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うむ。なるほど。  作者: たなかそう


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第二十二話

俺は、騎士さんに部屋に送り届けて貰ってから、メフィスレスに愚痴った。

後宮が、俺の思い描いていた夢のハーレムではなかった絶望について。

そしたら、メフィスレスに「そんな馬鹿な事を考えていたのか」と呆れられた。


後宮には王様の囲った美人がひしめき合っていて、寵愛を取り合う「男にとっての夢の場所」だと思っていたのに、現実は全く違うらしい。

なんでも、ミームは後宮にいる魔力耐性のない人達に魔力を分け与えているというのだ。


メフィスレスに簡単に説明して貰ったところ、この世界では「魔力」と「心力(しんりょく)」という二つの力があって、どちらも十分にある時でないと魔術は発動しない仕組みになっているらしい。


魔力というのは、魔術を発動するのに必要な、いわばイメージ通りのエネルギーだ。生まれた時からほとんどの人が持っている。

問題は、もう一つの「心力」という力の方だ。


心力というから、気の持ちよう的なものかと思いきや、そうではない。

なんと、他人の魔力を浴びることで、この心力が低下してしまうことが分かっているのだそうだ。どれだけ気がしっかりした人間でも、強い魔力を浴びると心力が落ちてしまう。

そして心力が落ちると、精神的に不安定になり、色々と大変なことになるらしい。


総じて、魔力の弱い人は心力も弱い傾向がある。

魔力がほとんどないような人は心力もめちゃくちゃ弱くて、外で生活するのすら大変だという。

後宮はそんな人たちを保護する場所であり、そこを魔力のあまりない騎士達が守っているのだ。

ただ、いくら魔力の少ない者達を選んで警護に当たらせているとはいえ、完全にゼロということはあまりない。なので、日々少しずつ心力は削られていってしまう。


そこで登場するのが王族――つまりミームだ。

血の契約をした相手から魔力を分けてもらうことで、身体に魔力が回り、他人の魔力から受ける影響を激減させることが出来るという仕組みらしい。


血縁でも同じ事が言えるが、この「血の契約」をした相手の魔力は、心力に悪影響を与えないどころか、むしろ心力を強くしてくれる特効薬のようなものだ。

だから後宮には、王族または高位貴族の中でも、特に心力が弱い女性が数多く存在している。


あと、逆に「魔力が大きすぎて心力が追いついていない」という人も後宮にいるらしい。こないだ会ったラエリアという美人さんがそれかも知れない。

こういう人達は心力が足りなくて、魔力暴走を起こす危険性があるため、後宮すべての人と血の契約をした上で、心力を上げる練習をしているのだとか。


魔力が弱い人と暴走しそうな人なんて、別々の場所においた方が良いのでは? と思ったが、強い魔力を持つ者が後宮に居るのにも、理由があるらしい。

メフィスレス曰く、あの場所からは三つほど強力な魔力を感じるそうだが、その魔力を感じるだけで、弱い魔物なら近づこうともしないとのこと。魔除け代わりということだ。


「じゃあ、俺も血の契約をしたら入れるじゃん!」と思ったのだが……。

そうは問屋が卸さない。

血の契約をするのは、成人を過ぎて(おとなになって)からじゃないと駄目なのだそうだ。

成人まで、あと二十年弱だと。待てるか、そんなの!

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