9・小悪と大悪の泉
聞いたか?
ああ・・大臣が絡んでるって噂だろ
政治の世界も本当の殺し合いかよ
だとしたら演技が上手いよな・・
そりゃバカでも大臣まで軽く上り詰めるわな
八木原「うるせぇぞ手前ら」
若衆「申し訳ございません!」
そういって六本木の本部事務所から出ていく若者ヤクザ達。
部屋には八木原と・・
ラナ「・・・本当なの?あの噂って?」
八木原「早く小倉行けよ・・」
急に裏社会で流れ出した噂
前の総理暗殺や暗殺未遂に大泉大臣が関与したという噂
八木原「・・・それで来たのか?」
ラナ「何が?私?」
あ、・・いや・・大泉だ。
この出るであろう噂の火消しを間接的に頼みに来たのか?
あくまで偶然、久しぶりを装って本家に・・
いやそうだろう。
時の大臣が大きなリスクを背負ってヤクザの本家にわざわざ出向く事は。
そしてきっとそれはヤクザが絡んでいるのだろう。
もうすでにヤクザか半グレにでも恐喝されているのか・・
政治家は、頼むとは言わない。指示することもしない。
こちらは意を汲み取って行動するだけ・・
ヤクザか半グレ・・
どう考えても、タイミング的にも赤坂の大村一派だろう。
八木原「暗殺に関わったのは小倉の大村だったなんて噂は前から出てたしな」
ラナ「やばぁ・・・」
そりゃ、日本で京堂会しかいないだろあんな事するの。
だが今、大泉大臣を恐喝してるのは大村一派なのか、京堂会本隊なのか・・
大体いまだに大村一派が単独とも確信できてない・・
意外に何にも考えないラナに聞いてみるか・・
八木原「どう思う?」
昨日、リスクを負ってでも本家に来た大泉。焦っているのは確か。
だがどっちだ・・さすがにウチが京堂会本隊とコトを構えるのは・・
ラナ「直接聞けば?それが一番早くない?誰?って」
なるほど・・
となると赤坂が有利か・・大泉の出入りは赤坂しかない。
ラナ「小倉の・・小泉さんだっけ?」
ややこしいのよ、小とか大とか・・
八木原「・・そっちにか・・」
いや、無理だろ・・ウチと小倉はそんなに付き合いないし・・
破門した大村が大泉先生恐喝してますか?それとも本隊ですかって?
・・って聞けるはずないだろ。
それにあの小倉京堂会で、あの歳で序列1位だぞ・・
演技も一流に決まってる。他にも突出した何かを持ってるはずだ。
不用意に触れば火傷じゃ済まなくなる。
どうせ小倉一の悪だ・・
ラナ「じゃあ東京はぁ?八木原?」
八木原「大泉っ」
早い・・答えが・・
そして他にあげるなら?
まぁ三州会、広島、大刀、長州ぅ・・・長州ぅ・・は・・
ま、悪党はどこにでもいる。
八木原「まぁラナなら・・頼むわ・・」
ラナ「・・まぁ、徐々に知り合いになっていって」
ラナは自分の新しくしたネイルを見ながらそう答える。
八木原「・・・・・気合入ってるな」
ラナ「あ、分かる?時間かかった~このネイル♪」
へへへ・・かわいいっ。超お気に入り♪
ラナの小倉行きは赤坂の大村を潰す為の足掛かりだったが、
それが今回の恐喝嫌疑で本当に重要になって来た。
ラナも女子力マックスで本気モードっぽい。
小倉に若者の本体が居るはずだ。いわゆる大村一派が。
俺は赤坂での新グループの発生は確定だと思っている。
だがそれが、単独か、ヤクザ組織の足掛かりかは分からずにいる。
潰すなら大きくなる前に潰すのがいい。大泉先生のタイミングも丁度いい。
しっかりとした足掛かりができると次々と小倉から兵隊が上陸してくるだろう。
俺の考えは、問題にならない、事の大きくならない小倉で補給路を断つ事。
兵・・金・・・これを断つ・・細らせる・・
これは本当にラナが重要になってくる。
うまく店で京堂会や大村一派の情報を得られるか・・
そしてガキは外でウラジが叩く。
これがボディーブローのように効いてくるだろう。
不良の若手はヤクザの貴重な資金源だ。いわば金集めの実働部隊・・
だがまずウラジが小倉で兵隊集められるかも重要だ・・
そして事務所の扉が開き・・
村雨「ラナさん新幹線チケット取れました」
ラナ「じゃあ小倉に向かうか」
八木原「ふむ・・」
いや・・何暇つぶしに事務所来てんだよ・・
ラナと村雨は東京駅に向かい・・
ラナ「ウラジは?」
村雨「もう待ちきれずに乗り込んでますよ」
本当アイツは・・
ラナ「あ、ゴメン忘れ物した!次の便で乗るから先行っといて!」
村雨「いやダメですよ俺も待ちます。」
ちっ・・・コイツは真面目で面倒臭いな・・じゃあ大胆に・・
『次は広島ぁ。お出口・・』
新幹線の車内アナウンスが流れ・・
村雨「ちょっと!ラナさん!」
ラナ「ちょっと友達の所寄っていく!荷物よろしくー!」
急にラナが広島で飛び降り、村雨は社内に取り残される。
ふふふ・・来てみたかったんだ・・
へー!路面電車が2階に乗り入れてるすごーー!
