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うむ。なるほど。  作者: たなかそう


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第九話

メフィスレスが来てから、俺の日常はとても規則的になった。

早寝早起きして、昼寝は決まった時間にするようになり、ご飯の時間も一定だ。

最近ではたまにベチャベチャの離乳食を食わされるようにもなって、若干不満である。


母親の胸に異性としての興奮はしないが、非常に安心はする。

その安心感を取り上げられた上、今まで抱っこ状態で食べさせて貰ってたのに、身体を起こして食わされるので、飲み込み方がまだちょっと慣れなくて難しい。

この世界には粉ミルクとかは無い様で、唐突に離乳食というのもハードルが高かった。

致し方ないので、しばらくはメフィスレスのモフモフした毛並みを堪能する事で、この不満も我慢してやろうと思う。


因みに、ペトは乳母なので母乳が出るが、母親がどうしても出なかった時の備えらしく、今まで一度もペトの母乳を飲んだことはない。

産まれた瞬間に死にかけたから、その不安もあってお願いしたのだろう。


自分で寝返りを打てたのも、メフィスレスが(しき)りに鼻先で俺を押してくるからだ。

鬱陶しいと逃げ惑っていたら、コロンと寝返りを打てることに気が付いた。

というより、身体の使い方のコツがわかったのだ。

何だよ、俺の赤ん坊としての筋力、なかなかバカになんねぇな。


そう思ってからは、コロコロ転がるのが俺のお気に入りになった。

ただ、ちょっと広めのベビーベッドに寝かされているので、そこまで転がる場所はない。

代わりに、ミームの与えるおもちゃを全力でぶん回し始めた。より遠くに投げようと奮闘中だ。出来れば、部屋の隅にあるゴミ箱に綺麗にシュートしたい。

何度かトライしているのだが、なかなかそこまでは届かない。まだまだ筋力が足りないな。


そんなある日、俺の我儘っぷりが問題になっている雰囲気を感じた。

自分の行動を冷静に振り返ってみたら、大事な魔道具をぶん投げて放り出すわ、ミームにピリッと電撃攻撃するわ、メフィスレスが嫌がっているのに構わずモフモフするわ。

……うん、問題だらけだった。


いや、そんなに大問題だろうか? 問題……なのか。そうか。そうかも知れない。


そういった不遜(ふそん)な行いを反省させるため、なのか。俺はある日、部屋で一人きりにされた。

上を向いてもリルが居ない。下を向いてもメフィスレスが居ない。右を向いてもミームが居ない。左を向いてもユハが居ない。身体の方向を必死に変えてみてもペトが居ない。

やばい。これは、マジで寂しい。


俺は、ちょっと久しぶりに泣いてしまった。

規則的な日常になってからは、泣かなくても時間になれば全てが思い通りに進んでいたので、本当に久しぶりだった。最初はちょっと泣き方すら分からなかったのだが、要領(ようりょう)を掴んでからは、全力でギャン泣きした。


泣いて、泣いて、泣き疲れて寝ていたらしい。

気付いたら、ユハの腕に抱かれてお座りしていた。

はじめてのお座りに感動する間もなく、俺はユハの腕をペチペチ叩いてから、しっかりと抱き締めてもらった。

ちょっと自分でもビックリするほど安心した。

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