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うむ。なるほど。  作者: たなかそう


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第五話

無事に産まれた俺は、ホッと一安心。どうやら男だったらしい。

ルイーナなんて可愛い名前で呼ぶから、てっきり女かと思って焦ったじゃないか。

どうも、この世界では男も女も可愛らしい名前を付ける習慣(しゅうかん)のようだ。

母親はリル。父親はミーム。

正直、どっちの名前も発音しにくい。


ひとまず無事に産まれた俺は、母親の乳に縋り付いては寝て、縋り付いては寝てを繰り返している。朝も昼も夜もわからない。

腹が減っては泣き、排泄しては泣き、眠くなっては泣く。後たまに、寂しくて泣く。

泣いて、食って、出して、甘えて、寝る。

赤ん坊生活としては、非常に模範的(もはんてき)なものだろう。


その中で学んだこととしては、父親が致命的に役立たずだということだ。

父親は、どうやら一日中同じ部屋にいるらしく、俺が泣くと飛んでくる。

呼べば来るのだが、残念ながら見当違いな空振りを繰り返すのだ。

腹が減って泣いているのに服を脱がそうとしてくるし、排泄したから呼べば「寝ろ」とあやしてくる。

ふざけるなと言いたい。何故お前は俺の要望が分からないんだ、と。

そのたびに、俺は父親の指先をチリッと焼いてやることにした。そしたら、いずれ覚えてくれるだろうという期待を込めて。別に、苛ついてやってる訳じゃないからな。

ちょっとやり過ぎかなとは思ったが、そのたびに奴は母親に泣きついてイチャイチャしているから、これくらいで良いだろう。


逆に、母親は俺の気持ちを全部理解してくれる。

もちろん、最初は間違えたりもしていたが、俺は母親の指先を焼いたりしない。

これは差別ではなく区別だ。致し方ないな。


父親と母親の他にも、俺の家には家政婦的存在の人が居る。

どういう人かはまだ分からないが、ペトというその人は完璧だ。

俺にどうしたかと問うことも無く、すぐに原因を突き止めて解決してくれる。

一体どれだけの場数を踏めば、これほど的確に赤ん坊の要求を処理できるのか。

プロというのは、こういう人のことを言うのであろう。


俺が産まれてからある程度経つと、彼女は家に子供たちを連れて来るようになった。

彼女は、子沢山の肝っ玉母ちゃんだった。

七、八人いたと思うが、正直まだ全員は認識できてない。っていうか、まだはっきり顔は分からない。

ただ、どいつもこいつもキリッとしていて、出来る男といった感じだと思う。


俺のお気に入りは、十歳程の五男だ。

ユハという名前らしい少年は、見た瞬間に「良い奴だ」と分かった。

他の兄弟も悪くはないのだが、何となくユハだけはめちゃくちゃ良い奴だと思った。

あと、俺の我儘(わがまま)を全部聞いてくれそうな雰囲気を感じた。

前世で、何人も優秀な人材を部下にしていた俺が保証しよう。こいつは使える。

なにせ、魔法も使えるらしいし、俺にもデレデレだ。

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