【#091《勝利を信じて》】
【昼、都市クレイシス・情報管理局前広場】
「……“絶対零度”……」
ヒュースがそう言い放つと、身体から冷気が放たれ、自分を中心に辺りを凍結させていった。
周りの建物や地面もそうだが、気温も極端に低下しているせいか、俺達の肌までもパリパリと氷が張ってきている。
目の前が一瞬で銀世界に変えられてしまっていた。
「恐ろしいわね……彼女、あれでまだ本気じゃないわよ」
「マジかよ……」
「そうかも……もしヒュースさんが本気だったら、私達も凍結させられたと思う……」
舞には見えたのだろう。ヒュースの放った際の冷気が全力ではないことが。
実際、俺もその考えが正しいと思う。
見たところ、この技は範囲を指定出来ないらしい。向こうにいる火西や雨水も、寒そうにしている。
俺達を凍結させようとしたら、あっちの味方も一緒に凍らせてしまうのだろう。
すると雨水が口を開いた。
「おい、舞だったか? 場所を変えようぜ」
「……」
舞は俺の方を見てきた。行っていい?って顔だな。
「止めても無駄だろうからな……死ぬなよ?」
「うん!」
「リューネ!舞を助けてやってくれ!」
「グルッ」
分かったと返事をしてくれた。
「場所を変えます!」
舞はリューネの背中に乗って移動していった。
「聞き分けが良い女で助かるぜ!」
雨水は足元に波を出現させ、それに乗ったサーファーのように舞を追い掛けて行った。
「私達も離れましょうか」
「そうだね。この冷気じゃ、僕らの力は半減しちゃうしね」
火西は着いてきなよと言って、舞達とは逆方向に歩き出す。
「私は最初から全力で勝ちに行くわ」
「ああ」
「だから良夜も負けないで!」
「勿論だ!さっさと終わらせて、マスヤバに行こう!」
「ええ!」
魅紅も火西の後を歩き出す。
そして俺はヒュースの方へ視線を向けた。
「待たせたな」
「……別に。 ……始めていい?」
「ああ……だが、その前に1つ答えてくれ」
「……?」
「何で犯罪者なんかになった。なぜ夜魅に協力している」
それは最初から感じている疑問だ。どうもヒュースからは悪意と言うモノを感じない。
これは気のせいとかじゃない。昔から人の悪意を見てきた俺だから言える核心だ。
だから、ヒュースの意思を聞きたかった。
「……」
だが答えてくれない。
答えられない理由があるのか?
それとも迷っているのか?
「…………ここにしか居場所が無いから」
その答えてくれた言葉を切っ掛けに、ヒュースの攻撃が始まった。
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リューネに乗って高速で移動していた舞は、町外れにある平野地を戦う場所に選んだ。
直ぐに雨水が追い付き、舞から距離が離れた所で止まった。
「平野地か……まさかここでなら俺の水を封じられるとか思ってんじゃねぇよな?」
「そんなことはありません……」
「ならこれに耐えて見せろ!“水流突破”!」
雨水さんの右手から水の砲撃が放たれてきた。
確かに雨水さんが言うような期待はしていたけど……目的は他にもあるもん!
「平野地なら土のエレメントが一番発揮しやすいから!そして、水は土に弱い!」
国連の皆さんに教わった五元素の知識、それに応じた技の特訓!
護身用で教えてくれたエレメントの力が役に立つ時!
わたしは土に地面を当てて、エレメントを流し込む。そして目の前に土の壁を作り上げた。
予想通り水は左右に弾く事に出来た。
「へぇ。性質を良く心得ているな。しかも、土壁も水の抵抗が左右に逃げるように、三角形状に作られている。頭も回る!」
雨水さんはわたしの手段を分析出来るだけの余裕がある。
倒す為の策はある……けど、まだ足りない。
もっとあの感情を出させないと……!
「次はちっと強力なの行くぜ!」
雨水さんは詠唱を始めた。
次回へ続く!!




