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209/209

209話 繋がる未来


「どう? これでお互いの状況がわかったんじゃないかな?」


「えっ? は、はい… ありがとうございます…」


「うん、その方がいい。 謝られるよりよっぽどいいよ!」


なにをどうこれ以上言ったところで継人の考えは変わらないだろう… ものすごくとてつもなく甘やかされてるような気にもなるけど今はその寛大さに甘えておこう


「で、だ。 今日話せなかったことや、話したかったこともたくさんある… 重命さんがよかったらまた約束できたらいいんだけど…? どうかな?」


わたしが一番気になってた「次」のこと…

継人から誘ってもらえて断る理由なんかない


「もし、よければ一緒に初詣なんてどうかな?」


初詣… そっかクリスマスなんだし来週にはもうお正月なんだよね

だけど毎年お正月にはおじいちゃんとこに行ってるし、親の予定も聞いておかないと変に継人の心証悪くしかねないし…


「もちろんおうちの予定を一番に優先してくれて構わないので。一応僕からの提案ってことで」


わたしが答えあぐねていると察した継人は少し予防線を張っているように思えた


「あ、あの、ちょ、ちょっと待っていてもらってもいいですか? 確認してきたいです!! 」


今日一日でどれだけ継人を待たせているんだろう…って思わなくもなかった

だから次の予定の返事はすぐにしたかった


「うん? いいよ、待ってる」


「あ、ありがとうございます!」


そう言って受話器を階段に置いてわたしは居間へと急いだ

居間では父と母が一緒にテレビを観ていた


「お父さん!お父さん! お正月友達と初詣行ったらダメかな…?」


居間に入るとわたしは単刀直入に父に問いかける


「ん? いいんじゃないか? 美紗緒も18歳なんだし友達と初詣くらい行くだろ? 実家には二日から帰ればいいんだしな」


まるで用意されていたかのような父からの返事

わたしは咄嗟に右手の親指を父に向かって突き出していた


「ありがと!! じゃあそういうことで!!」


継人に返事をしたくて階段まで急いで戻る

階段に置いた受話器を取るやいなや、


「いけますっ!! ううん、初詣連れてってください!!」


少し興奮気味に声が大きくなってたに違いなかった

階段に響いた自分の声に少し恥ずかしくなる…


「オッケーがでたのかな? よかった、じゃあ次はお正月だね」


「はい! よろしくお願いします!」


「じゃあ待ち合わせのことなんだけど…」


待ち合わせ… そうだ、今日みたいなことのないように… 1983年のお正月ってなんもなかったっけ…?

全然覚えてないし思い出せない… 過去いぜんは継人とはまだ出会ってなかったし…


「僕が重命さんちまで迎えに行くよ。 そしたら重命さんはうちで待っててくれたらいいから」


悪いな、と継人に思わなくもなかったけど携帯電話がまだない世の中だったらそれが一番確実だと思った

少なくとも今日みたいなことにはならないだろうし…


「そんなことまでしてもらって…なんて思ったりもしますけど、今日みたいなことがあった後だと…助かります…」


ここは素直に継人の提案を受け入れておこう

さっきも感じたように継人の優しさに思いきり甘えてしまえと思った


「だったら決まりだね! きっと今日だっていろいろ話したいことあるだろうけど、また会えるって決まっちゃえば会った時に話せばいいよね」


そうだ!さっき継人に話したいことメモしてたのを思い出した… だけどそのメモは2階の部屋に置いたままだった… なんのためにメモしたんだか…

だけど継人の言う通り次がまたある

次があるってことは次会った時に話せばいいだけのことだ


⋯次、つまり『未来』に繋がった…

わたしの場合 大袈裟なんかじゃなく『未来』に繋がったんだ

それも全て継人の優しさのおかげ… なんだろうか?


「⋯さん? 重命さん…?」


「は、はいっ!!!」


「フフフ⋯ シーンとしてるから寝ちゃったのかと思った… じゃあ時間とかまた電話する、今日は遅いし重命さんも疲れてるだろうから早目に休んだほうがいいよ」


さすがに寝るわけないって思ったけど 考え事に気を取られて返事をしていなかった


「わかりましたっ! ありがとうございます!」


「じゃあ、これで…」


「あ… な、永久さん…」


「ん? どうかした?」


「今日はホントにごめんなさい… ううん、ありがとうございました。 初詣楽しみにしています」


恥ずかしくないわけなかったけど、ちゃんと正直に継人に今の気持ちを伝えたかった


「⋯⋯うん、じゃあまたね。おやすみなさい」


そう言って継人の電話は切れた

受話器からは プープープーと無機質な音のみ流れてる


わたしもおやすみ言いたかったな…

自分の言いたいことだけ言って電話を切った継人

案外照れてたりして…なんて思うと可笑しかった



ーカチャン



わたしは受話器に小さく「おやすみなさい」を言うと静かに受話器を戻した


時計を見ると電話してから30分ほど経っていた




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