でも地理とか分かんないから・・
ラナ「流れ・・かわ?」
タクシー運転手「はい。流川ね。流川も広いけどどちらに?」
よく分からないけど、ここが入口だぁ・・みたいな所あります?
それかド真ん中ぁって所。
運転手「じゃあ薬研堀通りと仏だん通りの小さな交差点かなぁ」
でも今の時間は食事するお店くらいしか空いてないよ・・
ラナ「いいんです」
見てみたいというか感じてみたい、昼でも夜のイメージは湧く。
運転手「ありがとうございました。」
ラナ「えっ!」
す・・すげぇええ!広島!舐めてたわ!
ラナ「えっ?これ歌舞伎町より飲み屋多いんじゃない?」
流川はどこを見渡しても飲み屋の連なる看板。
そしてここから若者が集まる八丁堀に向けて歩き出す。
ラナ「えっとパルコ・・あー、なるほど・・」
ここのスタバが渋谷のマック的な?
なるほど確かに綺麗に道を挟んで分かれている街作りだ。
大通りを挟んでこちらが若者、買い物の街、
反対が先ほどの飲食店の街・・
『小倉の作りは広島に似とるのぅ。赤坂にも雰囲気似とるがの』
あの人からの情報だ・・
ラナ「そしてこれがアリスガーデン・・」
小さい公園?だけど・・
「ねぇお姉さん、どっか所属とかしちょる?」
「広島じゃなくても全国飛ばせるよ」
ラナ「あ、所属してます。ご苦労様です」
まぁキャッチ、スカウトはどこにでもか。
何かトー横みたいな場所だな。夜は多分そうなるんだろうな。
そして・・
ラナ「あ、これね。目の前だ」
お好み村
ラナ「匂い付けて小倉に行かないとね。」
友達と会ってお好み焼き食べてましたぁってね。
ラナ「一人です。いいですか?」
店員「はいっいらっしゃいませ~」
昼からでも活気ある店内。その一角に居る女子二人が・・
双葉「お好み村なんて来るやつ観光客だけじゃけ知り合いおらんでええわ」
友人「まぁ地元の奴と顔合わせんでいいよね」
ん?
双葉「私は観光客じゃけ、広島楽しみよる」
友人「双葉はたまに帰ってきて東京人ぶりよるよなぁ」
あれ、この人・・キャバ穣の番組出てる赤坂の・・
双葉「無難やん、店多いし」
友人「まぁこっち多かったらあっちってなるしね」
食事に集中してるからこっち見ないし面識ないからバレないか。
向こうが食べ終わって店出るときにチラっと目に入ると思うけど、
絶対向こうは私の事知らないし、まさか今日広島にいるとは思わないだろ。
双葉「じゃあご馳走様~」
店員「はいっありがとうございました」
ふぅ・・よかった。
まったく視線にも入らなかった。さてお好み焼きを楽しもう・・
双葉「じゃぁ私、これ・・、おおた・・ぇ」
友人「わか・・・・ねぇ」
いや・・・
わずかに聞こえた。店外からの会話
おおた・・て?大刀?
じゃぁ私、これから、大刀さんと会うから、またね?
いや、考えすぎか?でも広島出身なら大刀さんと何かしか接点はあるかも。
いや、いや!ソース臭いまま大刀さんとなんて絶対会えないだろ。
絶対違う。そんな粗相、いや、先ず女子として・・
そして広島のとある場所で・・
大刀「わりゃソース臭いのぅ・・」
双葉「バレるか、やっぱ。お好み食いよった。」
でももし、だとしたら・・
ラナ「絶対つぶす!」
店員「お客様、潰さずにフワフワのまま、お食べください」
延期じゃ!小倉入り延期じゃけん!ラナ広島上陸じゃけん!




