19・最後にお前を・・
広島で拘留されている大刀は・・
警部「大刀ぇ・・動きがあったぞ・・」
大刀「なんじゃ!?」
急転直下、京堂会と六本木が和解停戦だと!?
なんでじゃ!ふざけるな!とことんヤリ合えや!
これは大刀が指示、連絡出来ないのが裏目に出る。
大刀はあくまで無関与を装うために拘留されたのだ・・
この抗争の責任は俺じゃない・・・と。
理想は京堂会が六本木を徹底的に潰すまでやって欲しかったが・・
警部「それと・・・」
これも新しい情報じゃが・・
警部「・・・金岡、生きとるぞ・・・女も・・」
大刀「くっ!!!!」
何をやっとるんじゃラナは!
ワシがどうしても頼む、言ったじゃろうが!!
どうしても・・訳も聞かず・・・
金岡を殺してくれ・・・と。
まぁ狙って外れたのか、流れ弾が小泉に当たって結果助かったわ。
なんとか京堂会本隊も参加させることが出来た。
金岡大好きっ子の小泉なら怒り狂って六本木潰しにかかったはずじゃ
それに金岡は危険すぎる・・俺の地位も脅かすほどに・・
大体金岡は頭も切れるんじゃ・・いずれワシの悪だくみも読むじゃろ。
それにもし金岡が京堂会でも継いだらパワーバランスが崩れてしまう。
長州の戸郷は元々金岡の後輩だ。三州会が広島と小倉+長州で割れたら最悪じゃ。
金岡に手綱は付けれん・・
ありゃ自由人じゃ。じゃからヤクザにもなってないんじゃ。
嫌いじゃないが、ワシにとって危険な男なんじゃ・・
だがジュリは・・・
大刀「スマン・・しょうがなかったんじゃ・・・・」
俺もジュリは可愛がっていた。だから金岡を紹介したんじゃ。
変な男よりかはと・・
俺の人生で一番のショックがジュリを殺された事じゃ・・
ワシの広島制覇の為の抗争に巻き込んでしまった・・
刑事「警部っ新たな情報です!」
警部「なんだ!?」
今朝、東京の八木原の事務所にまた手りゅう弾が投げ込まれました!
大刀「ぶははははは!」
よしっ!ようやった!さすがバカ息子じゃ!
2本の矢で攻めて正解じゃったわ!
もう赤坂に城が出来たんじゃから小倉からどんどん若いの送りこめ!
ただひとつ問題はラナが吐かないか・・
もし失敗したら八木原の指示と言えと言ってるが・・
大刀「・・・殺した方がええのぅ・・」
もう用無しじゃ。『前回』も失敗しやがって・・
何か光り輝く物があるんで、もう少し飛び抜けると思ってたが・・
何か蝶の様に感じたんじゃ・・ラナが。
穏やかで儚げだがどこまでも飛んでいけそうな気がした・・
下関では・・
ラナ「・・・つつっ・・」
金岡「おう・・・」
起きたか?痛むか?そう言って金岡が注射器を近づけてくる・・
ラナ「うっ!?」
覚せい剤!?
金岡「違うわい・・・つつ・・・」
ワシも痛むとき打つんじゃ・・・
そう言ってラナの手に麻酔を注射して、
針を変え自分の背中にも打つ金岡。
金岡「ふぅうう・・・・」
金岡さんが辛そうだ。
そして昨日の残り酒との麻酔の合わせで意識が薄れ行く・・
金岡「・・・包丁ならその辺にある・・・ぞ・・」
そう言ってソファーに崩れ落ちていく。
私が目を覚ましたと思ったら眠っていく金岡さん。
もしかして私が起きるまで痛みで寝れずに苦しんでたのかな?
