五章 秘密を抱える者 (18) 治癒者の不養生
ヒレナが出て行った後、静まり返った部屋でフィーネはしばらくじっと掛け布に包まれていた。
まだ眩暈と吐き気がする。
そして、怒りと寂しさと惨めさが複雑に混ざり合い、胸の奥を鋭く突き刺した。
この感情は、これまでも幾度となくフィーネの胸を痛めつけてきた。だが、今はその正体が自分でもよくわからなかった。
どうして誰も、フィーネのことを理解してくれないのか。
ラキアの冷たい態度も、ヒレナの怒りを含んだ心配も、ディムが優しく諭してくれたことさえフィーネの胸を締め付けた。だからこそ、このまま部屋に閉じこもっていても息が詰まってしまいそうだった。
勝手に一人で緑水宮の建物内から出てはならないと命じられていることはよく理解していた。だが、今はただ、この真っ白で煌びやかな空間ではなく、外の空気を吸って頭を冷やしたいと考えた。
くらくらと視界が回るが、フィーネはゆっくりと身を起こすと寝台から降りた。夜着のままだったので肩掛けを巻いて、床や壁を伝うようにゆっくりと戸口に向かった。
フィーネの寝室から外へ出るには、ヒレナや女官達が使う共同の仕事部屋を通らなければならない。この部屋の主であるフィーネを守るための配置ではあるが、自由に外や庭に出ることも出来ず、幽閉とまではいかないものの、少し息苦しさを覚えていたことも事実だ。
戸口の柱を握り、聞き耳を立てて気配を探る。昼食前の沐浴の時間だからだろうか、物音ひとつしない。ヒレナもルラもトムカもサラーもヘーシャもいないかもしれない。
様子をうかがいながら恐る恐る仕事部屋に入ると、ヘーシャが足取り軽やかに机を拭いていてフィーネはぎょっとした。
彼女は気配を消すことが得意なのだろうか。全く気づかなかった。
「ファーシャ様! お加減はよろしいのですか?」
「ええと……まだ眩暈は少し残っているのですが、少しお手洗いに行きたくて……。備え付けの方はにおいが気になるから、ちょっと使いたくなくて……。外のお手洗いに行ってこようと思ったのですが、ヒレナ達はいないの?」
「はい。ハルビム様は自室で少し作業をしておられます。他の皆様はハルビム様のご指示で先に清泉舎に向かわれました。わたくしは留守を任されております」
「そうだったのですね。では、このままお花を摘みに行ってくるからヒレナには内緒にしてて」
「それでしたら尿瓶をお持ちいたしましょうか?」
「……あれは恥ずかしいのでお気持ちだけ頂戴します。ヒレナに何か訊かれたら、少しお腹も痛いから時間はかかるかもしれないと伝えてもらえる?」
「構いませんが、わたくしがお供いたしましょうか?」
「大丈夫です。ヘーシャ殿はご自分のお仕事を続けてください」
「ですが、ハルビム様からは、ファーシャ様をお部屋から出さないようにと申しつかっております」
「お手洗いに行くだけですから! ……恥ずかしいのですが、少々お腹の具合が悪くて……その、戻るまで少し時間がかかるかもしれないので……」
「……お手洗いまででしたら、仕方がありませんね。かしこまりました。それでは、僭越ながら、ファーシャ様のお身体が良くなりますようにと、おまじないをさせてくださいませ」
そう言うと、彼女は「プワットフワットプアットトーンナ」と呟きながらフィーネの腹の前で手をくるくる動かした。
「それでは、できるだけお早くお戻りくださいませ」
「ありがとう、ヘーシャ殿」
親切心の塊の彼女に対して少し後ろめたさを覚えながらも、フィーネは部屋を抜け出した。衛兵達は心配そうに声を掛けてくれたが、ヒレナに許可を得て外の空気を吸ってくるという旨を伝えたところ、衛兵たちは顔を見合わせたものの、ヒレナの名を出したためか、それ以上は強く引き止めてはこなかった。
