第18話 昨日の常連は今日の寝顔??
お久しぶりです。18話更新です。
あの戦いの後、俺たち3人は町の飲食店に入った。
夜なのに賑やかで、とてもいい雰囲気のお店だった。
心地いい音楽を奏でる、ハーモニカのおっさんの演奏に耳を傾けながら、俺たちは席につく。
席についてすぐに、店主と思われるおばちゃんが、注文をとりにきてくれた。
「いらっしゃい、ゲインさん。いつもありがとねぇ。いつものでいいかしら?」
「こんばんは、エリーさん。もちろん、いつもので!」
「あいよ。」
エリーさんと呼ばれたおばちゃんが、炭酸っぽい液体を注ぎ始める。
どうやら、ゲインはここの、常連らしい。
「ほい、ザイターね。そっちのお2人さんもいらっしゃい。何にする?」
エリーさんが、ゲインに炭酸……もといザイターを出しながら、俺たちに話しかけてくる。
「とりあえず、俺はこれと同じのを。リアはどうする?」
「私もそれでいいわ。」
「あいよ。今、出すからね。」
エリーさんは、俺たち2人分の準備をするために、奥の厨房に入っていく。
その隙に、俺はゲインに、あのことを聞くことにした。
「おい、ゲイン。」
「ん、何だい?」
「このザイターっての、お酒じゃないだろうな。」
「もちろんだよ。でも、少しだけ酔うような成分があるから、酔いやすい人は、注意かもね。」
「そうか。ならいいんだ。」
俺はほっとしながら、席に戻る。
こんなことで捕まったら、『勇者』失格だからな。
「あいよ。ザイター2つ。料理はどうすんだい?」
「ああ。何か適当におすすめをくれ。ある程度の金なら出せる。」
「あんちゃん、太っ腹だねぇ。今、作ってくるよ。」
再びエリーさんは厨房に入っていく。
「さて、それじゃあ乾杯と行くか!」
俺がグラスを持つと、2人もグラスを持ってくれた。
「えー、クエストの達成を祝いましてー、乾杯っ!」
「「乾杯っ!」」
ザイターという飲み物を、3人でぐいぐいと飲んでいく。
以外や以外。ザイターというのは、ブドウの味がした。
「何だこれ!超が付くほどうまいじゃねぇか!」
「でしょ!僕のお気に入りなんだ。ここらの国じゃ、飲めるのはここだけなんだよ。」
「そうなのか。連れてきてくれてサンキューな。」
「いいってことよ。『勇者』!」
ガシッとお互いの手を握る、俺たち2人。
なんだかんだで、コイツとはめちゃめちゃ気が合っている。
「なぁ、リアはどう……」
リアもきっと、この飲み物の良さを分かってくれているはず。
そう確信して、振り向いてみると、リアは予想をはるかに上回っていた。
「ねぇー、かなたぁ。わたしをわすれないでよぉ!」
リアがカナタに抱きつく。
一点の隙も無い完全完璧なホールディング状態。その姿はまるで、コアラのようだ。
「しまったそうだったこいつはやばいっ!」
あまりの大失態に、俺は早口になってしまう。
「ねぇってばー!カーナーター!」
「どうしたんだい?何か様子が…………ああー、なるほどー。」
ゲインも、すぐに理解してくれたようだ。
「チャンス狙いだったのか。だったら、言ってくれればよかったのに。やっぱり、既成事実って重要だもんね。」
前言撤回。こいつは1%も理解してない。そんでもって、一切役に立たない。
まさに、ダメなやつのお約束だ。
「曲解しすぎだ。リアの処理は手伝ってもらうからな。」
「あっららー。マジで既成事実作っちゃうのかー。」
「残念ながら、そっちの処理じゃないからな。」
ゲインにツッコミながら、リアを担ぐ。
リアはぐっすり寝る態勢に入っていたので、とても持ち上げやすかった。
「俺はこれから、コイツを宿のベッドまで運んでく。この金で支払っといてくれ。」
財布から札を出し、ゲインに手渡す。
「あれ?ちゅっと多すぎだけど。」
「ああ、それか。迷惑料だと思って、好きなもん食ってくれ。明日またギルドに行くから、そん時にでも、また何か食おうぜ。」
「そうだね。ありがたくいただくよ。また明日。」
「おう。」
リアを担いだまま店を出て、宿の方向に坂道を下っていく。
ぼんやりとした道だが、しっかりと整備はされていた。
女の子とはいえ、リアを担いだまま動くのは大変だ。しかも、坂であるがゆえに、少し重く感じる。
気合を入れ直しつつ、一歩一歩確実に宿の方向へ進んでいく。
すると、リアが寝言を言い始めた。
「カナタぁ。早くしてよぉ。早くしないと、ピンチなのぉ!」
一体何がピンチなんだか、俺にはさっぱり分からない。
とりあえず不安なので、俺は急いで歩くことにした。
「これでよしっと。」
宿のベッドにリアを寝かせる。
すると、昨日買った抱き枕に、リアはまっしぐら。ぐっすり眠り始めた。
「……ったく。こいつのどこが『魔王』様なんだかなぁ。マジでコアラじゃねぇか。」
リアの寝る態勢はコアラそのもの。
俺と寝た(深い意味はない)ときも、俺に抱きついてきていたのを、はっきり覚えている。
あと、こいつの小さな胸の感触も。
「……って、違うだろぉー!」
カナタは、大声で自分にツッコんでしまった。
「もう俺もヘタヘタだな。おやすみな、リア。」
「うん、おやすみぃ。カナタぁ。」
リアが返事をしてくれた。
起きているのか、それとも寝言なのかは分からない。
しかしそれのは、カナタもほっこりしてしまう。
寝ているせいで、可愛い女の子そのもののようなリア。
その顔を目に焼き付けながら、カナタはゆっくりと、夢の世界へ落ちていった。
リア=コアラな回でした。
番外編的なやつで、残った桃香サイドについても、少しずつ書く予定です。
更新をうまくできるよう、頑張ります。




