してきた魔石だ。

 今も現在進行形で増え続けている。

 クリモニアの解体場にはウルフの魔石の山があるぐらいだ。

 たまに回収しているけど、増える一方だ。

 さらに、砂漠で巨大サソリの甲殻と小型ワームの魔石を冒険者と交換したときの魔石も大量にある。


「いいのですか?」

「使い道がないからいいよ」

「ありがとうございます。助かります。買い取らせていただきますね」

「別にいいよ」


 何度も言うけど、腐るほどあるし、使い道はない。

 クマボックスで寝かしておくより、有効活用してもらったほうが嬉しい。


「いえ、ちゃんとお支払いします。いくら友人でも、お金の問題はしっかりしないといけません」


 友人って言葉に少し恥ずかしい気持ちになる。

 これもボッチだったから、面と向かって言われると嬉しい自分がいる。

 なので、後日、ちゃんと計算の上、代金をもらうことになった。


「それから、ユナが言っていた旗取りの競技ですが、試験的にやることになりました」

「そうなの?」

「試験的なので学生限定です。わたしがボートレースに参加する生徒たちに確認をとって、参加人数が集まったら、やることになりました」


 つまり、参加人数が集まらなかったら、できないってことだ。


「マーネさんは?」

「時間ないってことで、ボートの改良に行きました」

「わたし、ボートの改良を見たいです」


 ノアの言葉に全員が同意する。


「それではみんなで行きましょうか。ユナからいただいた魔石も届けないといけませんし。でも、その前に魔石の数を数えてからですね」


 魔石の数を数えてから、マーネさんのところに行くことになった。


「マーネさんって、どこに泊まっているの?」


 もし、この屋敷に泊まっていれば、気付いたはずだ。


「本来なら、わたしたちの家に泊まっていただきたいのですが、自由に行動がしたいってことで、宿屋に泊まっています」


 その気持ちなんとなく分かる。

 誰かの家に泊まったら、その家の時間のルールに合わせないといけない。

 でも、宿屋だったら、寝坊も許されるし、逆に早く起きて、仕事もすることができる。

 気を使わないですむ。

 ちなみに、マーネさんが泊まっている宿屋は、わたしとノアが交流会のときに泊まった高級宿屋と教えてくれる。


 魔石の数を数えたわたしたちはマーネさんのところに向かう。

 ちなみに、わたしは抵抗したけど、着替えさせられたよ。


 マーネさんは湖のそばのボートを管理する小屋で、ボートの改良をしているとのことだ。


 わたしたちは周囲を見ながら向かう。

 いい天気だ。


「そういえば、雨のときはどうするの?」

「小雨程度なら行います。大雨、大風の場合は3日の延期ですね。皆さん、仕事を休んだり、時間を作ったりしてくださるので、なるべく延期はしない方向で行います。でも、視界が悪くなる大雨や、湖が波打つほどに強い風が吹いている場合は危険なので、その日は中止になり、延期になります」


 レースゲームでも雨のレースは視界が悪い。

 雨のニュースで車内映像を見ることがあるけど、視界が悪く危険だ。

 それと風が強いとボートが流れて危険だ。


「その3日後もダメだった場合は?」

「さらに3日後です。延々と3日後延期の予定ですが、そんなことが続けば、中止になるかと思います」


 だよね。

 永遠の延期はできない。


「でも、この地域は、天候には恵まれていますので、そんなことになることはないと思います」


 セレイユ、知っている?

 それをフラグって言うんだよ。


こんなに細かいルールを決めることになるとは思わなかった。

ただ、ユナとセレイユの話が書きたかっただけなのに……。


※7月3日にくまクマ熊ベアー外伝~ユナのよりみち手帖~ 5巻が発売しました。

※6月5日にくまクマ熊ベアーのコミカライズ14巻と文庫版13巻が発売しました。

店舗購入特典もあります。詳しいことは活動報告にてお願いします。


PASH! BOOKS 10周年記念 POP UP SHOPにて販売されましたグッズがFuuuuオンラインショップにて販売が開始されました。

気になるグッズがありましたら、よろしくお願いします。

※毎月28日は【ふたばの日クーポン】の日らしく。

ショップサイトにあるクーポンコードを入力すると10%になります。

くわしくはFuuuuオンラインショップにて、お願いします。


※PRISMA WING様より

くまクマ熊ベアーぱーんちのフィギュアが9月に発売予定です。


※くまクマ熊ベアー ユナ ミタクルブロックコラボフィギュアの再販が決まりました。

※予約期間:2026/04/01(水)~2026/09/30(水)まで


※22巻の発売の情報はもう少しお待ちください。


※誤字を報告をしてくださっている皆様、いつも、ありがとうございます。

 一部の漢字の修正については、書籍に合わせさせていただいていますので、修正していないところがありますが、ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マーネさんは、西の森で手に入れた双頭のスネイクの魔石から、「遠くの人と話ができる魔道具」を作ろうとしていましたが・・・”試作品”くらいは完成したのでしょうか?。 マーネさんが王都から離れる機会はそうな…
»それで、予選のタイムが良かった30名が本戦に出られます 順位ごとにポイントだからタイムじゃなくて順位だよね? タイムなら順位関係ないから他のグループの1位よりも早ければ激戦区の最下位まで予選通過で、…
>プロペラがあるの? と思ったりしたけど、調理場で換気扇があったことを思い出す 確かに、お風呂の給湯のように魔石で過熱するのではなく、燃料を燃焼させ、酸素を消費して食材を過熱するのなら、”煙抜き”は…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。