フィーネはまず右に進み、厠へ向かうような素振りで廊下を歩いた。そして衛兵達の視界から外れると、進路を変えて外に出た。幸いにも人の気配はないようだ。眩暈と吐き気と戦いながら、人目を避けるように外廊下を進み、階段を下りて中庭に面した日陰のベンチになんとか辿り着くと、崩れ込むように腰を下ろした。
空を見上げれば、雲一つない快晴でとてもまぶしいほどの青一色だ。フィーネは両手で自分を抱き締めるように二の腕を掴み、深いため息をついて物思いに耽った。
アウィルドとの喧嘩のこと。心配してくれたはずのヒレナに八つ当たりをして追い出してしまったこと。ヒレナから改めて問われたこと。治癒の力を使った時のことなど、様々なことを思い返した。
果たして、フィーネが傷を癒やしたことは、間違っていたのだろうか。そして、誰のためにもなっていないのだろうか。
自分だって己を犠牲にしたいわけではない。自分を粗末にすることの愚かさだってよく理解しているつもりだった。ただ、それでもほんの少し頑張るだけで奇跡が実現できるのならば、その道を選びたかっただけなのだ。
心配してくれることはとても嬉しいが、フィーネはそんなことは望んでいなかった。
「考え事ですか、ファーシャ様」
びっくりして顔を上げると、目の前に最高神官長が立っていた。
真っ白な絹の長衣は、動くたびに水面のような光沢を揺らめかせ、彼の神聖な雰囲気をいっそう際立たせていた。
すぐさまフィーネは彼に一礼した。座ったままの非礼を詫びると、彼は静かに首を横に振った。
「そのままで構いません」
体調の優れないフィーネを気遣うように、彼は穏やかに告げた。
「……少々、小耳に挟んだのですが、あなたは殿下と喧嘩をなさったそうですね」
「はい。殿下は、むやみやたらに傷を治してはならないと仰いまして、私はそれはおかしいと反論したんです」
喧嘩の経緯を話すと彼はいつも通り無表情のまま、目を閉じて一度深々と頷いた。
「殿下も大人げないことをなさったものですね。聞いた話によれば、あの方は後日、あなたの治癒を受けた者に何らかの処罰を下すだのなんだのと、支離滅裂な発言をなさったそうですね」
「はい、確かにそのように叫んでおられました」
最高神官長は真顔で静かに頷いた。
「陛下の言動に脅えた者が、わたくしごとき一神官に助けを求めに来たくらいですから、とても驚きました」
本当に驚いているのか、それとも驚いたふりをしているだけなのか、淡々とした彼の様子からは、フィーネには判断できなかった。彼は相変わらず無表情で、その声にも驚きの色はほとんどなかった。
「最高神官長様。ラキア様は本当に処罰を下したりしませんよね」
「その件についてはわたくしもわかりかねます。何せ、あの方があそこまで人前で不合理な発言をなさったこと自体が初めてですので」
「どうしたらよいのでしょうか。今すぐあの方に取り合って考えを改められるようお願いしたほうがよろしいのでしょうか」
「いいえ。今はやめておいたほうが賢明でしょう。特に今は、顔を合わせない方がよろしいかと思われます。お互いに冷静になる時間が必要です」
「確かにそうですね。……昨晩の夕食の席でも、あの方は私を完全に無視なさって、私も腹立たしくなって同じように仕返しをしてしまいました。……それに、ヒレナにも八つ当たりしてしまいました」
「ハルビム殿と? それはまた珍しいことですね」
「……まさかヒレナに対してあんなことを言ってしまうなんて思いもよりませんでした」
うなだれるフィーネを一瞥し、彼は空に目を向けて言った。
「あなたは自分の信じるとおりにすればよろしいと思います。わたくしとしましては、どちらかといえば殿下やハルビム殿の意見の方が正しいと思いますが、あなたの意見も悪くはないとも思いますよ。このような事例は正解のない問題ですからね。ですが、ひとつだけ確かなことがございます。あなたのおかげで救われた者がいるのですから」
「ありがとうございます。ですが、慰めてほしいわけではないのです」
