↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うむ。なるほど。  作者: たなかそう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/50

第二十一話

「散れ」


美人さんの(りん)とした一言で、俺の身体を取り巻いていた隠蔽魔法という魔力が飛散した。

特に抵抗する気はなかったが、渾身の隠蔽魔法をあっさりはぎ取られ、一瞬にして丸裸にされた気がして怖い。なんか恥ずかしい。


「おぉ、可愛いルイーナ。隠蔽魔法まで使えるのか! 本当に天才だな。しかも、隠れてパパと一緒にいたかったのか? 可愛い奴め!」


丸裸にされた途端にミームに抱き上げられて、頬擦りされまくった。

美人さんに魔力を払われて心許なかった俺の周りの空気が、頬擦りされる度にミームの魔力に包まれている気がした。不本意ではあるが、安心する。

美人さんが凛とし過ぎて怖かった反動で、俺からもミームに擦り寄ってしまった。

それが嬉しかったのか、ミームもいつも以上にベタベタグリグリしてくる。


「陛下、魔力玉(オーブ)が反応したのはその赤子の魔力でしょう。私が魔力を払ってすら、この赤子は魔力に包まれております。後宮の魔力玉(オーブ)は常にこの赤子に反応します。今後、後宮に渡られる前日は、この赤子と触れ合うのは自重(じちょう)してください。私であればこの力も払えますが、後宮の者たちでは太刀打ちできないでしょう。この力は、(みな)(さわ)ります」


とんでもない事を言ってくれるではないか。俺が、後宮のおにゃの子達の迷惑になると。

非常に心外である。俺はおにゃの子を愛し、愛される存在ぞ。


「仕方にゃ~な。おみぇ~の魔力は俺達には御馳走(ごちそう)ににゃるが、魔力の乏しい人間のおにゃごには毒だにゃ。親族か、()()()()をしてにゃい以上、完全に魔力を出さにゃいようにしにゃい限り、おみゃ~さんがおにゃごに会うことは出来にゃいにゃ」


裏切り者は、すぐ横にいた。

アイッシェンは、メフィスレスほどではないが博識だ。謎に人間の事情に明るい。

だが、そんな言葉を黙って信じる訳がない。こんな美人を前にして、抱き上げもしてもらえないなど、言語道断(ごんごどうだん)だ。俺は無害だ。


「そうだな。分かってはいるんだが、どうしてもルイーナに触れたくて、何度も渡りそびれてしまった。本当に、お前たちには済まないと思っている。だが、これからはちゃんとするよ。血の契約をした以上、俺には義務がある。迷惑をかけた。今日は、もうルイーナに触れてしまった。明後日、また来るという事で良いだろうか」


ミームは、俺とは違って真剣な顔をしていた。

何か、愛人に会いたくて来ている感じじゃない。義務なんて、失礼すぎる。

美人さんも、ちょっと寂しそうな顔をしている。おにゃの子を悲しませるなんて、ミームはバカだ。おにゃの子は、いつも大切に守るべき相手なのに。おかしい。


「陛下、今宵は私の所にお泊まりいただけませんでしょうか。私の力であれば、陛下の周りからその赤子の力を消すことも出来ましょう。それに、私は他の方々ほど、影響を受けません。明日には、他の方々にもお会いいただきたいのです。もはや、後宮の不満は限界でございます」


美人さんは入って来た時と同じくらい頭を下げて懇願(こんがん)した。

部屋の中にいた騎士達も頭を下げている。

後宮って、何か、思っていたのと違う。

ハーレムって、幸せな夢の場所なんだと思っていたのに。


ミームは、俺を近くの騎士に任せ、美人の腰に手を添えて部屋を出て行った。

これから、イイ事するんだろうに。

何だか、ちっとも羨ましくない。

俺は、初めてミームに同情した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。