包丁なら・・殺すなら殺せ。そして眠る。逃げるなら逃げろ・・・
そう言ってるように感じた。
金岡「・・・今何時じゃ?」
ラナ「14時」
気が付けば女の胸に寄りかかって、女の腕に抱かれていた俺が居た・・
コイツは何食わぬ顔で俺を抱き寄せたまま・・
深い眠りの中に居た金岡。
そして逃げなかった、殺さなかったラナ。
やろうと思えば簡単に出来たはずだが・・
ラナ「殺さないよ・・」
私は・・・
金岡「・・・昨日も殺さんじゃったじゃないか・・」
そっか・・この人は気づいていた・・
私が金岡さんを殺しに来たのを。
だが躊躇った・・・この人の圧倒的オーラにというのもあったけど・・
何か違う躊躇いが出た・・まるで未来の自分から撃ってはダメって・・
金岡「・・・お返しじゃ・・」
ラナ「やっぱ・・・そうなんだ・・」
この金岡さんが指まで飛ばした事によって私は命を救われた。
これで小倉は高条件でメンツも立った。
もしあのまま京堂会に拷問されてたらきっと殺されてた。
私が音を上げて大刀の女だと吐いても殺されてただろう。
そして今一緒に居るのは・・
金岡「・・・ワシなら絶対殺しに行く」
口を割られる前に・・
金岡「八木原本人が突っ込んでくるんじゃないか?」
それほどの大失態だ。女使って堅気の人間殺し損ねて・・
だがなぜ八木原は俺を狙うんだ?大体八木原なんて会ったこともないぞ。
ラナ「・・う・・・・・・・ぅ・」
金岡「・・・・・・泣くな・・・・」
女の目から涙がこぼれ落ちてくる・・
ラナ「・・・私も分からない・・・」
なぜ金岡さんなのか・・・
もしかして・・
ラナ「三州会に入るとか考えてます?」
金岡「なぜ今更?」
ワシはのぅ・・・
あとちょっとの命なんじゃ・・末期癌じゃ・・
ステロイド治療のおかげで痩せてはおらんけどな。
ん?お前今、三州会に入る?とかって言ったの・・
そうか・・そうじゃったか・・
大刀さんか・・・
なるほど・・とんでもない策略じゃ・・
金岡「・・・・・泣いてええぞ・・」
ラナ「う・・・うう・・」
金岡さんの胸の中で泣きじゃくっていた・・
無くなった指も、どうしようもなく絶望感しかなく・・
何度も何度も無くなった指を思い出しては、また泣いて・・
金岡「・・・・じゃけども、おもしろいな」
ふふふ・・大刀さんよ・・嫌いじゃない。天才だアンタは。
アンタが日本取ると思うよ。ええじゃない。
もう俺は殺しにはこんか?一応京堂会参加まで持って行けたもんな。
ただ大刀はこの女を絶対に殺しに来る・・・
小泉は?まぁ使い勝手がええから可愛がられるだろ。
戸郷は・・どうでもええか・・元後輩は・・
八木原は残念。タマ取られる所まで行くだろうな。
双葉は?微妙・・・・とにかく今は俺に関わらさなければいい。
悪いがただのキャバ穣で平凡に誰かを愛し生きていければいい。
巻き込みたくないんじゃ・・・大刀さんとジュリの時のように・・
まぁジュリは別れた後じゃったけど・・今はどこで眠っとるか・・
似とるんじゃ双葉と。チビが弱いのにハッタリで不良して・・
この女・・
大刀の指示で京堂会嵌めたのがバレたら京堂会からも殺されるな・・
大刀の女と東京の連中にバレてもか・・
今この女は大刀、京堂会、八木原から狙われる立場じゃ・・
指飛ばしたのはワシが悪いが、分かってくれるじゃろこの子は。
それでも少しの命は伸びた・・・
何かいい案はないか・・・
逆に赤坂に放り込むか?ワンチャンあるかもな・・
後は、アレだが・・
いや、これしかないか・・・
儚いのぅ・・もう泣き止めや・・
なぁ・・・・・初めて呼んでやる・・・
金岡「・・・ラナぁ・・・」
ラナ「・・うん」
名前で・・
分かるか?意味が?名前で呼んで、お前の目をずっと見とるぞ・・
そうじゃ・・・ゆっくりでええ・・
近づいてくるラナの顔・・
もう少しじゃ・・・さぁ・・溶けて行け・・・
『っ・・』
重なり合う唇・・
そう・・・
金岡「・・・・俺に抱かれろ・・・」
俺が・・
最後にお前を抱いて眠る・・・・