「いいえ。わたくしは事実を申し上げたまででございます。ご存じではないでしょうが、先刻、あなたに指の切り傷を治してもらったタダム・クルクという少年はあなたに深い感謝の念を抱いているようでしたよ」
「え?」
「彼は厨房で働いているのですが、手に傷を負った者は調理に従事することができません。傷の穢れが食餌に移ると毒をもたらすからです。……厨房の仕事というのは、想像以上に時間に厳しく、過酷なものですからね。通常は業務にある程度の余裕を持たせているそうですが、行事の期間中はそうもいきません。ですから、普段よりも過密な予定で業務をこなさなければならなくなり、誰かひとりでも欠ければ、仕事が回らなくなることもあるそうです。あなたが傷を治したことで彼も、ほかの者も救われました。つまり、あなたは良いことをしたのですよ」
「そうでしょうか」
「ええ。結果論だと言われればそれまでですが、実際に助かった人がいるのです。ですから、あなたが頑張ったことは無駄ではございませんよ」
「どうして……」
フィーネは彼の横顔を見ながら口を引き結んだ。目の前が潤みそうになるのを我慢して、目をきつく閉じて鼻をすすった。
何故、最高神官長はフィーネが一番欲しかった言葉をくれるのだろうか。フィーネは彼を信用してはいけないと警戒しているのに、彼はフィーネが閉ざした門の鍵をいとも容易く開けて入り込んでくる。それは、フィーネの心を癒すためか、はたまたフィーネを完全に自らの駒に仕立てるためか。どちらにしても、彼の言葉はフィーネが心の底から望んでいたものだった。
「ファーシャ様。覚えておいてください。あなたが大切な人々を守ろうとするように、あなたを守ろうとする者もいるのです。だからこそ、あなた自身もまた、その者たちの存在を無下になさらぬことです」
偽の片翼でもそれでいいのか。
その疑問をフィーネは口にしかけたものの、喉元で押し留めた。
彼はあくまでもフィーネのことを、この白鴎宮で『片翼候補』として遇している。
自分は彼に選ばれた偽りの片翼だ。それでも、本物の片翼が力に目覚めるまでの間、その役目を代わりに任されているのだ。そして、本来、その人物が受けるはずだった待遇を享受している以上、与えられた役目を果たすことで報いなければならない。
だが、フィーネは今ひとつ彼を信じていいのかわからず不安だった。
彼はアウィルドに弓を向けた張本人だ。それに、ドウゴから聞いた風玉輪の由来にも、いまだに腑に落ちない矛盾が残っている。
「あの、最高神官長様」
言いたいことは山ほどあったが、フィーネはそれを無理やり喉の奥に飲み込み、小さく息を吐いた。
彼に問いたいことは沢山あるが、結局、フィーネは尋ねることを諦めた。仮に今、ここで問い質せば、彼はどこまで答えるだろう。それとも何も答えてはくれないのだろうか。
アウィルドに弓を向けた理由も、風玉輪の由来も、まだ何一つ確かめられていない。しかし、今はそれを尋ねる気力がなかった。
それに、彼の真意はわからないが、彼はフィーネを案じて来てくれたのかもしれない。だからこそ、フィーネは顔を上げて最高神官長の無機質な表情を見上げると、可能な限りの愛想笑いを浮かべた。
「ありがとうございます。ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。私はせいいっぱい、この任を務めます」
「とても心強いことですね。ところで、ファーシャ様。おひとりで出歩かれては少々危ないかもしれません。ブム殿を襲撃した犯人はいまだに判明しておりませんし、昨日、フェーテス殿とも相談しましたが、新たな侵入者がいるという情報を得ました。どうぞ、わたくしとともに、お部屋に戻りましょう」
それから彼の腕に支えられながら、自室に向かって歩きはじめたのだった。
