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うむ。なるほど。  作者: たなかそう


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第七話

だからと言って、すぐに俺の赤ん坊生活が何か変わる訳でもない。

王子とは言っても、国王が自分で子育てする位だ。小国のほのぼのした国なのだろう。

非常に穏やかに日常は過ぎていった。



手足も自由に動かせるようになり、少しずつ泣き声以外の言葉も出てくるようになった。

あ~あ~と声を出していたら、母親が「なぁに?」と優しく返してくれる。

ごめんなさい、ただの発声練習です。


日中は昼寝以外で寝なくても済むようになり、夜にまとめて寝るようになった。

唐突に寝方が分からなくなって、でも眠たくてイライラしてギャン泣きしてしまう日もあるが、まぁ、それも赤ん坊の醍醐味(だいごみ)だとでも思ってほしい。

たまに、テンションがおかしくなって夜中に起きてしまい、暇すぎて父親の顔をペチペチ叩くのが俺の密かな楽しみだ。

この王家、普通に赤ん坊を夫婦の部屋で寝かせているのだ。

しかも、母親と父親の真ん中に。

陛下とか呼ばれているくせに、夜に母親と俺の前でデレデレとした挙句、寝てる間に俺に抱き付いて来るので、俺はしょっちゅう父親の顔をペチペチと叩いてやった。何というか、この父親は、ものすごいスベスベの肌で気持ち良いのだ。

しかも、叩かれても起きることがあまりない。不用心(ぶようじん)極まりない王様である。


毎晩のペチペチ筋トレの成果か、腕の力も付いて来た。

自分で自分の身体を持ち上げる事が出来るようになってきたのだ。

まだハイハイするほどの力はないが、見にくい場所に母親の顔があった時に、首を持ち上げて覗き込むぐらいは出来るようになった。眼福(がんぷく)である。


周りのモノも色々と観察していたら、部屋のランプが目に入った。

試しに点火するイメージでムムムと力を込めてみたら、ポッと火が点いた。

イメトレでは、酸素を集めて火種を作ってという感じで考えていたのだが、そこまで考える必要はないらしい。蝋燭に火をつけるイメージというか、火が付いてることをイメージするというか。


それを見たペトがめちゃくちゃ驚いていたので、面白くなって暖炉にも火を点けてみた。

でも、今はそんなに寒い時期じゃない。暑苦しくなったら嫌なので、早々に「火の周りの酸素を遮断するイメージ」で消してみた。

感覚的なイメージでも、理論的なイメージでも、結果は同じだった。


他にも、飲み物が置いてあったので冷やしてみたり、好きなおもちゃが遠くに転がっていたので、浮かせて手元に持ってきたり。

前世でイメトレしていたことは、すぐにイメージ通りになった。

俺の準備が、ようやく今になって成果を上げているのだ。


ユハはそのたびに激しく驚いてくれた。

だがペトは、最初のランプ以降は特に驚くことはなく、機嫌良さそうに俺に構うだけだった。

リルやミームも「あら、できたのね」と言わんばかりに特に驚きもせずに見守ってくれてる。

いつしか俺の中に、この余裕な三人を本気で驚かせたいという欲求がフツフツと湧き起こるようになった。

そのせいで、俺は常に何か面白い方法はないかとキョロキョロする、落ち着かない子になっていた。


ミームは俺のそんな様子を「おもちゃが欲しいのか」と面白がって、俺に色んなおもちゃを与えてくる。

いわゆる魔道具というものだろう。意識して魔力を込めると、綺麗な音が出たり、煙が出たり、キラキラと光の粒が飛び出たりした。

どれもこれも、めちゃくちゃ楽しかった。

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