自室の少し手前の廊下の角で別れ、最高神官長の白い衣が遠くへ消えていくのを見届けると、フィーネはほっと小さく息を吐いた。
緊張から解放された途端、暍病による眩暈が再び襲ってきた。倒れないように壁に手をついて自室の入口へ向かおうとしたその時、背後から静かに声を掛けられた。
「……お一人で出歩いてはならないと、あれほど命じられていましたが、お忘れですか?」
「ヒレナ……っ!?」
気配もなく、突如として現れたヒレナに、フィーネは飛び上がりそうになった。
姿を隠し、呼吸音はおろか足音一つすら立てずに潜む手腕――彼女がかつて暗殺者として生きていた頃の影が、凛とした立ち姿に色濃く滲み出ている。
ヒレナは怒っているというよりも、どことなく刃のように研ぎ澄まされた冷たい眼差しで、最高神官長が去っていった廊下の奥を警戒するように一瞥した。
「いつから、そこに……?」
「ファーシャ様が部屋を抜け出された直後からですよ。すぐにお声をかけることもできましたが、最高神官長様が何をなさるおつもりなのか、確かめる必要があると判断し、いつでも割って入れる距離を保ちながらそのまま様子をうかがっておりました。それよりファーシャ様? お身体の状態も悪いというのに、お一人でお部屋から出られるなんてあまりにも危険すぎます」
ヒレナは静かに歩み寄ると、フィーネの腕をそっと支えた。だが、彼女の手の力は、まるでフィーネを決して逃がさないという決意が籠もっているように強かった。
「最高神官長様との会話も、すべて物陰から見届けておりました」
「そう……」
「ファーシャ様、最高神官長様についてですが、あまり信用したりこちらから積極的に情報を渡さない方がよいかとわたくしは考えます。邸で初めてお会いした晩から思っておりましたが、あの方の気配はとても奇妙なのです。あの方は世間一般の評判通り、鉄面皮で、何を考えているのかまるで読めません。わたくしのような者であっても、あの方が何か企んでいるのかどうかすら判断できないのです。ですが、図書寮での件といい、此度の件といい、あの方は何の前触れもなくこちらの状況が良くない時に限って都合よく現れる。……そして、あの方が身の内に何か隠していることは確実でございます。ゆめゆめ信用なさってはなりません」
ヒレナの言葉に、フィーネは頷いた。
フィーネが彼に感じていた正体不明の恐ろしさや不信感を、元暗殺者であるヒレナも薄々気づいていたのだ。
冷や汗が背中を伝う中、フィーネは支えてくれているヒレナの手の上に、自分の手を重ねた。
「……ヒレナ、ごめんなさい」
「え……?」
「一人で外に出るなという言いつけを破って勝手に部屋から抜け出したことも、さっき、部屋であなたにあんな酷い言い方をして追い出してしまったことも。……本当に、ごめんなさい!」
先ほどからずっと感じていた彼女の冷ややかな雰囲気が、わずかに揺らいだ。フィーネはまっすぐに彼女の目を見つめた。
「ヒレナが怒ってくれたのは、私にこれ以上傷ついてほしくないからだってわかっていたのに……八つ当たりしてしまった。心配してくれたのに、あなたの気持ちを突き放すような真似をしてしまった。本当にごめんなさい!」
「ファーシャ様……」
「それとね……ずっと見守ってくれていてありがとう。……ヒレナがいてくれて、本当によかった」
ヒレナはしばらく無言のまま、呆気にとられたようにフィーネを見つめていたが、やがてふっと目元を弛めて深々とため息をついた。
先ほどまでの鋭い気配が薄れ、いつもの心優しい侍女の顔に戻っていた。
ヒレナは口を引き結んで視線を落とし、深々と頭を下げた。
「わたくしの方こそ、申し訳ございませんでした。あなたが苦しんでおられる様子を目の当たりにして、つい感情的になってあなたに酷い言葉をぶつけてしまいました。ファーシャ様がどれほどお辛いお気持ちでいらっしゃるか、理解しようともせず……」
「ううん、いいんだ。ヒレナの言う通り、私は確かに限界だったんだ。本当は、中庭でラキア様に怒鳴られた時にはもう自分でも少し体調がおかしくなっていたことに気づいてはいたんだ。それに、意地を張りすぎていたと思う。ごめんなさい」
二人は顔を見合わせた。
「ねえ、ヒレナはさっき、どうして私が陛下をお救いしたいと思ったか尋ねてきたよね」
「ええ。幼少の頃の恩人だからでございますよね」
「うん。そうだよ。……でもね、ヒレナに改めて問われてみて、あれから私もよく考えてみたんだけど、それだけじゃない気がしたんだ」
フィーネは一度、言葉を選ぶように黙った。
「私がどうしてアウィルド様を助けたいと思ったか。……確かにはじめは子供の頃の恩人だからだった。でも、それだけじゃないんだ。国のためとかユリフェ家の風護の誓いのためかな、とも考えたけどそれは違うんだ。そんな大きくて立派な理由じゃないということは何となくだけどわかるんだ。でも、理由を具体的に説明してみようにも、頭の中でふわふわと漂うばかりでうまくまとめられそうになくて、言葉にできないんだ」
「ファーシャ様……」
「だけどね、あの方に何があったのか、少しずつだけど色々な人から教えてもらってわかってきたこともあるんだ。それに、ラキア様としてだけど、陛下ご本人とお話ししてみて、あの方は昔の、傷を抱えておられた頃と同じ暗い目をしていたし、何か隠している気がした。あの人がどうして自分で自分を殺そうとなさるのか、何があったのかはまだ話してもらえていないけど、あの方を放っておいてはいけないと思ったんだ。そして、非力でも、あの人の力になりたいと思ったんだ。だからヒレナ、私は自分にできることを諦めたくない。それだけは、分かってほしいんだ」
「……あなたは本当にそれでいいのですか?」
「うん」
「わかりました。……本当のことを申し上げますと、わたくしとしては、あんな根暗なウジルドリーシャなんて気にせずあなたの人生を生きてほしいと思っております。ですが、わたくしは、あなたがずっとあの方からの文を心待ちにしておられたことも、あの方をお慕いし、いつか恩返しのできる人になりたいと努力してこられたことも、常にお側で見ておりましたのでよく存じております。……ですから、あなたがそうお決めになったのならば、わたくしはあなたのお側でその決意をお支えすることといたしましょう。……安心してください。もし、あの方がまたあなたを泣かせるようなことがあれば、わたくしがあの方を叱ってさしあげますから」
彼女の切れ長の瞳はまっすぐフィーネを見つめていた。頼もしくもあり、少し物騒でもあるヒレナの言葉に、フィーネはようやく笑みを浮かべることができた。
「……ありがとう、ヒレナ。大好きだよ」
フィーネは彼女の腕にもたれ掛かり、抱きついた。
「でも、ウジルドリーシャって言い方は……」
なかなか辛辣だが的を射たヒレナの言葉が可笑しくて、フィーネは笑ってはだめだと自らを戒めようとする意思とは無関係に腹の筋肉が痙攣した。
だが、仲直りできた喜びと、二人のこの場の雰囲気で半ば忘れていたのだが、フィーネは今もなお、眩暈と吐き気に苛まれている最中だった。
そして、急に胃の中から酸いたものがせり上がって、口から盛大に噴き出した。
「ファーシャ様っ!? え!? 大丈夫ですか!?」
その時、周囲の鳥たちが一斉にざわめき始めた。
やってしまった、と後悔するも遅く、ヒレナの悲鳴を聞きつけた衛兵やヘーシャ、沐浴から戻ってきたルラ達女官の前でフィーネは大恥を晒したうえ、危険物を取り扱うような厳重な扱いで寝台まで運ばれたのだった。
何故かフィーネが嘔吐した直後、鳥が騒いでいます。
今回名前しか出ていないうじうじした根暗さんは鳥からの報せを聞いてどう思ったことでしょうか。
次回もお読みいただけましたら幸いです。




